[No.13] 【読者の集い】クタバレピクシードモ

 ♀ カトリーナ 16歳(サバーブ村・家事手伝い)


 以前、この【読者のつどい】コーナーで、『ほんとはやさしい妖精さん』という題名をつけて投稿した者です。

 私は今、死ぬほど後悔こうかいしています。あんな文章なんて書かなければよかった。投稿しなければよかった。……ああ、やんでもやみきれません。したためたふみ嬉々ききとしてポストへ投函とうかんしに行った自分の首をげてやりたい気分です。

 あの投稿を読んだ私の彼氏から、不都合ふつごう真実しんじつを聞かされてしまったのです。

 私が飲んでしまっていたのは、ピクシーの〝おしっこ〟でした。紅茶こうちゃのような色合いろあいの液体は、何を隠そう、小便しょうべんだったのです。銀色のカップは〝肥溜こえだ容器ようき〟であり、あのときの二匹のピクシーは、まった排泄物はいせつぶつてるためか、育成している植物のやしとするために運んでいたのだという身もこおりつく話でした。

 ペンをにぎる手は、憎悪ぞうお恥辱ちじょくふるえています。

 私が投稿していたのは、つまり、ピクシーにおめおめとだまされ、彼らのおしっこをみずからごくごくと飲み干し、ちょっとビターなリンゴジュースっぽい味がするなどとひょうし、、彼らを肯定的こうていてきとらえなおそうというような阿呆あほうみたいな内容を、気取きどった調子で長々書いていたことになります。

 ピクシーはピクシーでしか、たりえませんでした。

 今なら顔から火がしてもなんらおかしくないです。村で私を知らない人は、ほぼほぼなくなりました。どこからともなく「おしっこ女」とクスクス笑う声が聞こえてきます。今日は小さな男の子から「シーシーちゃんだ!」とゆびをさされました。彼氏からおわかれをげられました。もう居いたたまれません。

 私は村を出ることにします。

 ペンを剣に持ち替え、ピクシー撲滅ぼくめつハンターとして冒険者になります。


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[No.6] 【読者の集い】ほんとはやさしい妖精さん

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