第6話
恭介と隆一の二人が声のした方を向くと、これまでかなりの女を経験した二人でも少し固まってしまうほどに可愛い女の子がいた。
二人が固まっているのに気付いた素振りも無く、目の前の女は勝手に話し始めた。
「友達と遊ぶ約束しててここまで来たんですけど、道に迷っちゃって……。ここに行くには、どう行ったらいいですか……?」
「あ、ああ、ちょっと見せて。……ここに行くなら反対側なんだけど……ちょっと説明しずらいな、よかったら案内するよ?」
「いいんですか! ……あ、でも、お兄さんたちも何か予定がるんじゃ……?」
隆一が日ごろからは考えられないほど優しい対応をしているのを恭介は横で見ていて、今日のターゲットに定めたのだろうと感づいた。
恭介自身も、かなりいいと思っていたので、否やは無いのだが、こっそりと隆一の耳に顔を近づけると、
「先にやらせてやるから、独り占めはすんなよ? こんないい女横にして別の女なんて抱けねえよ」
「俺の獲物だってのに……。じゃあ、今日の飯代で許してやるよ」
「ぐっ……分かったよ、その代わり、分かってるよな?」
「おけおけ、いやあ、夜が楽しみだ!」
二人が秘密の会話を終えると、目の前の女の子が待っていたのか口を開いた。
「それじゃあ、お願いします! 正直、あまり道に慣れてなくて困ってたんですよ」
「おっけ、任せといて! 地元だし、この辺なら何でもってるからさ!」
女の子と二人は、待ち合わせ場所だという方向へと談笑しながら歩いて行った。
「あ、すみません。ちょっと電話来ちゃったので、少し外しますね」
少し早めに目的地へと到着しそうだったので、少し喫茶店に入り休憩をしていた時に、女の子、仁奈子ちゃんが少し席を外した。
入口から近い席を取っていたので、一度仁奈子は店から出て電話をしていたのだが、店内にも聞こえるほどの声がして恭介たちは仁奈子の方を向いた。
仁奈子はこちらの様子に気付いた様子もなく、電話をしていたが、
「え、ちょっと!? 来れなくなったってどういうこと!? ……うん、もう、分かったけど、折角楽しみにしてたのに……。うん、それじゃあね」
話の内容は友達にドタキャンされているようで、電話を終えてこちらに戻ってくる様子は少し悲しそうにしていた。
「席外しちゃってすみません……。折角案内してもらったのに、友達来れなくなっちゃったみたいで……」
「いやいや! 仁奈子ちゃんが気にすることは無いよ。俺らも暇してたから、楽しい時間過ごせて嬉しいし」
「そう言ってくれるとありがたいですけど……」
落ち込んだ様子でそう話す仁奈子ちゃんに、この後の約束も無くなったのなら少し攻めてもいいか、と恭介は口を開いた。
「友達との約束が潰れちゃったのは残念だけど、この後時間空いたなら俺たちと遊びに行かないか? せっかくこうして出会ったわけだし、どうせなら楽しく時間を過ごしたくない? 俺たちならこの辺りのことなら大体分かるし、遊べるところも知ってるからさ」
恭介の誘いを聞いて、仁奈子は少し考えるそぶりをした後、了承の意を表した。
「そうですね、折角ならもう少し遊んでいきたいですし、ご迷惑じゃなければ一緒させてください」
「迷惑なんてとんでもない! 是非とも、って気持ちだよ。それじゃあ、この後どうするか考えようぜ」
それから三人は、晩御飯は焼肉に行くことにしてそれまでの時間を近くのゲームセンターへと行って色々ととったり、シューティングゲームをやったりと時間を潰していった。
「それじゃあ、乾杯!」
「「乾杯」」
しばらくゲームセンターで遊んだ後、三人は事前に予約していた焼肉店へと向かい、それぞれ飲み物を手に取って乾杯をした。
それからしばらく、頼んだ食事が届いてから好きに肉を焼いて、次は何を頼もうか、と考えていると、隆一が横から小声で話しかけてきた。
「一旦トイレ行って、この後どうするか作戦練ろうぜ」
その考えには賛成だったので、適当に肉と、飲み物も無くなってきていたので追加で頼んでから、二人で少し席を立った。
「さて……仁奈子ちゃん、酒にはあんま強くなさそうですぐに赤くなってたし、今回は薬無くても行けるんじゃないか?」
「あ、やっぱり恭介もそう思う? この後は一旦カラオケとか言って、そのまま家に連れ込もうぜ」
「よし、それじゃあそれで行くか。……それよりも、運が良かったな、あんなに可愛い女、そうそうお目にかかれないだろ?」
「それは本当にラッキーだったな! ただ、何か少し見覚えがある気がするんだよな……?」
「んー、そうかぁ? まあ、気の所為だろ」
「それもそっか、それより、あんま長く席を外しててもおかしく思われるし、そろそろ戻ろうぜ」
二人はその後の予定を勝手に決めると、席へと戻った。
「あ、お二人とも遅かったですね。さっき頼んでたドリンクが届いてましたよ!」
お酒を飲んでテンションが上がっているのか、終始ニコニコした様子で仁奈子がそう話しかけて来た。
「あ、ありがと。肉も来てるみたいだし、もうちょい食べてから次はカラオケとか行かない?」
「おお、いいですね! 私、歌うの大好きなんですよ!」
仁奈子と話しながら恭介たちは届いていたドリンクに口を付け、しばらくはまた談笑しながら食事をしていくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます