Episode7 チエコ先生とキクちゃんの水平思考クイズ【2】『感謝の祈り』
【問題】
とある一軒家の六畳間で暮らしていたC乃さんとD香さんの間で口論が始まりました。
彼女たちの口論の内容は、私の方がずっと可愛いだの、私の方があなたよりずっと大切にされているなどといったことでありました。
最初はヒソヒソ声で始まった口論も次第にヒートアップしていき、彼女たちの声の大きさと激しさに、この一軒家の主であるE夫さんも駆けつけてきました。
最初は呆然としていたE夫さんでしたが、もはや掴み合い寸前となっているC乃さんとD香さんの口論を止めることはせず、その場に跪き、普段は信じてもいなかった神様へと感謝の祈りを捧げ始めました。
さて、なぜでしょうか?
【質問と解答】
キクちゃん : お次の問題は、何やら恋愛トラブルっぽいですね。えーと、チエコ先生、C乃さんとD香さんの口論の中の「私の方があなたよりずっと大切にされている」ですが、これは一軒家の主であるE夫さんから大切にされていることを指していますか?
チエコ先生 : YES。その通りよ。
キクちゃん : 彼女たちは二人ともE夫さんのことが好き、そして、E夫さんは二股をかけていたということですか。……これは単に『二人の女に取り合いされている俺』という状況に酔ってしまっている軽薄な男の人の話にしか思えないです。でも、それだと単純すぎてクイズにならないですよね……ん? 冒頭部をもう一度読むと「とある一軒家の六畳間で暮らしていたC乃さんとD香さんの間で口論が始まりました。」とありますね。まさか、これって……E夫さんは二人の女性を囲っていた。いいえ、彼女たち二人と暮らしていたということですか?
チエコ先生 : YES。ちなみに、この六畳間はE夫さんの寝室でもあるわ。
キクちゃん : うわぁ……ますます最低ですね。それぞれに個室を用意してあげる甲斐性があるならまだしも……三人とも同じ寝室だなんて気持ち悪い。チエコ先生、私、まだ一応は15歳って設定なんですが…………このクイズの真の問題は、爛れきった性生活だと思うんです。
チエコ先生 : そうかもしれないわね。でも、それを深く追及しても、解答にまではたどり着けないわ。問題文の後半部に注目よ。
キクちゃん : 私が後半部で引っかかるところと言えば、「その場に跪き、普段は信じてもいなかった神様へと感謝の祈りを捧げ始めました。」です。自分をめぐって二人の女性が喧嘩をしているというのに、E夫さんが”感謝の祈り”を神様に捧げるのは解せないです。
チエコ先生 : キクちゃんが神様に感謝の祈りを捧げるとしたら、どんな時? それを考えてみて。
キクちゃん : 私が神様に感謝の祈りを捧げる時といえば、穏やかな幸せを感じずにはいられない時、さらには、もう無理だと思っていたことがスムーズにいった時、そして……あり得ない奇跡を目の当たりにしてしまうことがあったなら……あ! まさか、”C乃さんとD香さんが口論をする”といいますか、会話をすること自体、普通に考えるとあり得ないことだったんですか?
チエコ先生 : YES。だんだん解答へと近づいてきたわ。その調子よ。
キクちゃん : ……C乃さんとD香さんは、人間ですか?
チエコ先生 : NO。彼女たちは人間じゃない。
キクちゃん : !!! ……ということは、彼女たちはE夫さんに大切にされているペットですか?
チエコ先生 : NO。
キクちゃん : そうなると天使か妖精か、いわゆる空想上の存在だったんでしょうか?
チエコ先生 : NO。だけど、極めて線引きが難しいNOよ。彼女たちは天使や妖精ではないけど、”空想上の存在”という大きな括りで考えると、YESと答えられるかもしれない。特大ヒントをあげるとするなら、キクちゃんと同じ名前の子が北海道の萬念寺にいるわ。
キクちゃん : あ! やっと分かりました。C乃さんとD香さんは、人形だったんですね?
チエコ先生 : YES。キクちゃんは、R15がOKな年齢設定だから言うけど、彼女たちは人形は人形でも、市松人形でもリカちゃん人形でもなくて……いわゆる”大人な目的のために作られた人形”(ダッチワイフ)よ。彼女たちのカスタムには、E夫さんも相当にこだわったでしょうね。
(完)
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