第2話 四つ足オオカミピッチャー
新入部員の自己紹介が終わり、
「
キャプテンが
「あのぉ。弟を投げさせてもええですか?」
「えー。せっかく1位になったのに、もったいないなぁ。じゃあ、
「はい……」
「さー来い!」
去年の秋大会で4番を打っていたキャプテンが打席に入る。
カッキーン!!
「うおお、めっちゃ飛んだ」
キャプテンの打球はセンター奥深くへ飛んだ。
「
「さすがバッピーだな。コントロールが実にいい」
キャプテンはうんうんとうなずく。他の部員達は「俺も打ちたい」、「次は僕でー」と、口々に手を挙げる。
「何や、そのピッチングは? お前の本気はその程度か?」
「そうだよ。しょせん、俺は兄貴の引き立て役や」
「そんなんやったら、お前はオオカミやない。犬や、負け犬や!」
「ハァ? 負け犬……、誰が犬やゴルァ!!」
銀色のオオカミと化した彼は、両手を地面につく。両腕は太くたくましくなり、荒野を駆けるのにふさわしい。
「ガルルルルルル」
「
「えっ? どうやって投げるんだ?」
キャプテンがとまどう内に、
「ぐおおおおおおお!」
ズドオオオオオオオオン!!
あまりの豪速球で、キャッチャーの腹にボールが当たり、後ろに吹っ飛ばされた。キャッチャーの体は、後ろのフェンスに食い込んでいる。
「ひっ、ひえええええ……」
キャプテンは腰を抜かし、小便を漏らしていた。
(続く)
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