第2話
『で?どうしてくれるのよ?アンタのせいで探してたお宝無くなっちゃったじゃない!』
あれから急に現れた赤髪の少女に散々暴言を吐かれひたすら平謝りをしていた…が。
少女の言葉に少々違和感を覚える。
「本当にすみません…大事なお宝を壊して、え?お宝?」
『そうよ!お宝!何とぼけた顔してんのよ!もっと誠意をもって謝りなさいよ!』
「いやこれは君のじゃないのか?」
『え?私の?いや私のっていうか…いや、そう!そうよ!私のになる予定だったんだから!アンタが壊したせいでせっかく高値で買った地図も無駄になっちゃったじゃない!』
どうやらこの少女はこの赤い砂、もとい赤い水晶の管理者ではないらしい、それどころかこの水晶を手に入れる為にやってきたとみえる。
(トレジャーハンターみたいなもんか?)
だったらここまで責められる謂れはなかったのでは?
いや、まあ割ったのは悪いのだけども。
少なくともこの少女にここまで言われる筋合いはない。
うん、そうだ。
「てかお前のじゃないなら俺が責められる筋合いないんじゃないか?」
『は?はぁ⁉︎開き直り⁉︎アンタが壊さなきゃ今頃私のモノになってたんじゃない!どんだけの価値があると思ってんのよ!どれだけのお金が入るかわかってんの⁉︎』
こちらの急変に驚いた顔を見せながらもムキなってまくしたててくる。
「へー整理するとだ、これは宝でお前はこれを手に入れる為、地図を買ってここまで来たと。そして先客の俺に壊された。」
『そうよ!だから何してくれてんのって言ってるじゃない!』
「いやいや、これが宝なんだったら早いモノガチなんじゃないの?確かに俺のミスで割ったかもしれないけど後から来たトレジャーハンター如きにとやかく言われる筋合いないんじゃないかなー」
『な、ぐぐぐぐ…』
反論できなかったのか悔しそうにこちらを睨みつける少女。
『そこまでだ、アルメダ嬢…あの兄ちゃんの言う通りだ。
宝なんてのは早いモノ勝ち、諦めな』
少女アルメダの背後から背の高い少し筋肉質(それが逆に美しい)の美女が現れた。
しかも額にはツノが生えている、しかも2本…
『ちょっとル・フェイ‼︎雇われの身で彼の味方をする気⁉︎しかも来るのが遅い‼︎依頼人を1人にするとかど・う・ゆ・う・つ・も・り‼︎』
怒りの矛先を変えたアルメダはツノの美女ル・フェイに詰め寄る。
『アルメダ嬢がここから先は1人で行くから待てって言ったんだろう?アタシのせいにするな』
『それはそうだけど…』
『そんな事より少年悪かったな、ウチの雇い主が迷惑をかけた』
バツの悪そうなアルメダをよそにル・フェイがこちらに足を向けてくる。
『……?どうした少年?アタシの顔に何かついてるか?』
「いやどうしたっていうか、その角は…本物なのか…?」
俺はここにきてある事実に思い至る…。
(これ、異世界転生…いや転移なのか?)
だとしたら今の現状に納得がいく。
勿論、ここに来るまでの記憶がないので何かの事件に巻き込まれ薬漬けにされて幻覚をみている《トリップ中》の可能性も否定は出来ないが反応的にこれは現実だと分かっている自分がいる…。
『ん?何だ?冒険者なのに
自身のツノを弄りながらル・フェイは不思議そうな顔をする。
「オーガ族…じゃあやっぱり」
俺は確信する。
(俺は異世界転移をしてる!)
ぶるーあーす めめんと森 @I-zak
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