第75話 こんな所に美女が居た! 5

 ミルの発言に興奮してしまった俺。

「落ち着け。落ち着かなきゃ!」と理解はしていても、どうにもならない。


 だって前世じゃ童貞のまま死んだ俺が、爆乳美女から「何でも致します」って言われたんだから。


 「何でも」の中に『嫁』とか『エッチ』が含まれているとは限らないけれど、でもミルのお願いは間違いなく『命掛け』の願いになるわけだから、それらも含まれる可能性はすごく高い。


 これで『興奮するな』ってほうが無理ってもんだろ?


 今、俺にはビックチャンスが来ている!まちがいなく

この爆乳美女ヴァンパイアハーフを『嫁』に出来るというチャンスが!


 つまりは、この爆乳を好きに出来るという事でもあるのだぁ!!

(↑ おっ○い大好きがダダ漏れ)



 すぅー はぁー

 すぅー はぁー

俺は深呼吸をしてから、まずミルに対して返事をした。


「判った。こちらの条件を受けてもらえるのなら、

 一緒にヴァンパイア領へ行ってあげてもいい」


 ちょっと声が震えているが、見逃してほしい


 でもミルはそんな事気にもしなかった。


「ほ、本当ですか!? ありがとうございますっ!」

嬉しそうな顔で元気よくお礼を言って、また土下伏せをした。


「まあまて。まだ早まるな。

 『条件を受けてもらえるのなら』って言っただろう?

 条件をミルが受けられない可能性もあるんだから」


 そう言う俺のほうが、内心では早まっているのは内緒だ。

だってこの美しい顔とけしからんくらい主張しているお胸様が俺のモノになるチャンスなのだから。


「はいっ!もちろん判っています!

 それで、条件とは何なのでしょうか?」

と、あきらかに『絶対に何でもお受けします』って感じ全開で聞いてくるミル。



 ・・・・


 『ドクン ドクン』と、さらに高鳴る俺の心臓。


 さあ、ついに来てしまった。

例えるなら「運命の分岐点」、もしくは「最初のセーブポイント」か?

どういう条件にするかで、今後の展開が大きく変わるであろう場面が!


 ここで少年マンガのヒーロー的な存在なら、こんな感じで言うのだろう。

『救ってあげたら、お姉ちゃんにちゃんと気持ちを伝えて仲良くするんだぞ?』

って感じの、自分には何も見返りは要らない的な台詞をな。

(まあ、多分その後で好かれて結ばれるのがヒーローなんだろうけど・・・・)


 

 けど俺には、『見返り不要』なんて勿体ない事は出来ないっ!


 こんな爆乳美女なんだぜ?

これはもう、「ミル自身を要求する」の一択しかない!! 


 

 ―で、だ。


 問題は、どう要求するかだ。

つまり条件を『俺の嫁になってくれ』と真っ直ぐにお願いするか、

それとも『1回だけ俺と・・・・』みたいなエッチな条件にするかだ。


 1回でも関係を持てばミルを『シグリーシャの盟約者』と出来るので、結果的に俺の嫁的存在に出来るワケなんだが、要求がストレートすぎると嫌われる可能性も多いにある。

 

 時にはそういったストレートな要求が逆に好感度を上げる場合もあったけど、

ミルみたいな純情な子にはやっぱりマイナスな気がするな・・・・


 チラリとさっちんを見るが、つーんとそっぽを向いている。

まあ、前から言っていたようにこういった事には協力しないって事だよな。


 ・・・・うん、ここは『俺嫁』にするべきだな!決めたぜ!

信じるぜ、俺の前世の経験よ!

(↑あくまで前世の『恋愛ゲームの経験』ですけどね。byさっちん)



 変なツッコミが聞こえたかもだが、気にするもんか!


 さあ、言うぞ! 


 大丈夫だ。今のこの流れは成功するパターンの流れだ!(多分)



「その、な・・・

 ま、まずは嫌なら断ってもらって構わない。

 良い場合でも、当然成功してからで構わないんだが・・・・


  

 ええと、つまりな、ミルに・・・・



 ミルに俺の・・・・

 俺の『嫁』になってほしいんだけど・・・・」




 恥ずかしくて、途中で下を向きながら言ってしまった意気地がない俺(w


 でも、なんとか最後まで言い切ったから良しとしよう


 よくよく考えると、これが前世も含めて初プロポーズになるんだな、俺。

いきなりこんな場面が来るなんて、ホント想像すらしてなかったよ。

こんな事なら、もっと告白の練習もしておくべきだったなぁ・・・・


 ・・・・ 


 なんか静かだな?


 そう思って、顔を上げてちらりとミルを見る(笑)と・・・・


 


 ミルは固まっていた




 ・・・・(20秒経過)


 ・・・・(30秒経過)




「わわわわ私とですかぁあ!!??」


 急に声をあげたかと思うと、顔を真っ赤にして前世で見た映画「蛇拳」の修行シーンのように、土下伏せに近い姿勢のまま両手の動きだけで下がっていった。

なんつう身体能力だ。さすがヴァンパイアハーフ。


「そ、そうだけど・・・・や、やっぱり嫌かな?」


「さ、さ、さっきも言いましたけど、私は半吸血鬼人ヴァンパイアハーフなんですよ?」


「あ、うん聞いたけどさ。

 でも、ミル自身がさっきまだ『人』だって言っていたよね?」


「そ、そうですけど・・・・

 でも魔眼を有していて、人なんて簡単に殺せる腕力もあるんですよ?

 そんな私を、そ、その、よ『嫁』なんかにしたいんですか?」


「そそ、そうだ。

 だ、だってミルは『凄い』とか『とても』が頭につく美女だからね」


「わ、私が、こ、怖くはないんですか?」

 

「お、俺からすれば怖いどころか

 『美女』『抜群のプロポーション』『優しい』

 と、魅力が揃いまくっている女性だ。

 そんなミルを怖いと思うより、俺の嫁にしたい気持ちのほうが強いよ」

 ちょっと言うのが照れくさかったけど、俺は正直にミルに伝えた。


 ・・・・あれ?

ミルはワナワナと震えていたかと思うと・・・・


『ブシュウゥウウウウ!!!!!!!!』


顔を赤くして、前のめりに倒れちまった。


 

 なに、この純情ヴァンパイアハーフは?

こんな子が、転生したこの世界にはたくさん居るのか?


 本当に、異世界転生して良かった♪



 ―(そして3分後)―



「も、もう大丈夫です。

 す、すみませんでした」


「い、いや、別に構わない。

 でも、ミルなら俺以外にもそう言われた事は無かったのか?」


「な、無いです!ぜんぜん全く無いです!」

首を全力で振って否定するミル。


「そうなのか?このジャスティス家の誰からも言われた事はないのか?」


「いえあの・・・・普通の人間はその・・・・

 すぐ私の魔眼によって『魅了』されてしまうので、私の事は覚えていません・・・・」


 なるほど。どおりでミルの事が全く噂になってないワケだ。

何せヴァンパイアロード譲りの魔眼だからな。

普通の人間が耐えられるハズもないか。


「じゃあ、シュワンがミルの事を覚えていなかったのも?」


「はい。私に魅了されてしまったからです・・・・」


「じゃあヴァンパイア領では?ヴァンパイア達からは何も言われなかったの?」


「周りのヴァンパイアは全員みんな美男美女でしたから・・・・」


「あ、そうか。ヴァンパイアって美形の異性の血しか基本吸わないんだっけ?」


「は、はい。

 なのでその、私なんて普通以下だと・・・・」


「そんな事はない!ミルだって凄い美女だ。」


 俺がそう言うと、指をもじもじさせてテレるミル。

両手の人差し指を合わせてもじもじするなんて、ますますポイントが高い!


「それにミルは顔以外でも、その・・・・

 さらに魅力的な『胸部』を持っているだろう」


 口に出してから、俺は後悔した。

馬鹿たれが!こんな時にいうことか?俺よ!

そんなんだから、前世でモテなかったんだろうが!


 そう思っていたが・・・・ミルは嫌な顔はせず、むしろ驚いた顔をしていた。


「そんな・・・・嘘でしょう?

 こんな大きくなりすぎた胸、むしろ気持ち悪くないですか?」



 ・・・・はい?


 何を、何を馬鹿な事を言っているんだ?


「何を馬鹿な事を言ってるんだ!?そこがミルの一番魅力ポイントじゃないか!!

 女性の中で選ばれし僅かな者しか持てないものを、ミルは持っているんだ!」


「ほ、本当ですか?」


「もちろんだ!胸は大きいほうが絶対良いんだ!(力説)

 そこには夢や愛や希望が詰まっていると、昔から言われているんだ!

 直に見てないから、美しいとまでは言えないけどな。

 形とか、身体とのバランスとかあって・・・・」


 そう熱く語っていた俺だったが、言葉を途中で止めた。

いや、止めざるを得なかった。


 だって、ミルがいきなり立ち上がって・・・・


「じゃ、じゃあ見てくださいっ!

 ほ、本当に・・・・ こ、こんな胸が魅力的ですかっ??」


 そう言って、メイド服の白エプロンの肩紐を外し・・・


 そしてワンピースの前ボタンを外して・・・・




 バ  イ  ー  ー  ン !!( × 2)



 ミルが自身の胸を、俺に見せた!



 胸部から現れたのは、紛れも無く『美』がつく爆乳だった。


 突起型とでもいうのだろうか?胸がミサイルのように出ている。

また若干左右に開いている。


 でもそれがキチンと美しい形をしていて、かつ身体とのバランスを保っていて、

凄く魅力的だった。


『ブシュウゥウウウウ!!!!!!!!』

今度は俺が、顔を赤くして勢いよく鼻血を出して崩れ落ちた。


「きゃああっ!! 大丈夫ですかシュウイチさまぁあ!!」


「ミ、ミル!!」


「は、はいっ!!」



「最・高・だ・っ!!」

俺は親指を立てて『ニカッ!』と笑顔で褒め称えた。



[デブの男が鼻血を出しながら笑顔なんて、気持ち悪いですよ・・・・]

さっちんが的確なツッコミを入れてきた。



 でも今の俺は、そんな言葉も気にならないほど幸せな気分だった。




 **********

 =作者あとがき=


 作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


 こんな純情な子、どこかにいないですかね?(w



 作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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