第19話 魔邸フォービス

「…ん」


俺は起きると大きな高級そうなベットに寝ていた。そして横にはエレナがいた。


「やっと起きましたか!良かった!」


エレナは涙目でそう言っていた。ああ…そうか、俺はあの戦いのあとすぐに倒れたのか。


「俺はいつから寝ていたんだ?」


「もう今日で1週間です。」


そんなに寝ていたのか。



「他の奴らは?ルーベットさんは昨日起きましたが、アベルさんはまだ…」


「そうか…。」



1週間前


___バスキュア王国・東地区___


「#青炎の裁き…__ゼロ・グラビティ__#」



パタンッ



「どうやら、体の主が強引に止めてくれたようだな。」


ウルブス達は少しほっとした顔をしていた。


「ウルブス王!空は見てください!」


「なんだ!あの玉は!」



…現在に至る。




「なるほど…そんな事があったのか」



俺はベットからおり、ウルブス王が俺達に用があると聞かされたので、エレナとルーベットを連れていく。



___バスキュア王国・城内___


「おや、イグゼル殿目を覚ましたようだな。」



「ああ。世話になったな。」


ウルブス王とイグゼルはエリゼクトのこと、そしてこの王国の事を聞いた。


どうやらこの大陸では大き分けて、3つの巨大な勢力が存在するらしい。


一つはエレナのエンシャル王国の、「#西の風神__・__#」と呼ばれる風の魔術を得意とする軍団。



一つは今イグゼル達がいるバスキュア王国のウルブス王率いる「#ダイヤモンド・オーズ__・__#」と呼ばれる岩魔術を得意とする軍団。



一つはここからさらに東にあるエーゼル王国と呼ばれる国の「# 白夢の雨乞い__・__#」と呼ばれる水魔術を得意とする軍団。



この3つ以外にも軍はあるらしいがこの3つが主に行動の主導権や権限を所有しているらしい。



「それで、俺達に話とは?」


「ああ。街を救ってくれたお礼と言ってはなんだが、お前達の軍をさずけようと思う。」



ウルブス王がそう言うとルーベットとエレナは驚きの表情をした。


「どうしたお前達。そんなに凄いことなのか?」


「当たり前だろ!普通は軍にさえ入るのが困難だって言うのに、軍をもらうなんて…」


ルーベットさえもこんなに驚くなんて、相当なんだろ。


「まぁ、あげると言ってもメンバーはお前達4人だがな。軍の名前はどうするんだ?」



名前か…そういうのは苦手だな。



「やはり、精霊エレナ邸とかどうでしょう?」


エレナが目を輝かせながら俺とルーベットに提案するが、却下した。


エレナは今まで見た事のない落ち込みっぷりだった。


「名前は、闇の魔術団で決まりだな!」


却下。



「んー。」


「フォービー…」


俺がそう言うと、エレナとルーベットは首を傾げたが、ウルブスは「なるほど」と言う顔をしていた。


「フォービーとは、古代から伝わる7つの首をもった怪物の名前だな。その怪物の7つの首は大地を軽々と燃やし尽くす炎を出すと言われている。」



「決めた。俺らの軍の名前は#魔邸フォービス__・__#。そしてその7つの力で魔王を必ず殺す。」



そう言うと、ウルブス王とその他の人々は盛大に拍手を送る。


「では、今日からイグゼル=ヴァルトベルク率いる4名を#魔邸フォービス__・__#の軍に入団する!」



それから俺たちは三日間ほどバスキュア王国で過ごし、北の山脈に住む、魔族の街を目指すことになった。しかし、



「ウルブスどうしたのですか?」


エレナはウルブス王に城に来いと言われ、1人で城に行っていた。


「残念なお知らせじゃが…。先日、#エンシャル王国の王が魔王族に寝返った__・__#」


「え…」


「そのせいか、エンシャル王国は今、法律が無く、無法地帯となっておる…。このままだとあの国は数日と持たん…。」


「そうですか…」




___バスキュア王国・入口付近___


「エレナ!遅いぞ早く行くぞ!」


アベルはあれから3日後に目を覚まし、エゼルの記憶が無かったことから、何も言わずに放置している。


「すみません…。ちょっと近くに美味しい店があって!」


エレナは笑顔でアベルに言う。


「おい!早く行くぞ。赤髪、エレナ…」


ルーベットは死んだ目で言う。



「次は、魔族の街だ。長旅になると思うがお前達、死ぬなよ。」


俺は釘を刺して、全員に言う。



魔邸フォービスの最初の仕事は、魔族の街の調査…と言うふうに言ってある…




第2章 炎の神と破壊の魔王 [完]



次回 暗闇のロックキュール山脈



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