第4話:歴史改竄の始まり
「子仲兄さん、笮融が曹孟徳を恐れて下邳国を捨てて逃げます。
広陵に逃げ込んだ笮融は、豊かな広陵を奪おうと趙元達様を殺します。
警告の使者と援軍を送って差し上げてください」
私は大きく歴史を動かす決断をしました。
仁徳者として慕われている趙昱元達を助けつつ、広陵を確保するのです。
麋家の財産に広陵という拠点城砦が加われば小なりとはいえ軍閥になります。
この程度の事は麋竺子仲なら簡単に読めるでしょう。
これに劉備玄徳の猛将たちが加われば鬼に金棒です。
「春華が言う事は理解できる。
だが趙元達殿は仁義の為なら命を惜しまない方だ。
笮融の下劣さを知っていても、死の危険が分かっていても、温かく迎え入れられる可能性が高い。
それに麋家には人がいないのだ。
私はもちろん春華が広陵に行くわけにはいかない。
子方は我が弟ながら信じきれない所がある」
「大丈夫でございます。
子方兄さんには私が鍛え上げた密偵を付けますから」
私にはこの時に供えて鍛え上げた女密偵団があります。
武田信玄の甲州忍者三ツ者の一角、望月千代女配下の女忍者達を参考にしました。
「分かった、子方を送ろう。
それで、劉玄徳様との交渉はどうなっている。
配下の一部だけでも送ってもらえそうか」
私には歴史の流れが分かっています。
だから曹操が攻め込んできて大虐殺を始める前から準備ができます。
塩田を造り家畜親方制度を創って富を蓄えたのもその為です。
淡水真珠に関しては女孤児を保護して鍛えた女忍者にやらせています。
だからこそ劉備玄徳に援軍要請をしているのです。
前世のPKOのような援軍ではありません。
はいっきり言えば傭兵団や盗賊団を雇うようなモノです。
油断すれば契約など無視して家財どころか命や自由まで奪われます。
まさにこの世は弱肉強食、誰も信用できない地獄絵図です。
だからこそ仁義を護る集団がもてはやされます。
郷党や一族の絆に頼ります。
そうしなければ生きていけない国なのです。
「はい、劉玄徳様は仁義をわきまえた方です。
正当な報酬を支払う限り何の心配もありません。
ただ劉玄徳様も公孫伯圭様に断りもなく豫州を留守にするわけにはいきません。
ですから関雲長様か陳叔至様を援軍に送ってもらおうと交渉しております」
関羽雲長は後世で関帝と呼ばれ神扱いされるほどの忠義の猛将。
三国志では呂布奉先に次ぐ二番目の強さを争う存在です。
しっかりとした軍師か目付さえ付ければ問題ないでしょう。
陳到叔至は、蜀漢が記録を残さなかったので三国志演義では出てきませんが、趙雲子龍に匹敵する武将です。
三国志演義で語られる趙雲子龍の活躍は、劉備玄徳の左右の親衛隊長だった陳到叔至と趙雲子龍の二人が成し遂げたモノだと読んでいます。
彼が来てくれれば正に百人力です。
さて、どちらが来てくれるでしょうか。
関羽雲長が来るのなら、私の劉備玄徳への助言で母親を豫州に呼び寄せた、田豫国譲が一緒に来てくれたら何の心配もないのですが。
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