第72話 こんな所に美女が居た! 2

 俺は少し興奮していた。

もちろんヴァンパイアハーフの美女と出会えたからだ。


 俺にもついにこんな出会いが来たかと思うと、ちょっと嬉しかった。

まあ、最初見たときは『貞○』そのもので怖かったけどな。


 それにこうして出会った美女ヴァンパイアとかが、なんだかんだで仲間になることも、その後ヒロインとなってことも、異世界転生モノではよくある定番だ。


 つまり、だ。

俺も定番通りに事が進むのであれば・・・・


 この『巨』を通り越して『爆』といえる胸を持つ美女の半吸血鬼人ヴァンパイアハーフが、

俺の仲間(と書いてヒロインと読む)になる(可能性がある)ということだ!


 そう考えると、興奮するなというほうが無理ってもんだろう?


[それはあくまで前世の『転生小説の定番』であって、

 シュウイチさんの人生がそうなるとは限りませんけどね♪]


 ・・・・


 すぐ俺の横隣にいるくせに、わざわざ俺の頭にツッコミをいれるさっちん。

ちらりと見ると、反対側に顔を逸らしやがった。


 わかってるよそんなこと。

でも、俺はその定番を目指してやる!


 嫌な定番は壊して、嬉しい定番はそのまま継承する


 そんなご都合のいい異世界転生ライフを、俺は目指してやるんだ!


 ・・・・


 美女を仲間(この場合はハーレムと読む)にする異世界転生ライフ・・・・

出来たらどんなに嬉しいことか(涙


 ええい!行動を起こす前から臆するな、俺よ!

そもそもたくさんの女の子とエッチをすることが、俺の転生理由だったはずだ。


 この金髪美女メイドなら、見た目は超合格なんだ。

なら狙わないでどうするんだ?


 何かあれば・・・・

そう思ってさっちんを見ると、

[前にも言いましたが、私は基本恋愛ごとには手を貸しませんからね?]

と、そっぽ向いたまま頭の中に語りかけてきた。


 ちぇ、まあいいさ。

あ、でもさっちん、彼女の事でひとつだけ教えてくれ。

彼女は本当に


[はい。彼女は本当に悪い事はしていません。

 見ての通り力を有しているにも関わらず、すぐ泣くほどの臆病な女性なので。

 まあ一応、生きていく為に元気な方から多少いろいろと吸収してはいますが、

 吸いすぎたりはせず、常に許容範囲で済ませているやさしい女性なんですよ♪]


 へー、ハーフとはいえ吸血鬼なのに相手から『奪うだけ奪う』とかしないって・・・・

本当にお優しいんだな。


 美人で優しくて爆乳で臆病・・・・最高じゃないか!

是非ともこの美女ヴァンパイアを口説かないと。

時間が無いから今すぐどうこうすることは出来ないけれど、最低限の絆は絶対に築いてみせる!


 さて、じゃあまずは・・・・


 ・・・・


 ・・・・そういや、まだこの金髪メイドの名前すら聞いてなかった(汗

本当にアホだな、俺は。


「すまない、俺は君の名をまだ聞いていなかった。

 名前を教えてくれないか?」


 金髪メイドは慌てたように立ち上がって、お辞儀しながら教えてくれた。

「あ、その、大変失礼しました。

 私の名は『ミルウェルド』と申します」


 ミルウェルドちゃんか、いい名だな。覚えたぞ。


「じゃあ、続きは隣で聞かせてもらおうか」


 俺はミルウェルド(通称『ミル』と命名)を、隣の部屋へ連れていった。


 ミルを隣のメインルームに連れていくと、珍しそうにきょろきょろと辺りを見ていた。

またコミックブースにあるマンガを、興味ありそうに眺めていた。


 俺は自販機近くにあるテーブルスペースの椅子にミルを座らせて、自販機の中から『午○の紅茶ミルクティー』のペットボトルを買ってあげた。


 最初飲み方が判らなかったようだったので、俺も同じのを買って飲むと

彼女も真似して飲み始めた。

どうも凄く美味しかったようで、あっという間に一本すぐ飲みきってしまった。


 飲み終わった後、俺がまだ半分も飲んでいないのを見て顔を赤くするミル。

一気飲みして照れるなんてますますかわいいじゃないか、こんちくしょう!


 「もう一本飲むか?」と聞くと「・・・・頂けるのなら」と顔を赤らめながらも

お願いしてきた。俺はもう一本買ってあげると、今度はちびちび飲み始めた。

うん、なんかハムスターみたいで本当にかわいい。


 こうして落ち着いてくれたミルに対して、俺は質問を再開した。



***


「ええっ、ミルは今805歳なの?」


「は、はい」


「父親がヴァンパイアロード(吸血鬼王)で、母親が人族だったと?」


「そ、そうです」


 俺はまずミルの家族の事を聞いた。内容はめちゃくちゃな感じだった。


→ミルの母親(既に他界)は魔女ウイッチだった。

 魔女といっても人族の魔法師。

 違う点は、何らかの餌を条件に上位魔族と直接契約を結んで、

 到底人族には出せない威力の魔法を使う事が出来る点との事


→魔女となり強くなったミルの母親は、昔から近づいてはいけないと

 忠告されていた領域へ興味本位で足を踏み入れてしまった。


→その場所は、魔族であるヴァンパイアの一族が長年管理していた領域だった。

 そして魔女は運悪くヴァンパイアロードに遭遇し、敗北してしまう。

 上位魔族以上の力を持つヴァンパイアロードに、魔女が勝てるワケが無かった。


→本来ならここで魔女の生は終わっていた。

 けど、魔女は類稀なる美貌の持ち主だった。

 その為、ヴァンパイアロードは魔女を殺さずに娶った


→そうして生まれたのが、魔女の美貌を受け継いだ姉とミルの双子姉妹


「・・・・ヴァンパイアロードに魔女の両親か。すごい家族構成だな・・・・」


「きょ、恐縮です・・・・」


「ヴァンパイアロードはミルの母親の血を吸わなかったのか?

 普通ヴァンパイアって血を吸って配下にするものじゃないのか?」


「はい。普通は仰ったとおりなんですけれど、父は6千年以上生きている

 ヴァンパイアロードで、既に何人もの美女を配下にしておりました。

 なので母に関してはたまたま戯れにその・・・・妾にしたそうです・・・・」


 ふーん。『何人もの美女を配下』ってのは羨ましな。

でも、ミルの母親に関してはヴァンパイアロードを褒めてあげたいな。

こんなミルのような美女を誕生させてくれたのだから。


「あれ、でもそうなるとミルの姉も半吸血鬼人ヴァンパイアハーフだよな?

 なんでノーライフキングなんかになってんだよ?」


 その質問をした途端、ずーんと落ち込んでしまうミル。

「そ、それが・・・・私がこの国に逃げてきた理由に繋がるんです・・・・」


 それはどんな理由なんだ?

うう、時間がないのに続きが気になって仕方が無い。



 俺はミルの話を聞き続けた。

 



**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


更新が遅れて申し訳ありません。

ちなみに、ミルのイメージキャラクターは「月○」の「アル○」で、

彼女を臆病にして、髪を長く胸を大きくした感じですかね。



作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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