第3話
居間には、皆がそろっていた。
「鈴丸はその子みたのか?」
顔の整った男、菊之丞が口を開く。
「うん、見たけど頭から足のつま先までびしょ濡れだった」
「へ~、なんだろ・・惣介の女かな?」
「僕もそう言ったら、怒られたよ~
あ、そうそう見慣れない格好だった」
「どんな?」
背の高いすらっとした男 直之進が会話に参加する。
「どんな?」
「ん~と、白と紺で下はひらひらしてた!
惣介、やっと来た~」
着替えを済ませた惣介が居間に入ってくる
「惣介、一体どういうことなんだ?」
「あの子とはさっき街でぶつかって、召し物を汚してしまったんだよ」
「それで連れてきたの?」
「あぁ、洗ってかえさないと・・」
「なんだ、鈴丸が惣介の女だっていうから」
「まさか、鈴丸~変なことを言うんじゃないよ」
「菊之丞だって~」
「惣介様、お持ちしました」
男物の浴衣を抱えて、惣介の付き人 紫苑が駆け寄ってくる
「紫苑、ありがとう」
「こちらでよろしいでしょうか」
「それは?」
低い声で尋ねる織正
「女の子の召し物汚してしまって、洗っている間に着てもらおうと」
「女の子?」
「あぁ、今お風呂にいってるよ」
「そんな話きいてないぞ」
「お召し物を洗って返すだけのことだ」
「だが、女性一人でのこのこと、おまけに風呂に入っているとは
一体何を考えているのやら・・」
「織正、かわいそうじゃないか、
顔色も優れないし、体は冷え切ってたんだ
汚したお詫びに風呂ぐらいいいじゃないか?」
「まったく・・・ここを何だと・
男しかいないところで・・」
「私が勝手に連れてきたんだ、あの子を責めるのは違う」
「そうだよ~」
「織正は冷たすぎるよ~」
「いいじゃん、お風呂ぐらい入らせてあげても」
「逆に俺はうれしいけど~」
直之進と鈴丸、菊之丞が騒ぐ
「まったく、好きにしろ」
織正はあきれて、自室に向かった
「ねぇ、外は真っ暗だし、なんならご飯も食べてもらおう?」
「賛成、今日のご飯はなにかな」
三人は騒ぐだけ騒いで、台所へ急いでむかう
「紫苑、まぁ、大きいけど、仕方ない
あの子にもっていっておくれ」
「はい」
一期一会~時空を越えて~ @tsuzigahanar
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