第15話 炎闇vs最強

___バスキュア王国・城内___


「報告致します。バスキュア王国内にて魔王エリゼクトと、その幹部が侵入したようです。現在は他国の旅人と思われる人物数名と交戦中」


「そうかご苦労。我々も旅人の援護をしに行くとしよう。準備しろ」


バスキュア王国皇帝、ウルブス=バスキャア王は、王国の兵士に戦闘準備の合図をかける。



___バスキュア王国・東地区___


「「どりゃゃゃあ!」」


アベルとルーベットは魔王の幹部であるビーナスとブルーヌと交戦中であった。


「一人ずつ仕留めていくとしよう。」


「そうね。了解」


ブルーヌとビーナスは息を合わせて呪文を放つ。


「水晶魔術、#恋の白露__パープル・グリザイア__#」


「岩の精霊よ、鋼の肉体を我に宿したまえ」


「岩魔術、#大地の怒り__ストーン・ブラスト__#」


ビーナスの光線とブルーヌの岩の連撃がアベルとルーベットに襲いかかる。


「魔人炎強化術、#動体火力!__どうたいかりょく__#」


「闇遠術、#闇の呪霊__やみのじゅれい__#」


アベルは体の筋肉を燃やし、身体能力を上げて攻撃を避け、ルーベットは闇で作った身代わりで攻撃を防ぐ。


攻撃が終わるとすぐさま、アベルはビーナスの元へ飛び込み、ルーベットは魔術を放つ。


「#被爆天元!__ひばくてんげん__#」


アベルは拳に炎の魔力を溜めて、ビーナスに殴りかかろうとすると、ブルーヌが防ごうと魔術を放とうとした。


「#死の閃光!__デス・サイト__#」


ブルーヌの攻撃を防ごうとルーベット闇の光線を当てる。


「なに…!?」


「いけ!赤髪!」


「どりゃあぁ!」


ドカンッ!


アベルの被爆天元はビーナスの頭部に当たり、爆発する。


「よっしゃ___」


「水晶転生術、#水晶点眼__すいしょうてんがん__#」


なんと攻撃が当たったはずのビーナスは、なぜかアベルの横に突っ立っていた。


「は…!?」


「水晶魔術、#銀河世界__ナイト・ギャラクシー__#!」


ビーナスは水晶を回し中から無数の光の欠片が飛び散ると、ビーナスの合図で全て爆発した。


「赤髪~!てめぇ…!」


アベルはさっきの爆発で意識を失っていた。


「ふふふ…一人目終わり~。」


「闇魔術、#闇の束縛!__ブラック・チェーン__#」


ルーベットは激怒し、闇の束縛でビーナスを縛りつける。


「私を相手してていいの~?」


「!?」


するとルーベットの足元から茶色の魔法陣とともに岩の壁が現れ、ルーベットを捕まえると十字架のように吊るされた。


「岩魔術、#岩石の十字架__がんせきのじゅうじか__#。これでお前は何もできない。」


「くそ…てめぇら…。おい!赤髪早く起き上がれ!」


ルーベットは意識を失っているアベルに対して叫ぶが意識は戻らない。


「お前はもう終わりだ。俺の岩魔術で朽ちろ。」


「岩魔術…ストーン…__」


「#円天…__えんてん__#」


ブルーヌは炎の攻撃に飛ばされる。するとルーベットを吊るしていた十字架が解け、解放される。


「うるせぇな……ルーベット…。俺がこれくらいで倒れると思うなよ…」


「ふんっ。さっきまで意識朦朧になっていたやつがよく言うぜ。」


そう言うとルーベットとアベルは炎と闇の玉を手のひらに作る。


「なぁルーベット、今からすることマネ出来るか?」


「誰に命令してんだよ!お前が出来ることが俺にできないわけが無いだろ!」


ルーベットがそう言うとアベルはニヤリと笑う。アベルは手のひらの炎を大きくしていぅた。


「#玉炎!__ぎょくえん__#どうだ?」


ルーベットはその巨大な玉を見ると笑い、闇の魔力を手のひらの玉に送り、アベルと同じような玉を作った。


「やるじゃねぇか。じゃああとは、これを…」


「あの女に投げるだけだな。」


そう言うと二人はビーナスを鬼のような形相で睨みつけた。


「ちょっと…嘘でしょ…」


「「くらぇ!」」


「「#炎闇の大玉!__えんあんのおおだま__#」」


ドカン!!


東地区のほぼ全体が炎と闇に飲まれた。


___バスキュア王国・中央地区___


「イグゼルさん!しっかりしてください。」


エレナはイグゼルに回復魔術をする。


「諦めてついてくると言えば、貴方もその娘も仲間も死なずに済むのですよ。」


「だ…ま…れ」


イグゼルは今でも死にそうな声で囁く。


回復をしてくれてるエレナに対してイグゼルは微笑みながら言う。


「今だ…今こそ…お前の精霊の力を…」


「は…はい。わかりました。」


そう言うとエレナは手を重ね、空に祈りを捧げた。


「精霊よ…私、エレナ=エンシャルに精霊の加護を宿したまえ」


エレナは願いをすると、背中から輝く翼が生える。


「精霊回復術、#精霊の涙!__ホーリー・ジェル__#」


エレナは死にかけのイグゼルを黄緑のジェルで包み込む。すると、みるみると傷口が治った。


「ほぉ…精霊の力を宿せるのか。面白い!」


エリゼクトはニヤリと笑った。


「助かったエレナ。その精霊の力で俺のサポートをできるか?」


「分かりませんが、やってみます!」


そう言うと回復したイグゼルはエリゼクトの周りを走り出した。


「魔王魔術、#魔線・乱!__ません・らん__#」


エリゼクトは闇のように暗いオーラをイグゼルが走るルートをなぞるように削った。


「精霊魔術!# 精霊の鉄拳__ミョルニル__#」


そうすると、イグゼルにエリゼクトの技が当たる寸前で大きな樹木のハンマーが振り下ろされ、エリゼクトの魔力がゼロになった。


「今です!イグゼルさん!」


「炎武術!#陽炎!__かげろう__#」


イグゼルは炎を纏い、一瞬にしてエリゼクトの元へ移動した。


(これなら、魔王にも勝てるぞ!)




次回 「錬金ブルーヌ」|

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る