第11話 絶対領域

ルーベットは十数の闇の玉を生み出し、イグゼル達に放った。


「エレナ避けろぉ!」


「闇魔術、悪魔のブラッド・エンド


城内は一瞬にして粉々になった。


「ゲホッ…くそ…なんだよこれ」


悪魔のブラッド・エンドをエレナを庇いつつ避けたため、さっき食らったダメージがイグゼルを襲った。しかも食らった箇所の血が止まらない。


「悪魔のブラッド・エンドは負傷した場所の傷跡を防げなくする効果がある。これでお前もむやみにうごくことができなくなるな。アドラメルク!」


「ちっ……ゲホッ」


「イグゼルさん!大丈夫ですか!?今回復を…」


徐々にイグゼルの体はルーベットの術によって疲弊していったが、イグゼルは回復をさせようとするエレナを止めた。


「無駄だ…これは身体できダメージじゃないから意味がない。お前は風の力で、あいつを少しでも足止めしてくれ…。」


「は…はい!わかりました!」


そう言うとエレナは風呪文をルーベットに向けて放った。


「風魔術、破壊のウインド・ブラスト


協力な風で壊れた瓦礫をルーベットに飛ばした。


「無駄なことを……そんな術じゃ俺様には傷一つ付けれねえぜ。」


そう言うとルーベットは瓦礫の方に手を差し伸べ、闇の術をつかった。


「闇武術、#暗黒炎銃蹴り!《あんこくえんしゅうぎり》」


ルーベットは闇の炎を足に纏い瓦礫を全て蹴り潰し、瓦礫は炎によって塵となった。


「なんて、強力な力……、、このままじゃ1分も持たない…」


エレナの呪文は次第に弱くなり、風の力がとうとう消えた。


「へっ女にしては、なかなか根性あるじゃねぇか。」


「はぁ…はぁ…はぁ」


ルーベットはエレナに近づく。


「女を殺すのは趣味じゃねぇが、俺の解放のためだ。悪く思うな」


そういうとルーベットはエレナの方に手を向け、闇の炎を手に集中させた。


「死ね。」


闇の炎がエレナの方に飛ぶ。


「は……たすけ…」


「炎剣術、#気炎返し《きえんがえし》」


ルーベットの技をイグゼルは紅蓮の炎で跳ね返す。


「なに!?」


ドガンッ


闇の炎はイグゼルの炎により威力が上がり、ルーベットの頭部に直撃した。


「イグゼルさん!遅かったですよぉ、」


エレナは泣きながらイグゼルの足にしがみつく。


「離せっ邪魔だろ!…でもまぁよくやった。お前の足止めのおかげで傷口を防ぐことができた。」


イグゼルは、エレナが足止めをしている間に自分の炎で傷口を焼き、出血を止めた。


「…はっは…ははは」


ルーベットは大の字に倒れながら高笑いをし、起き上がった。


「なかなかの威力だったぜ。アドラメルク!俺もお前のことを舐めすぎたようだ。」


そう言うとルーベットのオーラーが城内に膜のように広がり、足を叩くとそれは大きな時空間になった。


「#絶対領域ぜったいりょういき


「この技は、特定の領域を張り巡らせ、その中では俺様の魔力と物理威力が跳ね上がる。さらに、敵に対しては、魔力の消費量が通常の2倍になる技だ。」


「そんな……この空間ではもう私は呪文を出すことができない…」


エレナは先程の足止めでほとんどの魔力を商品してしまったため、この領域では何もできないことがイグゼルでも分かった。


「さぁ、アドラメルクよ。故郷を燃やした時の力を俺に見せてみろ。」


ルーベットが自身げにそう言うと、イグゼルは小さな声でこう言った。


「おい…クソガキ…あまり俺をイラつかせるな。」


突然イグゼルのオーラーが変わり、ルーベットは警戒する。


「お前の解放なんて俺には興味がねぇ。俺の邪魔をするというのなら、」


「殺す!」


そう言うと剣を両手に乗せ、イグゼルは目をつぶった。


「我が魂の根源にある全ての精霊よ、解放しろ。」


イグゼルがそう唱えると、これまでに味わったことの無い魂がルーベットとエレナを襲う。


「なんだ…この強大な力の魔力は…」


「イグゼル…さん…」


イグゼルの紅色の髪は白く染まり、強大な魔力は衣のように全身に纏う。


「ほら、かかってこいよ。虐殺のルーベット」


イグゼルがルーベットに挑発をすると、ルーベットは飛び出した。


「俺様を舐めやがって!命で償え!」


「闇魔術、#死の閃光!《デス・サイズ》」


ルーベットは飛び出しながら両手を広げ、闇の光線を何十回もイグゼルに打つ。打たれた場所は砂煙で見えなくなる。


「イグゼルさん!!」


「ははっ口だけかよっ」


しかし煙の奥に人影が見え、ルーベットの表情が変わる。


「次は、俺のターンだ。」


「な、なんだと…おれのデス・サイズが、聞かないだと…」


イグゼルは、一瞬にしてルーベットの前に行き連撃を食らわす。


「#蓮炎!《れんえん》」 「#炎の炎の渦


炎の剣でルーベットを横断しすぐさま足元に炎の渦を作り、上に飛ばす。


「#海鳴り__うみなり__#」


さらに炎の渦を水に変えた。


「死ね。」


「#吹雪の夜__ふぶきのよる__#」


さらにイグゼルは氷の力を使い城内の環境を吹雪に変え、水の渦が氷で固まった。


「氷の力まで使えるなんて……」


エレナは驚いた表情をする。




氷漬けにしてからしばらく立ち、イグゼルはエレナの元へ行った。


「エレナ、行くぞ。」


「いいのですか…あのままで」


エレナは氷漬けになったルーベットを見ながらイグゼルに聞く。


「あぁ…いいんだ。」


イグゼルがそう言い城から出ようとすると、外から三つの輝く魂がこちらに着た。

その三つの魂はエレナとイグゼルの胸の中に入り込んだ。





気づくとイグゼル達は小さな街にいた。しかしその街は人ではなく、血に染った住宅と、謎の肉片しかなかった。


「お願い……たすけて…ください」


場面は変わり、とある住宅の中にいた。


「お前達人間族は栄養が高い。しかし、もうほかの人間たちは俺達が食ってしまったからな。」


そこには銀髪の少年と巨大な悪魔、そして横たわる少年の父母であろう人物が死んでいた。


「取引をしよう坊や。お前の魂を半分よこせ。その代わりお前には命と悪魔の力を授けよう。そうすれば、俺はお前の魂を毎日喰らえるし、お前も生きれる。」


「で…でも…」


少年は困惑しているようだったが、そこの悪魔はこう言った。


「これは強制だ。お前ら人間風情に決める権利など無いんだよ」


「どうしても、お前の魂を返して欲しければ炎の神アドラメルクを連れてこい。」



悪魔がそういうと、気づけば元の城内にイクゼルとエレナはいた。


体内に入った三つの魂は氷を貫通し、ルーベットの体内に入っていった。


ルーベットは少しだけ泣いているように見え、エレナはイグゼルの腕を持つ。


「術を解いてあげましょう…」


「仕方ないな。」


パキンッ


氷は溶け、ルーベットが倒れる。




次回 1章 12話 (最終話)

「憎しみは変わらず復讐へと変わり、決して許すことはできない。」

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