第31話 七海編
「康介、次はどこに行くの?」
「バッティングセンターに行きましょう」
「いいね」
俺と七海はバッティングセンターに向かった。
ここのバッティングセンターは本物と違うので80km、100km、120kmの3つしかない。
まぁ3つ揃ってるだけで全然いいか。
「さっそくやりましょうか」
「そうね」
そして俺は100kmのところに入った。
「負けた方は罰ゲームね」
「わかりました」
「もちろんハンデとして私は80kmね」
「わかってますよ」
今度こそ勝って罰ゲームは逃れたい。そして七海と手を繋ぎたい。
「康介がんばれー」
煽ってくるような応援だったけどなんかすごい打てる気がしてきた。
俺はバッターボックスでカッコつけルーティンをしてから構えた。ピッチャーが投げてくるのに合わせて足を引き向かってくるボームにバットを合わせた。
「ふっ」
フルスイングして空振りだった。これはダサい。
「ふふ、康介可愛いわね」
「今のは違いますよ!?」
恥ずかしかったから少し誤魔化してしまった。
「パコーン」
次はヒットだった。
それからも打っていき、結果20球中ヒットの当たりが9本と初心者にしてはなかなかの結果だった。
「すごいわね」
「七海これは越えられないでしょ」
「ホームラン打ったらその時点で勝ちでいいかしら?」
「それはもちろん」
七海がホームランを打てるわけないからね。そもそも女の人の初心者でホームランなんて絶対無理だ。
「じゃあ始めるわね」
七海がバッターボックスに立ち俺は見守った。1球目はサードあたりのゴロだったが2球目はセンター前のヒットを打った。
「すごいでしょ?」
「え?なんで?」
七海上手くね?いや、多分まぐれだ。たまたま当たり所が良かっただけだろ。
そう思っていると3球目4球目もヒットを打っていた。
え?これなんかおかしくね?
そして5球目に七海はホームランを打っていた。
「康介見た?ホームランだよ」
すごい笑顔で振り返ってきた七海に可愛いとかの感情より前にあるひとつの思いができた。
「七海運動神経良すぎない?」
「そうかしら?普通じゃない?」
その後もヒットなどを打ち、結果20球中ヒットが11本ホームランが1本だった。打率良すぎだろ。俺は心の中でそう思った。
「また私が勝っちゃったねー」
「今日勝てる種目ないかもな」
「そんなことないよー」
七海はとても余裕そうに答えていた。
「えーとじゃあ罰ゲームは私と手を繋ぐ事ね」
「え?」
俺は聞き返してしまった。なぜなら俺と同じことを七海が考えていたからだ。
「手を繋ごうって言ったの。何回も言わせないでよ。もう」
最後のもうは可愛すぎです。
「わ、わかりました」
俺は恐る恐る七海の手を握った。紅葉とは違う女の人の手の感触にドキドキしてしまう。
「緊張してるの?」
「当たり前じゃないですか。ずっと推してた人と手を繋げるなんて緊張しない方がおかしいですって」
「ふふ、嬉しいわ」
七海は余裕そうに手を繋いでいた。
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七海Part
うわぁーーーー康介と手を繋いじゃった。好きな人と手を繋ぐとこんなにドキドキするものだっけ?私本気で康介のこと好きなんだ、絶対康介のことは逃がさないからね。紅葉、悪いけど私が勝たせてもらうわ。
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