第9話 ハヤテの旅立ち

 マシノが開発した無人耕作機は、タレスの乾いた大地に潤いをもたらした。


 赤い空のガスは、ガス採集機により、動力となり、大気が大地に自然を齎らし、雨を降らせ、植物が息吹き、花が咲き始めた。


 大地は耕され、穀物や果物、野菜が栽培され、開拓使の人々は、体と心に健康を取り戻し、飢えて死ぬ者は、いなくなった。


 マシノとハヤテは、自ずと開拓使の人々のリーダーと仰がれ、マシノが開拓使長、ハヤテが開拓副長となった。


 ハヤテは、他の小惑星の開拓を夢見ていた。

 地球生まれの彼は、鉱物の採掘を諦めていなかったのである。

 ハヤテは、35歳になり、マシノに、他の小惑星の開拓を計った。

 ハヤテから、計画を打ち明けられた時、暫く、青い空を眺めていたが、


 それはいい考えだ。兄さん。


 とすぐに賛同し、再び宇宙へ打ちあげる船の整備に取り掛かった。

 ハヤテの父たちを運んだ船は、すでに老朽化していた。


 ハヤテの父は、すでに他界していた。

 ハヤテの父が求めた鉱物はついに、命があるうちに手に入れることはなかった。


 ハヤテは整備士の生き残りを探し出すと、動力をガスに切り替え、タレス生まれの若い者を募り、300の若い男女と宇宙に点在する小惑星へ旅立ったのである。


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