第4話 大人たちの絶望

 タレスのように、開拓使が送り込まれた小惑星は、幾つもあったが、そのいずれもが有用な鉱物などなかった。


 幾つもの小惑星で、開拓使たちの命が途絶え、その小惑星から、生命が消えて行った。


 タレスには、20年前に到着した開拓使たちに続き、新たな開拓使が到着することはなかった。タレスで生まれた僅かな子たちは、やがて大人になろうとしていた。


 大人たちは、発掘を諦め、スニタニーのことを忘れようとしていた。いや、忘れようと努力した。


 タレスで生まれた子たちは、大人たちの葛藤と、絶望から、災いを避けるように、大気を得た大地で、羊や牛を犬とともに追いかけ、駆け巡るのだった。


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