第10話 虐殺のルーベット

ローランド城にたどり着いたイグゼルとエレナは城の中に侵入した。


「はぁぁ。本当に怖かった…。」


エレナは腰を抜かし、イグゼルにおぶられていた。


「情けない…。戦闘になったら端っこで待機してろ。」


「ところで、例の方はどこにいるのでしょう。」


イグゼル達は辺りを見渡しながら城の奥へ進む。


「イグゼルさん!奥からものすごいスピードで何かが来ます!」


エレナがそういうと奥から黒い魔力の玉がこっちに向けて飛んできた。


「風魔術、風魔の嵐!《アブソール・ウインド》」


イグゼルは手を前に出し竜巻を玉に向けて放出した。


しかしその玉は竜巻を弾きイグゼルの胸に当たり、端まで飛ばされた。


「くそっ…。風の力が効かない…。」


「重いです…イグゼルさんで」


イグゼルの下敷きになったエレナが苦しみながら声を出した。


「あぁ…すまない」


すると奥から足音が鳴り、人影が現れた。


「おやおや、俺の悪魔のブラッド・エンドを食らって立ち上がるか。」


奥から姿を現したのは、銀髪の黒縁メガネをかけた18歳くらいの青年だった。


「…おまえが、ルーベットか。俺達に何の用だ。」


「ああ俺様が虐殺のルーベット、本人だ。お前は西の国を滅ぼしたアドラメルクだな。一度お会いしてみたかったんだ。」


エンシャル王国の兵士も俺の事をアドラメルク?と言っていたが、なんの事なのか。


「ああ…そうだ。だが、初対面で魔力の玉を当てるとはいい度胸だ…な…?」


イグゼルがそう言おうとした時、ルーベットはいきなり飛び出し、蹴りをイグゼルに食らわした。


「お前殺して!俺はこの力を解放する!!」


「なぜ俺を殺す…?」


イグゼルはそう言いつつ、間をとり剣を抜く。


「お前には関係ないことだ。今からお前は俺様の闇に飲まれるのだから」


そう言うとルーベットは全身から紫の禍々しいオーラーを出した。


「あれって…まさか!」


「闇の…力!」


イグゼルとエレナは驚きを隠せない状態で、すぐさま戦闘態勢をとった。


闇の力とは、一般の環境では絶対に宿すことの無い力である。さらに闇の力に対抗するためには光の力で不可能であり、またそれも普段では宿せない力である。


「イグゼルさん…どうするんですか」


「俺の今の力は、炎と風。どちらも相性が悪すぎる。」


「それじゃあ、まだ抵抗できる水の力を宿しましょう!」


エレナはイグゼルに提案するが、イグゼルは難しい顔つきをしていた。


「俺は炎と他の属性は、10時間に1回しか変更できない。」


「え!?」


エレナは衝撃的な顔をしていた。


「話は終わったか?まぁ作戦を立てたところで、俺様の技を防ぐことは不可能だけどな。」


「エレナ!気をつけろ!」


イグゼルはエレナに警戒態勢をとらせる。


「闇の力よ!我に悪魔の血を与え、ひれ伏せ!」


ルーベットの魔力が増大し、両手を上げる。すると空中に何十もの闇の玉が現れた。


「死ねぇぇアドラメルクゥゥ!」


「くそ…!!」





次回 「絶対領域」

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