第9話 たすけて
「はぁ…はぁ…こいつら…」
イグゼルとエレナが城に向かってから30分。アベルはひたすらルーベットの影と交戦し、なぎ倒すが一向に倒れる気配が無かった。
「どうしたらこいつらを倒せるんだよ…」
「お前達に俺達、(影)を倒すことは不可能だ。」
影の男がそう言うと、自分の胸に手を突っ込み何かを取り出した。
「これは、ルーベット様の記憶の一部。私達はこれを糧に動いている。俺達を倒すためには、ルーベット様が意識を失うか、記憶ごと俺達を消すしかない。」
アベルはそれを聞くとニヤリと笑い、炎の玉を影達に投げつけた。
地面に当たった玉は影達の目の前で燃えた。すると当たってもいない影達の足下が消えた。
「消す?そんなの簡単だわ。影は光には勝てない。そうだろ?」
「…?」
「だったら炎の光でお前達を消し去ってやるよ!」
そう言うとアベルは、両手を上に上げて全てのエネルギーを両腕に集めた。すると、まるで太陽の如く大きな玉へと変わった。
「はぁ…はぁ…これを使ったらしばらく動けなくなっちまうが、お前達が消えるなら。本望!」
「魔人炎魔術、#玉炎!《ぎょくえん》」
「よせ!…」
影達はその玉を見て逃げ出すが
「くらえぇぇ!!」
ドガンッッ
影達は巨大な炎の玉に逃げることができず、消え去った。
街は、一瞬にして高温度になったため、蒸気が出ていた。
「はぁはぁ…やった…」
パタンッ
アベルは全ての魔力を使い切ってしまい体が動けない。
すると消え去った影たちの所から三つの魂がアベルの所に行った。
「…これが…悪魔の…魂」
そういうとアベルはその魂の1つに触れたその瞬間。
「お前に選択肢をやろう……」
「やめて…ください…これ以上…家族を…街を…」
「俺の一部になれ…!」
「やめてください…お願いします。」
「たすけて……ください…」
「はぁ!」
アベルは一瞬、その記憶の持ち主の一部を見た。それはとても悲しく、残虐なものだった。
「なんだ……今の…あんな恐ろしい…や…つ」
そう言うとアベルは意識を失ってしまった。
___ローランド城近く___
「アベルさん大丈夫でしょうか…?」
エレナは不安げな表情を浮かべている。
「まぁ…大丈夫だろう。さっきの炎もきっとあいつのものだろうし」
そんな話をしているうちに、イグゼル達は崖の前まできた。
「どう登るか。エレナ、風の呪文で俺を飛ばせるか?」
「えぇ!できますけど、私の魔力では崖の半分しか行けないと思います。」
「そうか……なら…」
「きゃっ何を!?」
そういうとイグゼルはエレナをかつぎ、呪文を唱えた。
「風の精霊よ…真なる翼を授けたまえ。」
「まさか!風の力を!?」
「風魔術、
イグゼルが呪文を使うと足元から巨大な竜巻が現れ、上に飛んで行った。
「しっかり捕まれよ。」
「きゃぁぁぁ!」
次回、虐殺のルーベット
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