第73話 こんな所に美女が居た! 3

 姉の事を聞くと急に落ち込んでしまったミル。

いったいなんで姉はヴァンパイアハーフからノーライフキングに?

そして、どうしてそれがミルの逃亡に繋がるんだ?


 時間が無いから今は聞くべきじゃない・・・・のは判っている


 けど、やっぱり聞きたいんだちくしょう!!


 迷ったけど、やはりこのままじゃ食堂なんて行けない。

座って落ち込んでいる金髪美女を・・・・


 テーブルからはみ出て、まるで乗せているように見えるほどの爆乳美女を!

(↑ 実はこれが1番の理由)


 ミルとの絆を深める為にも、やさしくミルに説明を求めた。

時間が無いので簡潔にね。


 ***


 ミルから聞いた内容は、これまたいかにも前世でよくあった

『親子関係のもつれ』みたいな内容だった。


 ミルと姉であるニルウェルド(以降『ニル』と呼ぶ)は双子故に容姿こそ同じだが、ヴァンパイアの特質を濃く受け継いでいたのはミルだった。


 金髪も魔眼も父と同じで、保有している魔力もニルより上だった。

そして将来、ヴァンパイアへの魔核化(魔族へ昇格すること)素質も姉より断然あったそうだ。


 いっぽうで姉のニルは母似の茶髪で、魔眼は有していなかった。

(そういえば、俺が仮想で闘った魔法師のニルも魔眼なんて無かったな)


 ニルもいちおうヴァンパイアハーフなのでヴァンパイアへの魔核化は出来るが、ミルより遥かに弱いヴァンパイアになると言われていたらしい。


 ただ、ニルにはミルを遥かに上回る知能と魔法のセンスがあったそうなのだが、父はそれを認めず素質が少ないニルを『出来損ない』と侮蔑していたらしい。


 そんな父と、ただオロオロしているだけで何もフォローしないミルに、いつしかニルは2人を冷たい目で見るようになったそうだ。


「私がもっとニルお姉ちゃんを庇ってあげれば良かったのですが・・・・

 当時は父が怖くて何も言えませんでした」

と、自虐的に笑うミル。


 そりゃそうだろうと俺も思う。なんせ相手はヴァンパイアロードだしな。


 そんな状況だった為、ミルが100才になる頃には、ニルはミルや父とは疎遠になっていた。

父が住んでいる城を出て、魔女たる母が住まわされていた屋敷に引き篭り、

何かしらの研究をするようになった。

(ちなみにこの時、母は既に他界)


 ミルもそんな父が好きになれず、城を出て配下の女性エルダーヴァンパイアの所に住ませてもらっていた。


 その後ミルは何度かニルに会いに行ったらしいが、

研究の邪魔をするなと追い返され、会って貰えなかったそうだ。


「結果をみればどんな研究をしていたのか判るよな。つまりニルは・・・・」


「はい・・・・ニルお姉ちゃんは父を超える存在になる研究をしていたんです」


 そしてニルは成果を出した。

母の残した魔法書物と独学で不死の極意へ至る道を見つけ、ついに自身をヴァンパイアではなく不死王ノーライフキングへ魔核化したのだった。


「誰にも教わらず独学でノーライフキングになるなんて・・・・

 ミルの姉は本当にすごかったんだなぁ」


「そうなんです」


 ノーライフキングとなったニルは、当然ヴァンパイアロードの父を滅ぼそうとしたらしいのだが逃げられた。

いかにヴァンパイアロードといえど、ノーライフキング相手では分が悪いからだ。


 逃げられたことに腹を立てたニルは、城に居た父の配下たちを全員殺した。

また、殺した後はアンデットにして忠実な下僕とした。

アンデット化はノーライフキングの十八番だしな。


 その後ニルは一番近くに居る他のヴァンパイアロードの城へ行き、全部滅ぼしたそうだ。


 倒したヴァンパイアロードの力を取り込み、またロード配下だったワーウルフやワータイガーたちをアンデットに変えた。


 こうしてニルは自身を強化して、かつアンデット部下を増員することができた。


 けどこの行為が、ニルに計算違いを生じさせる。


 本来協力しあうことなど絶対に無いヴァンパイアロードたちが、

協力してニルに対抗してきたのだ。


 まあ、そうなっても不思議じゃないだろう。

だってニルは、まったく関係ないヴァンパイアロードを滅ぼしたのだから。


 領地内にいるヴァンパイアロードは全部で5体。

うち1体がニルに滅ぼされて残り4体。


 ここから、ノーライフキング側とヴァンパイアロード4体側との争いへと

発展する。


「壮絶な争いだな。

 それにしても、不死と呼ばれる存在でも滅びるんだな」


「不死と言っても『寿命が無くなった状態で存在している』だけです。

 寿命がないのでそのまま何も無ければずっと存在し続けるのだと思いますけど、

 不死に対抗する力(つまり神力)や、不死者と同等以上の力で攻撃されたら

 普通に滅んでしまいます。」


「なるほどな。

 それでここまでの話から多少想像はつくけど、どうしてミルは領地から

 逃亡したんだ?」


「そ、それは・・・・」


 

 ミルがヴァンパイアが納める領地から逃亡した理由・・・・




 それは、両勢力が決め手に欠けていた事が原因だった。




 **********

 =作者あとがき=


 作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


 今回も更新が遅れてすみません。

 毎回いいわけしてすみませんが、マジで胃を壊してしまい現在治療中です。


 市販薬では改善が見られないので、今度内視鏡(胃カメラ)検査する予定です。

 なので今後も更新が遅れるかもです。申し訳ありません。


 コロナが猛威を振るっています。

 皆さんも気をつけてください 


 作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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