本音

 それはずるいよ、そんなのずるい......。そんな目を見てしまったら、言うしかなくなってしまう。

 私は小さな声で、ゆっくり本音を口に出していった

「.....体育祭...の.....」


「うん、」

 ゆっくりしか口に出せない私のペースに合わせて、ゆっくりゆっくり頷きながら話を聞いてくれる。


「同じ、競技.....だけど.....」


「うん、」

 恥ずかしくて、嫌われたくなくて....涙が溢れてくる。


「一緒に、できなかったら....嫌だから。」


 一人で勝手に考えて、ヤキモチをやいて....距離を取ったことを全部話した。

 それを聞いた青木くんは、優しい顔に戻って『俺は最初から、水瀬と組むつもりで誘ったんだけど。』と。


「でも、今日の昼休みの件はまだ許してねぇから。」


「ええ〜.....。」


「ええ〜じゃねーよ、俺本気で嫌われたと思ったからな?」

 本音を伝えたあとは、もういつも通り。お昼ご飯一緒に食べなかったこを怒ってはいたけれど、それ以外はいつもと変わらなかった。



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