第2話
帰宅し風呂を終え、夜斗は布団に突っ伏すように倒れ込んだ
日中というよりは帰宅の際の質問攻めが辛かったのだ
(彼女いますかーとか募集してますかーとか…紗奈よ、同級生に何を吹き込んだ…)
「お兄様、よろしいですか?」
「おーう、どしたー?」
体勢を変えず、夜斗は入ってくるように伝えた
紗奈は入るなり夜斗に飛びつく
「おぐぅ…腰がぁ…」
「も、申し訳ありませんお兄様!」
「お、おう…でどうした?」
「学友の方がプライベートでお兄様にお会いしたいと…。明日はお手すきでしょうか」
「明日はぁ…土曜日か。生徒会もないし暇といえば暇」
「よろしいでしょうか」
「おういいぞ。どこで会えばいい」
「ここです」
「は?」
「ここです」
「ワンモア」
「ここです」
「まじで?」
「はい。呼びます」
「まぁいいや…了解」
夜斗はそう言って部屋を片付け始めた
といってもほとんどモノがないため、さしてやることはない
「
「部屋まで来なさいよ!」
「怒られた…」
夜斗は隣の部屋にいるもう一人の妹の元へと移動した
彼女はアイドル活動をしており、同期や同じグループの人がよく来るため客用のものが割と揃っている
「なぁ朱歌。明日紗奈の同級生来るんだけどさ」
「そ。私部屋から出ないし関係ないわね」
「仕事は?」
「明日オフで明後日MV撮影とサイン会とライブ」
「地獄みたいなスケジュールだな」
「必要単位はとってあるから授業出ないしいいわよ」
「大学生か」
朱歌が通っているのは、単位さえとっていれば出席しなくても進級・卒業させてくれるという学校だ
所属しているのは大抵高校生アイドルや作家、動画クリエイターという稼げる学生たち
最初の2ヶ月で単位を取り続け、あとを仕事に充てるのが主になっている
「聞きたいんだけど、何用意したらいい?友達が家に来たことないからわかんねぇんだ」
「緋月は?」
「あいつはコーラ投げとけばいいからな」
「そう…。女の子なら紅茶とガムシロとミルク、あとお茶菓子。机は貸してあげるわ」
「ありがとさん。他はなんかある?」
「結構人によるのよね。普通の女の子なら話題になるものとかじゃないかしら」
「何もねぇな。買ってくるかぁ」
夜斗は1階に降りていき、ソファーでぐったりしているスーツ姿の女性に話しかけた
「
「どしたのわさわさ」
「明日紗奈の同級生が俺に会いにくるから食い物買いに行きたい。連れて行ってくれ」
「えぇぇぇ…車出すのぉぉぉ…?」
「添い寝」
「今すぐいこうそうしよう」
夜斗の義理の姉、夜美がすぐに立ち上がり支度を始める
化粧をやり直し、服を着替えてくる間に夜斗は車のエンジンをかけて助手席に乗り込んだ
「どこがいいの?」
「女受けする菓子があるところ」
「レヴァリエにあるからそこにしよっか」
「御殿場だぞ」
「添い寝のためなら」
「そうすか…」
夜斗はそんな姉に連れて行かれて、茶菓子を買い、飲み物を何種類か買ってきた
そして数時間後、寝るために自室に入る
「夜斗はこっちでしょ?」
「くっ…覚えていたか。その記憶力を婚活に活かしてくれ」
「いいけど私いなかったら学費どうするの?」
「あーなんか急にお姉ちゃん取られるの嫌になったなー。これはもう添い寝して釘付けにするしかないなー」
「さぁ、おいで…夜斗」
手のひらくるっくるな夜斗であった
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