第5話 電話

「あ、もしもし康介君?」

「はい、そうですけど」

「ちょっとなんでそんなに元気ないの?」

「緊張しているだけです」


今俺は神崎さんと電話をしている。なぜそのような自体になったかというと10分前にいきなり電話していい?と聞かれ断るに断れず了承してしまったのだ。


「へー私相手に緊張するんだー」

「当たり前じゃないですか?」

「てかなんで敬語なの?この前は敬語使ってなかったじゃん」

「あれは彼氏役という仕事なので」

「じゃあこれからも敬語なしで」

「いや、いきなり」

「あの時もいきなりだったけど?」

「わかりましたよ!」

「わかりました?」

「わかった」

「はい、OK」

「で、なんか用があったの?」

「そうそう、今度私のコンサートがあるから見に来てよ」

「え、ほんと?」

実は知ってましたなんて死んでも言えない。

「うん!チケットもあるから絶対見に来てね」

「わかった」

「お、意外と素直だね。もしかして本当は私の事見たかったのかな?」

「まぁそれもあるわ」

「え!」

「いや、学校とはどんな感じで違うか見てみたいから」

「そーゆーことね」

「じゃあ見に来てくれるってことでいいの?」

「うん」

「ありがとう」

「友達も誘っていいかな?チケットある?」

「大丈夫だよ!1枚で2人まで見れるから」

「ありがとー」

「じゃあ私頑張るね」

「おう、頑張れよ。応援してるわ」

「あ、そうだ。この前新しいCM出てたでしょ?あれめっちゃ良かったよ」


そのCMは人気商品のパカりが期間限定デザインで販売されるというものだ。


「あれかー、実際見られて褒められるのって恥ずかしいね」

「俺からしたら国民的アイドルと電話してるっていう状況がとても恥ずかしい」

「そーなの?」

「そうだわ」

「今日は夜も遅いし、これできるぞ」

「うん、ありがとね」

「ああ」

「また今度電話してもいいかな?」

「いいぞ」

「ありがとう!じゃあまた今度ね」

「おう!」


そして今日の電話は終わった。


「はぁー、こんなの耐えらんないって」


ファンの俺からしたらとても嬉しい時間だった。






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