第81話 やっぱり持ってなかった属性
なんだこの姿は?!これがヴァンパイアロードなのか?
俺は映し出されたロード・ブレーゲルのおぞましい姿を見て思わず声を出して立ち上がってしまった。そしてそれは、隣で座って見ていたミルも同様だった。
ロードがこちら側を向いた時の映像には、思わず一瞬防御の構えを取ってしまったほどだ。
それほどロードの容姿は凶悪で不愉快であり、かつ不可解な姿だった。
まず大きい2つの魔眼は金魚の出目金のように左右に出ていた。それじゃあ正面が見えにくいだろうと思いきや、額にも気持ち悪い縦長の眼が開いていた。
髪はなく、頭部は前世の映画で見た「エイリ○ン」のように上側と後方に大きく出ていて、口は耳近くまで裂けている。
両肩からは異常に長い腕が生えていた。まあこれは他の魔物でもあるかもだが、気持ち悪いのは何故か手と同じ長さくらいの足が、脇から生えていることだ。
何故そんなところから生えた?そもそもそこから生えた足になんの意味があるのだろうか?
また胴体も気持ち悪い。
オーク顔負けの肥満体で、前世で読んだ有名マンガ「世紀末の救世主な伝説」で出てきた『ハー○様』を倍にしたような胴体だ。更にそこから下には色も形も違う4組の足・・・・つまり合計8本の足があり、これがまた不気味だった。
この足だけは・・・・絶対に変異とかで出来た足なんかじゃない!
巨大に肥満した自身の腹の中に4体の何かを取り込んで、足として使っているだけだ!
「さっちん、こいつの足って・・・」
「はい、お察しの通りで今までロード・ブレーゲルが倒した2体の神族と2体の
魔族の足です。
ロード・ブレーゲルは倒した敵で使えると思った能力を持つ相手を、自身の中に
取り込む事で更に強くなったのです。
足の部分はまあ、見ての通りの体なので取り込んでも足だけは残してそのまま
使っていたワケですね」
うげ!マジで気持ち悪い!
しかし体の中に取り込むってヴァンパイアが?しかも神族までも?
まったくもってワケがわからん!
「ミルはこのロードの事で、エルダーヴァンパイアからどんな事を聞いて・・・・」
ってミルは?あれ居ないぞ?
周りを見渡すと、俺の後ろに隠れていた(いつの間に?)
俺が座っていたイスの背もたれ部分にしっかり捕まって、ブルブル震えていた。
「さっちん、とりあえず・・・・」
「判っていますよ」
そう言ってさっちんは画像を消した。
「ミル、もう画像は消えたから大丈夫だぞ」
俺が教えると、ミルはほっとしながら元のイスに戻っていった。
「あ、あのすみませんでした。
なんかその、ロード・ブレーゲル様の姿を見たら驚いて怖くなってしまって・・・・
それにその・・・・何か良く判らないのですが凄く不愉快な気分になって・・・・」
申し訳ありませんと謝罪しながら、イスに座るミル。
ああ、ミルも俺と同じ気分になったのか。
やはりあの容姿は変わりすぎているだけではなく、あまりに異常すぎる。
そして何故か『不愉快』になる。
俺は改めてミルにあのロードの事でエルダー・・・・
・ ・ ・ ・ ・
いやまて、その前に俺は重要な事に気づいた
ミルが自分のイスではなく、俺のイスの背もたれ部位に捕まって隠れていたという事は、ミルはさっき俺を「盾」にして隠れていたってことかい!
いや、それはまあいい。盾にされた事は。
けどそれなら・・・・
怖くて隠れていたというのなら・・・・・
『背中に引っ付いて爆乳を押し付けるように隠れる』というのが、お約束であり王道ではなかろうか?!
(↑大真面目!)
逆にそうされる事が『主人公属性』というものではないだろうか?!
別に背中でなくてもいい!
顔に抱きつかれて意図せず「ぱふ○ふ」状態になるとか、抱きつかれた瞬間一緒に倒れてその結果何故かパンティー丸見えでその中心部位に主人公(つまりこの場合は俺)の鼻と口が軽く埋まってしまうとか、そこまでの展開は期待しない!
(そう言いつつ、そうなったらいいなという願望はかなりあるが(w)
でも、でもせめて・・・・
腕に抱きついて、その爆乳の間にはさんで欲しかった!
(↑超大真面目)
ちくしょう!
こういう時には必ず羨ましい結果に恵まれるという、前世で見たアニメ主人公の『結○リ○』がうらやましいわ!
(↑判らない人は『とらぶる』という言葉に似ているアニメを探して下さい)
いやそんな事よりさっちん、今すぐ俺に『主人公属性』を付けてくれ!
そして今のシーンをもう一度やり直してくれいっ!!
[ ゴ ー ー ー ン !!]
「うぎゃぁあ!!」
以前聞いたことのある『鐘の音』がまた頭の中に鳴り響いて、俺は鐘の音量と振動で頭が痛くなって転げ回った。
「お願いされたから説明しているというのに、ちゃんと聞いてますかっ?!
あとそんな属性はこの世界にありません!
自分で努力してください!!」
ちょっとお怒りモードで説教するさっちん。
そんなさっちんと俺を交互に見て、ワケが判らずオロオロするミル。
うう、頭が痛い・・・・でもまあ正気に戻った。
すまないさっちん、ちょっと取り乱した。
けどさっちんよ、判って欲しい!
そういうトラブル的なエッチぃ事って、男からしたら憧れなんだよ。
前世の同志一億人にアンケートを取っても、ほぼ全員が同意するだろう。
自信を持って言えるぞ、俺は!
「そんな下らない事を自信有り気に言わないでください!ホントにまったく!!
ちゃんと聞いてください、これから重要な事をたくさん話すのですから!
迷宮が世界の『癌』のようなものである事とか、
ロード・ブレーゲルの何処が腐っているのかとか、
そしてミルさんとニルさんもブレーゲルの件で少なからず関わりが
あるとか、そういった大事な話なんです!」
はい?
「迷宮が『癌』??」
「私とニルお姉ちゃんがロード・ブレーゲル様の事で何か関係あるのですか?」
俺とミルは、さっちんの言葉を聞いて一緒に驚いた。
まあ、驚いている点は違うけど。
『迷宮または地下迷宮(と書いてどちらもダンジョンと読む)』
それは前世の一億人同志達にとって、おそらく憧れの1つと言えるであろうモノだ。そしてマンガやゲームなどでも決して欠かせない存在だ。
その迷宮が・・・・この世界にとっては『癌』ってどういうことだよ?
ホント、異世界って摩訶不思議だ。アドベンチャーだよ!
次々と新事実が出てくる。そして聞きたい事も増えていく!
俺とミルはまた引き続き、さっちんから話を聞くのだった。
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
書いていて思った事ですが、やっぱりエッチなトラブルって
そうそう起きる事じゃないですよね?
ホント、現実で起きてくれないかなぁ・・・・(涙
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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