第68話 ようやく聞かれた
正気を取り戻した俺は、まずツミノキに足だけは閉じさせた。
ただ閉じるまではクイックの掛かったこの目でしっかりと、
足間にある俗に言う『すんばらしい秘境』というものを眺めさせてもらいました(笑)
うん、やっぱりその秘境部位の探索とその後のお楽しみに関しては、
心から愛して生涯共にいて欲しいと思った女性とするべきだからな。
ビュィーン!
もう慣れたけど、またさっちんの表示だ。
そこには『呆れた表情のさっちんの絵』が書かれていた。
(ちなみに ヤレヤレ との描き文字付き)
そしてフキダシ内には
[さっきまで誘惑に負けそうだったクセに]
と、書かれていた。
・・・・
・・・・コホン
まあ確かに、ちょっとだけ誘惑に負けそうだったかもな。
!! (そうだ!今こそ!)
さっちん、認めたくないものだな・・・・
若さ故の過ちというものを!
(↑ この台詞を言えて嬉しい!! )
[ ・・・・・ ]
・・・・なんかさっちんが俺を冷たい視線で見ているような気がするな(汗)
あと落ち着きを取り戻した今、改めて思うことがあった。
それは『俺に主人公属性は無いな』ってことだ。
だってこういう時ってさ、物語の主人公なら理性を保ってまず女性に自分の上着を掛けてやるものだろう?
そして「もう大丈夫だ」みたいな台詞を格好良く言うのが、お約束だよな?
相手がたとえ『敵』であったとしてもだ。
でも俺はそれをしなかったし、今もしたくないというのが本音だ。
これが俺と全く無関係の女性だったのなら、俺だってそうしただろう。
けどツミノキは仕えているメイドの身分であるにも関わらず、公爵家3男である俺に見下した態度を取った。その上更に俺への暴力示唆までしたんだ。
最初の非は彼女にある。
それに・・・・
ここで俺はまた改めて、前世の一億人の同志に問いたい!
特に『興味は凄くあるが異性とのエッチ経験が全く無い』同志にだ!
俺たちは残念ながら異性と関係が持てなかった。
太っているからとか、顔がブサイクだとか、性格が暗くて自信が無いからだとか、理由はいろいろあるだろう。
けど、そんな俺たちが異世界に転生してチャンスが巡ってきたとする!
例えばいま目の前にあるような、まあまあの女性が全裸で居るというチャンスがだ。
どの部位をどれだけ見ても怒られたりしない。
見るだけじゃなく、おさわりしてもOKな状況だ。
さて、同志よ
以前にも似たような事を聞いたけど、こんな状況で諸君なら・・・・
1 やっぱりかわいそうだから、紳士的な態度で下着や服を着させてあげるか?
2 時間が許す限り見続ける&ちょっとだけ触るか?
3 それ以外か?(他にある?本番はダメだぞ?)
俺の場合・・・・
当然、今のこの状況が答えで『2』だ!
『1』を選択できるのは、絶対に女性と経験がある幸せな野郎だけだ!
せっかく近くで生で見てさわれる状況なんだぜ?
時間が許す限り、少しでも見てさわろうとするのが『男』じゃないか?
しかも脱がせたのは俺じゃないし、多少見てさわるのはそんな酷いことでもないはずだ。
たぶん・・・・(ちょっと自信ない)
ええい、ともかくだ。
もう少しだけしっかりと見させてもらおう!
全裸女ことツミノキも、俺が見ているのは判っているのだろう。
本当は隠したいのだろうが俺の機嫌を損ねたくもないようで、
上も下も近くに手を置いてはいるが完全には隠してない。
ふふふ、その困ったしぐさと度々気になって動かす足の動きが、更に色っぽさを引き立ててグットだぜ!
って、おっといけない。
見てばかりで、そのまま放置状態にするのはいただけないよな。
『コホン』と軽く咳払いをしてから
「勘違いさせるような行動をしてしまったようですまないな。
綺麗な裸体だったのでついさわってしまったんだ。申し訳ない」
俺はちゃんと頭を下げて、ツミノキへ謝罪した。
「そ、そうでしたか。その、褒めていただいてありがとうございます。
あと、こ、こちらこそ勘違いをして、申し訳ありませんでした。
ですがあの、気づいた時には既に裸にされていたのですが、
脱がせたのはシュワン様ではなかったのですか?
それとも・・・・」
俺が本番までする気はない事に、少し安堵したようだ。
いっきに聞きたい事を聞いてくるツミノキ。
「脱がせたのは私ですよ。ツミノキ」
すこし離れた場所で聞いていたミナグラーダが、自分から白状した。
「え?な、なぜ長が私を?」
「それは勿論、また遅刻をした貴方に『罰』を与える為ですよ。
今回の遅刻で、私も我慢の限度を超えてしまったのでね」
「そ、そんな・・・・」
「しかし貴方は幸運ですな。
もしシュワン様が私たちを負かしていなければ、今頃はたっぷりと私と
キー殿とで、その身体に『躾』をしていた最中だったでしょうからな」
ミナグラーダの言葉に、ツミノキは震えて手で身体を隠してしまった。
そして起き上がり移動しようとしたのだが、
「何処へ行く気だ?このままここに居ろ」
と、俺は彼女を制止した。
「あ、あの、服を取りに・・・・」
俺は両手をツミノキの肩に置いて
「何度も言わすな!ここに居ろ」
「は、はい!申し訳ありません!」
俺の強い口調に、また恐怖して丁重に謝罪してくるツミノキ。
彼女はこのままにする事が、最初の火傷に代わる『罰』になるようだ。
なにより俺自身がまだ見ていたいから、このまま裸で居てもらおう。
ちなみに、肩においた手をまた下にずらして、彼女の胸を撫でてから離した。
うん、気持ちいい♪
それにしても、ミナグラーダが自分から白状するとは思わなかったな。
「ミナグラーダ。どうして自分から白状した?
さっきは俺に脱がせた罪を着せようとしていただろう?」
その問に対してミナグラーダは
「この状態なのです。下手なことをしてシュワン様の怒りを買えば、
今度こそ私もキー殿と同じようになるでしょうからな」
と、あっけらかんと白状した。
あまりにあっさり白状したことをちょっと不審に思った俺は、ミナグラーダの前まで行き、左腕の肘付近を右手で押さえて軽くひねった。
これは、いわば『スイッチ』の動作だ。
特訓の結果こうする事で、俺は左腕を霊体に切り替えられるようになった。
それで少しだけ、ミナグラーダの思考と記憶を読んでみた。
ミナグラーダが不思議そうに俺を見ているが、気にしない
・・・・
なるほどな
今回のことでグリトラに愛想がつきた事はさっき聞いたが、この状況ではアーレンからの信用も失いそうだから、保身の為に俺へのご機嫌取り&コネを作っておこうという考えか。
本当にあざといというか小ざかしいというか・・・・
まあ大した裏がないならいいや。
さて、いいかげん食堂へ行かないとな。
「私からおひとつ伺っても宜しいですかな?シュワン様」
と、急にミナグラーダが話しかけてきた。
「なんだ?」
「貴方様は本当に『シュワン様』なのですかな?」
「・・・・どうしてそんな質問をする?俺がシュワンに見えないというのか?」
「いえ、どうにも雰囲気や言動が以前と違いすぎて、どうしてか別人のように
感じられたのでご質問したので御座いますが・・・・」
・・・・へぇ・・・・
この身体が俺(シュウイチ)に代わって、ようやく聞かれたな。
「あ、いえ余計な事をお聞きしてしまいました。
どうかご容赦いただきたい」
俺がどう答えようか考えていたら、それがイラついているようにでも見えたのだろうか?急にミナグラーダが質問を取り消して謝罪した。
「ああミナグラーダ、別に怒ったりとかしてないぜ?
ちゃんと答えてやるよ。ただ、信じられないだろうけどな」
「『信じられない』ですか?」
「ああ。
いいか、ミナグラーダ。そしてツミノキもよく聞いておけ。
まず俺は、間違いなくシュワンと呼ばれていた存在だ」
この『体』は、だけどな
「でも人間ってな、心にもダメージを負えば死んでしまうんだよ」
俺は自分の胸元中心を指しながら語った。
「かつてシュワンと呼ばれた男は、誰にでも優しくしていた。
怒ったりとかはしなかったし、皆で仲良くやっていければいいと考えていた」
俺の話を黙って聞く2人
「なのにオリカンや猿人に暴力を振るわれて、グリトラやアーレンに裏切られ、
そして何より愛していたクミンに裏切られたおかげで、
心に酷いダメージを受けた。その結果、心が死んでしまった」
「心・・・・つまり肉体ではなく内面的に死んだという事ですかな?」
なんか納得出来ないような感じで聞いてくるミナグラーダ
「まあそんなところだ。けどな、死んだ後に俺は女神と会った」
まあ、これはシュワンではなくシュウイチの前世である『修一』の話になるけどな。でも嘘は言っていない。
「俺は女神に復活させて貰った。前世の記憶を有したままな」
「前世の・・・・」
「記憶・・・・でございますか?」
「そうだ。
ミナグラーダ、お前の先程の問いに答えよう。
俺は確かに『シュワン』だが、以前と同じ『シュワン』だとは言えない。
何故なら、復活した今は前世の人格と記憶の方が強いからだ。
ちゃんと『シュワン』として過ごした日々の事も覚えてはいるけどな。
あと、ただ女神に復活させて貰ったわけじゃない・・・・」
俺は近くに落ちていた、オリカンが使った割れたレンガを拾った。
そして(我が管理神よ!【ハイプロテクション】&身体強化10倍!)
心の中でハイプロテクションと身体強化を掛けて・・・・
レンガをねじ切り、その後握力で粉々にした!
2人は粉々になったレンガを見て驚愕していた。
特にミナグラーダは今の俺が尋常でない力を有している事に気づいたのだろう。
さっき許しを懇願していた時のように、恐怖で震えていた。
「俺はその女神と知り合えた事で、色々と『神法』が使えるようになった。
この力も、その一端って訳だ。
また前世の人格が主となった今の俺は、かつてのように優しくなんてない。
やられたら倍にやり返すし、相手が卑怯な手で来たら更にそれ以上の手で、
反撃出来ないほどまで叩き潰す!
だから今後俺には気を配ったほうがいいぜ?ミナグラーダよ?」
「わ、判りました」
恐怖しながらも、ミナグラーダは丁重に返事を返してきた。
その辺りはさすがベテランといったところか。
そして最後に俺は、ツミノキの前まで行く。
さっき脱線して伝えられなかった最後の警告をする為だ。
まずEXヒールで彼女の顔の火傷を完全に治してあげた。
完全に顔の違和感が消えた彼女は、手を顔に当てて確認していた。
その為、手で隠していた『お胸』が、またぽろりと顔を出した。
・・・・俺はまたその胸を見ていたが・・・・
これが最後だと思うと我慢できず、今度はしっかりと彼女の胸を両手で揉んだ!
「きゃ!」
彼女の悲鳴を無視して、俺は揉み続けた。
ああ、柔らかくて気持ちいい~!!(モミモミ)
おっと、ここでだらしない顔をしていたらいけない。
ツミノキを脱がした時のミナグラーダのように、
エッチな事をしても平然とした顔と態度をしていなければな!
俺は揉み続けながらも、キリッとした表情と態度で話をした。
「ツミノキ、俺は今お前に負わせた火傷を完全に治してやった。
そしてこれまでの無礼も、綺麗な裸体を見せて貰ったことと、
こうして胸を揉ませて貰った事で許してやる。
但し・・・・」
「は、はい」
息をのむツミノキ。
胸を揉まれているからなのか、緊張しているからなのかは判らないが。
俺は話を続けた。
「次にやったら本当に容赦しない。
そうそう、同じグリトラ専属の平民メイド2人組が離れの近くに
転がっているから、あとで迎えにいってあげてくれ。
あいつらが一度許して治療してあげたにも関わらず、俺との約束を破った
愚者第一号と第二号だ。もう満足に動けないだろうからな」
俺の言葉で、平民メイド2人組が酷い罰を受けた事が想像できたのだろう。
顔が青ざめていく。
「お前もそうなりたくないのなら、俺が去ったあと決して食堂には来るなよ?
最低1時間は誰もいない場所で大人しくしていろ!いいな?」
返事も出来ずに、ただただコクコク頷くツミノキ。
胸を揉まれている事など、まったく気にならないようだ。
そんな彼女の胸を最後にもう一度強く揉んでから、俺は手を放した。
さて、早く食堂へ行かないとな。
あ、そうだ。
「最後にミナグラーダ、ツミノキ」
「な、何で御座いましょう?」
「は、はい」
「今の俺は『シュワン』という名じゃない。
前世の名たる『シュウイチ』に改名したんだ」
「「シュウイチ様・・・・」」
「そうだ。覚えておいてくれよ!」
そう言うと俺は、今度こそツミノキ達に背を向けて食堂へ急いだ。
***
食堂へ急ぎながらも、俺は自分の手を見ていた。
さっきまで揉んでいたツミノキの胸の感触を思い出していたからだ。
(↑どこまで行ってもスケベな俺)
だって、こんな事前世じゃ絶対に出来なかったからな。
これが前世だったなら
「痴漢~ 変態~!」
とか声を出されたあと、すぐ通報されて警察に捕まっただろうからな。
ああ、本当に異世界に来て良かった!!
ありがとうシグリーシャ!!
さあ、いよいよ家族やクミンと対面だ。
そしてリオナさんレオナさんにも会うぞ!待っていてくれ!
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
自分はこの作品を、主人公になったつもりで書いております。
ちょっと(と言えるか?)エッチな主人公になって異世界に行って、
全裸のそれなりに綺麗な女性に出会った(しかも何してもOK)なら・・・・
やっぱりそれなりにエッチな事をしてしまうだろうと思います(笑
その為、書いているとやっぱりこういう事をするんじゃなかろうかという
想像してはその話を書いて、やっぱ違うかなと消しての繰り返しで、
結果また遅くなっています。
本当にすみません(汗
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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