黒煙の主と3人の剣闘士

第20話 暗闇のロックキュール山脈

バスキュア王国を出てから丸二日、俺達は魔族が住んでいると言われているロックキュール山脈にたどり着いた。


しかし山脈の周りは、分厚い黒い雲が囲っており、昼間のはずなのに、夜中のようにとても薄暗くなっていた。



「ここが、ゼフィアの根城だ。ここから先の山脈は常に夜みたいに暗いから、迷うんじゃねえよ。」


ルーベットは先頭に立ち、誘導していく。




___ロックキュール山脈・入口___



「とても薄暗くて、湿気ていますね…」


「…まあ、道中はそうかもしれないが、あいつの国は…なかなかすごいぜ」



ルーベットは初めてこんなに嬉しそうに他人のことを喋っている。


「ルーベット、先を急ぐぞ。」


「おい!ルーベット!あまり俺より目立つんじゃねぇよ!」


「うるせぇ!」



そんなこんなでロックキュール山脈にイグゼル達は入っていった。




30分後



道が暗いせいか、本当に進んでいるのか俺達は分からなくなっていた。


「おい…ルーベット…本当に進んでいるのか…」


「うるせぇ…黙って…ついてこい」


ルーベットとアベルはクタクタになっており、エレナは途中で足が痛くなりイグゼルにおぶられていた。



「すみませぇん…イグゼルさん…」


「気にするな…。てか、こんなこと前にも無かったか…」



そんな話をしているうちに、少し広い場所が見えてきた。



「ここで休憩するかぁ…」


アベルが座り込もうとすると、周りの草むらから音がする。


「なんだ!」


全員は戦闘態勢に入り、周囲を囲むように構えた。



「グルルル…」


そこに現れたのは、数体の顔が二つある犬だった。どうやら俺達を狙っているようだ。



「これは…ケルベロス!?」


エレナは驚いた表情をして言った。



「さすが魔族の山脈だな!」



アベルはそう言うと、一体のケルベロスに飛びつく。


「魔人炎武術!#爆炎拳!!__ばくえんけん__#」



アベルはケルベロスを連続で殴り、1匹を仕留める。



「ふっ。たった一匹しか倒せないのかお前は!」


「なに!」


ルーベットはそう言うと両手を広げ、空間から闇の光線を残りのケルベロスに向けて放つ。


「闇魔術!#死の閃光!__デス・サイト__#」



残りのケルベロスは砕け散る。



「ちっ!今回のとこはお前の勝ちにしてやるよ!」



「ほんとに…男性の方はどうしてあんなに張り合いが好きなんでしょう…」



エレナがイグゼルに質問するが、イグゼルはアベルとルーベットを無視し、先を急ぐ。



「あいつらが、おかしいだけだ。」


「あ!兄貴!置いていくなー!」


「てめぇ!待ちあげれ!」




___ロックキュール山脈・中枢部___



ようやく半分までたどり着いた。再び大きな広場に着くと、そこには三人の人物が立っていた。



「我らは魔族の街の剣闘士!」


「ドリアンド!」


「メディシー」


「カンパツ!」


「侵入者よ!ここから先はこの剣闘士が通さない!」




次回「魔族の街 エルベス」

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