第4話 はじまり
高田駅前カラオケ店 207号室
狭めな部屋のソファーに右から
入店して約1時間、
聞いてる方も楽しくなり、ついつい
今日は凄く楽しめている。
いつもなら、知り合ったばかりの人は俺の歌を聞くとテンションを下げる。
視界に入るから直ぐに分かるし、気を使う為あまり楽しく歌えない。
でも、
楽しそうに歌を聞いてくれたり、合いの手も入れてくれる。
なので俺の音痴は全く気にしていないみたいだった。
勿論、
いつも思う。
隣の
「お前らも来いよ。一緒に踊ろうぜ」
確かに
隣の
「はやく。はやく」
「
場の雰囲気を壊す訳にはいかないので渋々俺も
「俺振付覚えてないよ」
「そんなもん見様見真似でいいよ」
俺も
歌の終盤には
皆んなハァハァ言いながら笑い、俺と
次の曲は
「次、
テンション高く
「分かったよ」
さて、何を歌おうかな。
タッチパネル式のリモコンを手に取り曲を探す。そんなにレパートリーがある訳ではないが。
楽曲が流れ出し
2人で歌ってる動画をSNSにでもあげるのだろうな。
「ねぇ、ねぇ」
不意に
直ぐに分かった。人差し指だ。
人差し指を出した状態で相手の肩を叩き振り向いた時に頬に指を刺す、小さい頃流行ったイタズラ。
懐かしいな。
俺は幼い頃にやっていた様にやり返す、刺さった指を押すように強く振り返るのだ。
これは昔から俺がやり返しているやり方。
幼い頃はイタズラに引っ掛かっていないアピール又は、イタズラ返しのつもりでやっていて粋がっていた。
今思うと下らない事なのだが。
振り返ると
ただ、イタズラをして笑っていると言うよりも、嬉しいって感じの笑顔だった。
「引っ掛かった」
笑いながら言う
勿論俺も言う。
「引っ掛かってないよ」
俺の頬を刺した指を見ると手首に付いている物が見えた。
「それミサンガ?」
ミサンガとは色とりどりの刺繍糸を合わせて編み模様を付けたもので、手首や足首などに巻きつけて使用し、紐が自然に切れたら願い事が叶うという縁起担ぎの意味がある。
「これ?可愛いでしょ。自分で作ったんだ」
「いいね。可愛いと思うよ」
率直な意見を言う。個人的にはシンプルな所も良いと思った。
小さく、ふふと
「そうだ!
自分にミサンガが似合うのだろか?自信が無い‥
「遠慮しとくよ。作るのも大変だと思うから」
「作るの楽しいし、空いた時間に作るから遠慮しなくていいよ。あっ!何歌うか決めた?もうすぐ
まだ何にするか決めてない俺は慌ててタッチパネルを操作する。
「この曲知ってる?」
隣から
画面に映っている曲は知ってるが歌った事の無い曲だった。
「知ってるけど歌えるか微妙」
「じゃー歌うっきゃないね」
俺の心臓がドクンと一度大きく脈打った後、まだ小さくドキドキしていた。
見惚れている俺を他所に
ちょうど歌い終わった
「あれ?これ
普段3人でカラオケに行っているから
「いや、どうだろう」
自信無し‥
俺は戻ってきた
「私も一緒に歌うつもりですよー」
と言いマイクを口元にスタンバイした。
そうなの?そんな風に思っている間に前奏が流れ始めてしまった。
慌ててマイクのスイッチを入れ歌い出す。
‥‥やってしまった。
ワンテンポズレて歌い出してしまった。
「気にしなくていいよ」
そんな事を言って
俺も気を取り直して一緒に歌い出す。
♦︎
店の外は既に暗く寒空だった。
「すっ、涼しいー」
散々延長して盛り上がったカラオケ。
室内は熱気で結構暑かったから外の空気は今は涼しく気持ちよかった。
「あっ、居た居た」
カラオケが終わるのが遅くなる事は分かっていたので
道路の路肩に白のセダンがファザードを点灯して停まっている。
運転席には女性が乗っていて迎えに来たのは母親ようだ。
俺達は車の方に歩いて近寄り、車の後部座席に
同じ市内に住んでいて
ドアが閉まった後、窓を開けてくれる
「
「おう、分かった。待ってるよ」
「今季節外れの風邪が流行り始めてるから、貴方達も風邪ひかない様に気を付けてね」
運転席側からこっちに向かって
3人で遊んでいる時にちょこちょこ
父親は俺の母親もお世話になった高田市総合病院の医師をしているので、風邪等の情報には敏感なのかな。
「ありがとうございます。気を付けます」
「
「今日はありがと。
最後に
1本裏道を
光源はたまにある街灯や自販機ぐらいで殆どない。
「今日のカラオケ
ちょっとニヤつきながら言ってくる
今思い出すとちょっと恥ずかしくなる。
「
確かに今回は仲良くなれそうな感じはする。
「たぶん」
上手くいくかなんて分からないから、俺は曖昧な返事をした。
でも
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