第12話 憎しみは変わらず復讐へと変わり、決して許すことはできない。

ルーベットを解放すると、イグゼルの髪は白から黒に戻り、魔力も元に戻った。


ドクンッ


「は…ゲホッ、くっ……ああああ」


突然イグゼルが胸を抑え、苦しんでいる。


「イグゼルさん!?大丈夫ですか?しっかりしてください」


「くそ……全ての精霊よ解放すると、魂と記憶がけずれる誓約があるらしい…」


イグゼルがそう言うとエレナは驚き、イグゼルを叩きまくった。


「どうして!そういう事を!言わないんですか!」


「すまねぇと思ってる…。でも今回は3分程度しか使ってないから大丈夫だ。」


イグゼルとエレナが話していると、ルーベットが目を覚ました。


「くそ…俺は…俺はこの力を解き、ただの人間として行きたいのに…。」


ルーベットが膝まづいている所に、イグゼル達は近くによる。


「すみません…貴方の過去を見てしまいました。そんな事があっただなんて知りませんでした。」


「うるせぇ!お前達に何が分かる!この憎しみと復讐はどこにぶつけたらいいんだよ!」


ルーベットはエレナに向けて葛藤を飛ばす。しかしイグゼルはエレナの前に立ち話す。


「俺は、魔王グーゼンベルクによって故郷を俺の手によって壊滅させた。そしてその魔王は俺の父親であり、俺はそいつを殺したいと思っている。」


「それがどうした!お前はどちみち自分で故郷を燃やしたんだろ!その"炎の神アドラメルク"の力で!」


イグゼルはルーベットが何を言っているのかよく分からなかったが、エレナは驚いた表情をしていた。


「炎の神ってあの海を蒸発させ、この大地を作り出したと呼ばれる…最強の火の精霊の力!」


どうやら俺は、最強の火の精霊を宿しているらしい。


「俺はあの悪魔を殺し、親そして街の人の仇をうつ…。だから俺は…ここで立ち止まっている暇は無いんだ…どけ」


そう言うとルーベットは足を引きずりながらイグゼルの肩を押し、城を出ようとしていた。しかし、イグゼルは声をかけた。


「俺を殺せない奴が、悪魔族なんか殺せないだろ。無駄死になるだけだ。」


「なんだと…!てめぇになに…が…」


ルーベットが言おうとしているのを上乗せし、イグゼルが話す。


「俺と一緒に来い。俺も悪魔族に用があるし、お前も俺とリベンジしたいと思うしな。」


「はぁ?てめぇ何言ってやがる?」


ルーベットが間抜けな顔をしているのを見てエレナは苦笑いしていた。


「おいエレナ、このボロボロの奴を回復してやれ。どうせ今は戦う気力も無いらしいし」


「はい!わかりました!」






ルーベットを回復したあと、俺達は城を後にした。あいつのオーラが消えたことにより、街の住人が戻ってきていた。ここの王はちょうど出かけていたことから俺達は大きな罪にはならなかった。


そして、魔力切れのアベルを拾いに行った。


「おーい筋肉魔人。お前なんでこんな所で倒れてるんだよ。」


アベルは仰向けで倒れながら掠れた声でイグゼルに言った。


「ぁぁ兄貴じゃないですか……奴とはもう終わったんですか…?あいつは実はそんなに悪いやつじゃ……」


「分かってるよ。てかここにいる。」


イグゼルは横にいるルーベットを指さした。するとアベルは驚き、すぐさま戦闘態勢に入る。


「なんだこの赤髪の雑魚は?」


ルーベットはアベルを見て侮辱すると、アベル急に闘志をむき出しにした。


「ああ?なんだこのガリガリのガリ勉くんは?」


「ああ?」


「ああ?」


どうやらルーベットとアベルは相性が悪いらしい。


「やめてください。2人とも!それより本来の目的を忘れてますよ!」


「本来の目的?」


アベルはそう言うとイグゼルは話をした。


「ああ、ここには優れた剣があるのだろう?そこに早く案内しろ。」





「なかなか頑丈そうな剣だな。」


アベルの案内で強力な武器が手に入る鍛冶屋に来ていた。


「ここの鍛冶屋は近くのカントリーヌ山脈から取り寄せている鉱石を使っているのでとても頑丈なんですよ!」


アベルは親切に詳しい情報をイグゼルに説明する。


「石ころなんかどれも一緒だろ」


「ああ?」


「まぁまぁ落ち着いてください!」


ルーベットがアベルに歯向かい、それをエレナが抑えさせる。


「これを三つ貰おう。」


「どうして三つなんだ?その剣はそんなに脆くは無いぞ!」


「この2つはお前たちの分だ。エレナは魔術メインだから必要ないとして、剣はいずれ必要になるからな。」


そう言うとイグゼルは2人に剣を渡す。


「大切にしやす!」


「これでいつかお前を切ってやるよっ」





鍛冶屋を後にしたイグゼルは次の目的地をどこにするのか悩んでいた。


「このまま東に行ってもいいが、今の俺達では苦戦するだろう。」


「そうだな。どこかで修行できるとこはないか?」


アベルはエレナに聞く。


「私もこの先からは行ったことがないので分かりませんね。」



「俺様は知っているぞ。」


ルーベットは提案をしてきたが、まさかこいつがするとは思っても居なかったのか、全員口を開けていた。


「なんだよ!まぁ修行になるかは分からないが、ここから北にある魔族の街にある、ゼフィアというやつに3年間世話になった。」


「ゼフィアって聞いたことがある。魔族の英雄と呼ばれたやつだな。」


「馬鹿でもそれぐらいはしっているんだな」


アベルとルーベットが喧嘩を始める前にイグゼルが魔力を出し、脅かすと静かになった。


「それでは次は北の魔族の街に行くぞ。」


「おう!」


「はい!」


「ああ。」



こうして俺達は次の目的地、魔族の街を目指すことになった。イグゼル達の旅はまだまだ先になりそうだ。



第1章 炎と闇の協定 [完]

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