忘れられない。

水木

第1話


朝、6:00。イヤホンでクラシックを聴きながら、秋の公園の中を走る。


「鳥の声を聞きながら走るのが…」って人もいるが、自分は好きな曲を聴きながら走りたい。


だか、どんなオーケストラのサウンドも、どんなソリストの演奏であっても。また、鳥の声や葉が揺れる音も。彼女の音楽ほど僕の心を動かすことはない。



5年前、高校生の時、吹奏楽をやっていた。


フルートパートには同期が2人がいた。自分は金管楽器を担当していたので正面から聴いたことは数回しかない。が、彼女の音は僕を虜にした。


「音」というより、「音楽」といった方がいいかもしれない。



音色はそれこそ鳥の声のようで。


旋律の流れを誰よりも理解して。


その上で自分のやりたいように、皆が心地いいように。



こう感じるのは自分だけだったかもしれない。


特別なのは自分がよく分かってる。



今、自分はプレイヤーではないが、こうして気持ちよく走っていると、彼女の音を聴きたくなる。



帰ったら彼女のために曲を作ろう。


出来たらすぐに吹いてもらおう。


僕のために。





水木

作成日:2020年12月22日


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