敵襲
第10話 アシア・カルべ
アシアは操縦バーを離し、ドリンクを手に取り、冷めたコーヒーを口に含んだ。
苦味が口の中に広がり、今までの眠気が一気に冷めた。
スクリーンには、宇宙空間に鉱物採取機が小惑星の大地を掘削している状態が映し出されている。
あと、数時間で警戒勤務が終わる。
アシアは、再び操縦バーを握った。
アシアが操縦しているのは、辺境小惑星の無人戦闘機アーレンである。
アーレンは、主に無人の鉱物採取用小惑星の宇宙盗賊対策として配備されている。
また、鉱物採取機に異常がある場合、アーレンで修理する必要があり、この時は人型で作業する。
人型の時の体長は5メートルであり、機関砲が両肩に装備され、カラーは、小惑星連合のカラーであるスカイブルーで塗装されている。
アーレンは小惑星内外では飛行型で警戒任務に当たっていた。
アシアは、小惑星連合軍第七方面本部星海警戒隊に所属している。
階級は准尉であり、第三小隊の小隊長であった。
アシアの率いる第三小隊は、第七辺境小惑星群の中心小惑星サベランを拠点としている。
任務は鉱物や鉱物採取機を狙う宇宙盗賊の取り締まりと独立気配を示す小惑星グループの警戒である。
宇宙盗賊は小型急速無人機で、小惑星に接近し、鉱物貯蔵タンクを奪取し、操縦者が乗船する母艦へ戻る手口で、鉱物を窃取していた。
また、この頃、第三小隊が管轄する小惑星では、浮浪者による鉱物の盗掘が頻発していた。
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