第22話 魔族決闘
「それでは決闘を始める。」
そう言うとゼフィアは指を鳴らす。すると、さっきまでいた城から俺とルーベットは1つの闘技場にワープする。
「なんだ…ここは」
俺とルーベットが困惑するとゼフィアは説明してくれた。
ここは、ゼフィアの手下が作った仮想世界らしい。この中では、いかなるダメージは現実世界に反映されない。そして、自分自身の魔力がゼロになるか、死亡するほどの肉体ダメージを食らうと強制的に現実世界に戻されるという仕組みらしい。
「ほかの2人は違う仮想世界で戦っているだろう…」
なるほどな…完全なフェアにするために、ステージは分けているということか、
「それでは始めよう…」
そういうとドリアンドが前に出る。
「先に紹介をしておこう。私の名前はドリアンド、水魔術を得意とする剣闘士No.1だ。」
ドリアンドの見た目は、水色の髪、クールそうな眼鏡をかけ、横には魔術本を持っているいかにもThe、真面目くんという感じだ。
俺はルーベットの方により、作戦を言う。
「おい、ルーベット。先にあの水色髪の奴をやるぞ。」
「お前に指示されるのは尺だが、それは俺も最善だと思う。」
そういうと、ルーベットはドリアンドの方に走り出し、蹴りを入れようとする。
その隙に俺は周り、ルーベットの蹴りで飛ばされたところを狙う。
しかし、
「#黒煙の龍__こくえんのりゅう__#」
俺たちが攻撃を仕掛けようとすると、ゼフィアは背中から三体の細長い首の黒龍を出し、
「#黒龍の息吹__ドラゴン・ブレス__#」
闘技場は一瞬にして黒煙により、俺達はドリアンドの位置を見失う。
「くそ…何だこの技は…」
視界が見えなくなり、俺は焦りと、緊張が、はしる。
「イグゼル!気をつけろ!」
ルーベットの声が聞こえると、ドリアンドの魔術を放つ声が聞こえた。
「水魔術、#水流竜巻!__アクア・サイクロン__#」
黒煙の煙と共に俺達は水の渦に飲まれ、中心にいるドリアンドの近づいていく。
「今です。ゼフィア様!」
そこに現れたのは、黒煙で紛れたゼフィアだった。
「#黒龍の咆哮__ブレイク・ブレス__#」
三体の龍は黒い魔力を口に溜め、それを光線のように放つ。
ドガンッッ!
「闇魔術!#闇の分身__ブラック・サキュラス__#」
光線はイグゼル達に当たるが闇のように消え去る。
「ちっ、逃したか…」
ドリアンドが悔しがる表情をするが、ゼフィアは肩を叩く。
「落ち着け、まだ始まったばかりだ…そう簡単に仕留めれる玉では無さそうだな」
「はい……」
ルーベットの術により間一髪で助かったイクゼル達。
「予想通り…あいつらは共同戦が桁違いに上手いな…」
「ああそうだな…これは単体の強さではどうしようも無いほどの差だな。」
*
一方、アベルチームは、
茶髪の筋肉、カンパツとピンクの可愛い姉ちゃん、メディシーか。こんな奴らが本当に強いのか…
アベル達は様子を見続けていた。
「カンパツさんーあの赤髪の男!私の事ずっと見つめてるのですけど、私に惚れているのかな?」
「メディシー…妄想が過ぎるぞ…。あの姉ちゃんは俺の筋肉に見とれておる」
本当に強いのか!?
「アベルさん…どうしますか?」
「とりあえず、嬢ちゃんは攻撃魔術が苦手なんだよな。俺のサポートをしつつ、敵の攻撃を妨げて欲しい!」
アベルはエレナに作戦を言う。
「わかりまし…!?」
すると、エレナの方に#氷柱__つらら__#が複数飛んできた。
「危ない!」
アベルはエレナの前に立ち氷柱を破壊する。
「よそ見しちゃ駄目ですよ…。」
「ちっ…」
どうやらこの女、氷魔術が得意なのか…
「あと…私に見とれていると、痛い目に合いますよ!」
「なっ!」
「#雷鳴轟音球__らいめいごうえんきゅう__#」
横からとてつもない速さの電気の玉がアベルに直撃。アベルは端まで飛ばされる。
「ゲホッ!」
「俺の筋肉で投げる玉は聞くだろ?」
カンパツはそう言い笑う
「アベルさん!」
エレナがアベルの方に駆けつけようとするが…
「氷魔術、#氷柱弾__サーベル・ランス__#」
エレナの元に先程の氷柱が飛んでくる。
「はっ!!」
「やらせねぇぇぇ!」
するとアベルはエレナの元へ飛びつき、氷柱を殴り割る。
「嬢ちゃんには指一本触れさせねえぞ…。」
次回「#氷女__ひょうじょ__#と恐れられたもの」
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