第5話:事前準備と私利私欲
史実通り曹操が来襲してきました。
ここで何も手を打たなければ、中央の騒乱を逃れてきた民が虐殺されます。
数十万の人間を殺されてしまうのです。
陶謙が曹操の父親の曹嵩や弟の曹徳、他にも多くの一族を殺したからです。
でもそれだけなら陶謙と一族だけを殺せばいいのです。
数十万もの無辜の民を殺すのはやり過ぎだとしかいえません。
これは単純な復讐ではないのです。
袁術・公孫瓚・陶謙の連合軍に攻撃された報復なのです。
その為に生産力にも兵力にもなる民を虐殺したのです。
私がいてそんな事をやらせはしません。
兄の麋竺を使って陶謙を動かしました。
曹一族の虐殺は止められませんでしたが、兄の献策は全て的中しました。
兄の株は鰻登りで信用信頼されるようになっています。
今度こそ兄麋竺の策が採用されるでしょう。
曹操が侵攻に選び虐殺を行う場所からは事前に民を避難させます。
数十万の民ですから、全て一ケ所に集める事はできません。
一つは陶謙の本拠地彭城の防衛に駐屯させます。
一つは重要拠点である下邳城に駐屯させます。
一つは趙昱元達が太守を務め、麋芳子方を応援に派遣する広陵に駐屯させます。
一つは麋家が塩田と家畜親方制度で支配権を握っている東海郡に駐屯させます。
最後の一つは曹操が侵攻する反対側に屯田させます。
幸い陶謙は兄麋竺を心から信頼するようになったようです。
私が麋竺に授けた策が全て採用されました。
お陰で麋家や私の私財を使わなくてすみます。
少々心は痛みましたが、戦乱を利用しました。
奴隷と小作人を数多く増やすことができました。
いえ、言葉を飾るのは止めましょう。
奴隷と農奴と言った方がいいです。
前世で私が育った頃に受けた教育、その小作人ほどの権利はありません。
地主の命令で私兵として戦わなければいけません。
漢の朝廷や州の刺史や郡の太守ではなく、地主の命令に従うのです。
ですがそのお陰で麋家と私は力を得ることができました。
陶謙は麋竺の献策を受けて、彭城と下邳城の後詰を東海郡と広陵郡としました。
広陵郡には仁徳者の趙昱元達と麋竺の弟麋芳がいます。
城も堅固で逃げ込むには最適です。
東海郡には麋家が整備した塩田があり
郡治所の郯城だけではなく胊城と贛楡城も堅固で豊かです。
数十万の避難民を東海郡の沿岸部に集めていますから、兵糧さえあれば曹操軍の猛攻に耐えられる可能性が高いです。
問題は袁術と公孫瓚に頼んだ援軍が間に合うかです。
広陵郡を笮融に奪われない事です。
もっと劉備玄徳の側近に働きかけるべきでしょうね。
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