第6話 マシノの覚醒

 マシノは居住ステーションから水を畑に供給する水路に、中間地点に水路と畑を繋ぐ貯水池を作った。


 作業は人力ではない。

 作業用無人機をわずか一週間で完成させ、居住ステーションから制御し、水路に貯水池を整備していった。


 無人機の動力は、タレスを覆う厚いガスである。

 大気は、居住ステーションの周りや僅かな開墾地にしかなく、依然として、厚いガスに覆われていた。


 ガスは、穀物の成長に大きな弊害をもたらしていた。


 マシノは少年の頃からガスに包まれた赤く渦巻く空を見上げていた。


 マシノはガスに着目していた。

 人々を悩ませていたガスを。


 マシノは廃棄されていた鉱物採集機をガス採集装置に転換させた。

 ガス採集装置で 空のガスを採集し、空の大気を安定させ、また、採集したガスを無人機の動力として活用したのである。


 マシノは、スタディスポットを卒業し、ガス採集、無人機の製作、貯水池の整備まで半年間でやってのけた。

 それも一人で、だ。


 義父の開拓使長は、タレス生まれの子の才覚と、その手腕に驚きと喜び、そして、タレスの未来に一筋の光明を見た。


 開拓使長は、会議に諮り、マシノを開拓使分長に任命した。


 ここに、小惑星連合を築いたマシノ・カルべの歩みが始まった。



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