第6話 旅立ち

「あぁ…ここは…」


「目が覚めましたか?ここは貴方の村ですよ!」


どうやらアベルが目を覚ましたようだ。


決闘のあと、すぐさまエレナが精霊の力を使いアベルを回復した。まぁ一時的な酸欠で倒れたワケだから、大したケガではないと思うが、


「俺は…負けたのか…」


「そうだお前は負けた。これでようやく俺の話を聞いてくれそうだな。」


それから俺はアベルに故郷のことと、俺がグーゼンベルクの仲間では無い事を説明した。


「そうだったのか……。すまなかった。俺は怒りでなんの罪もないお前らを殺そうと思ってしまった。」


アベルは反省した趣で俺らに話をした。


「お前もグーゼンベルクを殺したいと言っていたな。だったら俺らも連れて行ってくれ」


「それは無理だ。これだけの人数を連れて行けるだけの力は、俺もお前も無い。連れていくのはお前だけだ」


アベルは少し悲しげな顔をしていたが、決意が決まったようか真っ直ぐな顔をした。


「わかった俺はいくぜ。魔王グーゼンベルクを倒して再び戻ってくる。」


そう言うとアベルは魔人達の元へ行った。


「すまねぇなお前ら、俺はいまから魔王を倒しに行ってくる。その間はお前ら10人でこの村と5人の家族を守ってやってくれ。」


10人の魔人たちは泣きながら頷いていた。

アベルは、その子らを後に俺の方にやって来てこう言った。


「さぁ、行こうぜ兄貴。ぱぱっと魔王グーゼンベルクを倒しに!」


「あぁそうだな……その前に」


「ん?」


「武器を買わないと。」


「またですか!?もうお金そんなに無いですよー」


エレナは苦笑いしていた。


「良い武器が手に入る街を知っているぜ」


アベルは自信満々に答えた。

どうやらここから南東にある海辺の街、ローダンド王国と言うらしい。


「なら、そこに向かおう。」


「しかしだな、そこはかなり治安が悪くて冒険者がよく襲われるとこなんだよな。」


「えぇえ!それはちょっと……」


エレナが嫌そうな顔をして、行きたくないオーラを出していだが…


「関係ない。行こう」


「え!ちょっとイグゼルさん!考え直して下さいよー」


エレナは俺の体を引っ張るがお構い無しに進む。それを見てアベルは笑っていた。


「楽しい旅になりそうだな。」


アベルは小さく呟いた。


「早く行くぞアベル。」


「ああ!」


こうして俺たちは魔人族の領地を後にし、次なる目的地ローダンド王国に向かうのであった。





次回、闇の住人

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