第67話 遭遇 老執事・猿人編 3

 俺はホーリーショットを喰らわせて吹っ飛んだ猿人の元へ歩いて行った。


 ちなみにだが、先程のホーリーショットは全然本気の威力で撃っていない。

あくまでメイドのツミノキから猿人を離すために、牽制で放っただけだ。


 何故なら・・・・





 コイツは絶対




「さて、アホ猿人よ。

 謝罪する気にはなったか?」


「💢!!」

俺の挑発に怒り、向かってくる猿人


 俺は続けて挑発する

「ああ、お前に難しい言葉で聞いたのが間違いだったかな?

 なにせ、『猿』だもんな?言い直そう。

 『ごめんなさい』を言う気にはなったか?」



「オマエ コロす!」

怒り狂って、両手を組んで思いっきり振り上げ殴りかかってきた!



 ドスゥン!!


 ・・・・


 ・・・・





「グェえエェ!!」



 悲鳴を上げたのは、もちろん猿人のほうだ。

クイックが掛かっている俺に、両手を組んで振り上げる動作をするなんて

『がら空きの腹を殴ってくれ』と言っているに等しいからな。

 

 それなりの力で腹のど真ん中を殴ってやった。


「うグ、グ」

痛みにうめきながらも、なお反抗する意思を示す猿人


 よかった、


「ゴワァ!!」

良く判らない呻き声を上げながら、左右交互に殴ってきた。



 しかし俺は冷静にその拳を止めて、受け払いした。

いつもと違って俺をぜんぜん殴れない事に、猿人が怒りから焦りへと変わっていく様子が手に取るように判った。


 そして猿人が隙を見せる度に、猿人のどてっぱらに拳をめり込ませる!


 猿人の攻撃を防ぎきり3回ほど腹を殴ってやると、猿人はさすがに痛みと恐怖で降伏してきた。

「マ、マイッた! 止めてクレ! 降参スル!」

 


 ・・・・



 ・・・・ふぅ~




 さて、ここからだ





 ここからだぜ・・・・


 


 本当の意味でこの猿人に








 

 !!





 俺は猿人の前まで行って、正面から猿人の顔を見て『ニタァ』と笑ってやった。


 そんな俺を見て怯える猿人。

俺は猿人の左横顔を、強めにぶん殴った!

「グフッ!」


「よくさ・・・・ 俺も言ったよな? 

 今のオマエと同じように『やめてくれ』ってさ・・・・」



 話しながらも俺は続けて、猿人の顔をぶん殴った。

「ガフッ!」



「『もう殴らないでくれ』って、何度もオマエにお願いしたよなぁ?」

「フグッ!」



「その時オマエは殴るのを止めてくれた事が、一度でもあったか?」

「ガッ!」



「いつも今の俺のように・・・・『ニタァ』って笑って殴り続けてたよなぁ?」

「グォッ!」



「今度はよ・・・・」

「ゴガッ!」



「その痛みや苦しみ、恐怖を・・・・ テメエが味わえよっ!!」

「ガフッ ガッ ガハ 」



 俺はシュワンが味わったのと同じことを、猿人に食らわせてやった。



「モ モ・・・・ウ ヤメテ ヤメテクレェーーー!!!」

恥も外聞も捨てて大声で泣き叫ぶ猿人



 だが、



(我が管理神よ!『サイレンス!』)

俺はオリカン、ツミノキ、ミナグラーダ以外には聞こえないようにサイレンスの神法を掛けたあと、再度制裁を続けた。


「かつての俺(シュワン)も、泣いて止めてくれと何度もお願いしたよな?」

ドカッ! 猿人の腹を蹴る!


「そんな俺を見る度に、オマエはニヤ笑いしながらまた殴ってきたよな?」

また猿人の顔を殴る!


「こんな・・・・こんな胸糞悪くなる事をよ、テメエは笑いながらずっと続けていたん

 だぞ?判ってんのかよ?あぁ!?」

俺は続けて殴る!殴る!

殴りながら、だんだんと腹が立ってきていた。


 どうしてこんな泣き叫ぶ相手を、笑いながら殴り続けることができるのか?

楽しいと思えるのか?


 冗談じゃない!こんな事が楽しいもんかよっ!まともな神経ならな!

俺はイラつきムカつきながら、猿人を殴り続けた。


 

 何度も何度も何度も何度も、平気でこんなことをやりやがって!

 





 この クソ猿がぁぁ!!!











[ビィー!! ビィー!! ビィー!!]




 急にさっちんから、今までと違う聞いたことのない『警告』を示すようなアラート音が頭に鳴り響いた。


 そのおかげで俺は『ハッ』と正気を取り戻し、殴る手を止めた。



 気づけば目の前の猿人の顔は凄く腫れて、目・鼻・口から血を流して虫の息となり動かなくなっていた。 



 周りを見ると、ツミノキとミナグラーダがこちらを見ていた。



 ミナグラーダはある程度腹痛は治まっているみたいだったが、ボロクソになった猿人を見て青ざめており、ツミノキもガクガク震えていた。






 どうやらやりすぎた・・・・ようだな




 シュワンがやられた時の事を思い出したら、歯止めが利かなくなっていたぜ。


 ・・・・ふぅ


 俺は身体強化とプロテクションを解除してから、俺自身の額をゴチン!と殴った。


 くっ!いてぇ!


 額が割れるほどじゃないが、すごくズキズキする。

でも、こんくらい痛くしないと反省にならないからな。


 そして、心の落ち着きをとり戻す為に


 スーーーーー ハァアアーーーーーー ハァー!


 空手の『息吹』を10回ほど繰り返した。




 ・・・・よし! 落ち着いたぜ。


 ではまず反省からだ。

怒る事は決して間違いじゃない。

俺に攻撃してくる相手や俺を見下し馬鹿にする相手に反撃することも、

100%間違いという訳じゃないはずだ。


 でもだからといって、自分が怒りに飲まれすぎないようにしなければ。

また、常に過剰にやり過ぎたりしないように気をつけなければな!


 よし、反省終わり!

さあ、冷静に次の行動へ移そう。



 まずは、止めてくれた事にちゃんとお礼を言わないとな



(ありがとうな、さっちん)



 心の中でさっちんにお礼を言うと、

 

 [ピロリン♪]


 との音が鳴った。



『どう致しまして♪』と表現しているんだと、すぐに判った。


 

 ***




 まずは目の前で血を流して倒れている猿人をどうするかだな。


(さっちん、すまないが教えてくれ。

 この猿人、このままにしておくとあと少しで?)


 俺が心の中でさっちんに問うと

[ピンポーン]との返事が返ってきた。



 やっぱりそうか・・・・


 このままにしておけば俺は前世も含めて、初めて『人』をあやめることになるな。

ついにこの時が来てしまったんだなと、胸が痛んだ。


 でもコイツが今までシュワンにしてきた事を考えれば、正直このままこの猿人がくたばる事になったとしても、自業自得だと俺は思う。


 だけど、助かるチャンスだけは与えてやるか。


 俺は猿人に向かって回復の神法を掛けてやる事にした。

但し、少しだけだ。


「我が相棒たる管理の女神よ!我が神力を対価に我が定めし者の怪我や傷を

 

 ハイヒール!」


 シグリーシャの癒しの光が猿人を包んだ。

本当に何度も済まないな、シグリーシャ。


 猿人に対してはこれでいい。

このあと教会で回復して貰ったり、ポーションを飲ませたりして生き残れたのなら、それはコイツの運が良かったという事だ。

逆に何もして貰えずくたばったとしても、それは自業自得だ。


 俺はシュワンの事で、これ以上はコイツに仕返しも何もしない。

もっとも、復活したとしてその後に再度向かって来た場合は、今度こそ容赦も治療もしないけどな。



 さて、次だ。

俺はミナグラーダの所まで歩いていく。


「どうかお許しを! シュワン様がこれ程お強いとは存じませんでした。

 以降は絶対、シュワン様に敵対など致しませぬ!

 この老いぼれになにとぞご慈悲をっ!」


 俺と戦った猿人の末路を見て完全に戦意を失ったようだ。

懸命に謝罪してくる老執事。


(我が相棒たる管理の女神よ!『バインド』!)

俺はそんなミナグラーダを、神法で拘束した。


 ただし拘束したのは両手両足だけ。今までと違い口までは塞いでないし、1時間程度で拘束が外れるように調整もした。


「こ、これはいったい?まさか魔法なのですか?」

「違うな、これは『神法』だ。あと少しだけ黙っていろ」


 驚きの表情で質問してくるミナグラーダに返答しつつ、近くで今だ白目を剥いて気絶しているオリカンに対しても同じバインドを使用して、ミナグラーダの近くに転がした。



 そしてツミノキを・・・・


「キャッ!!何?どうなっているのよ?何なの?」


 念動力で俺のところまで連れてきて、そしてキャッチ!

裸のツミノキをお姫様だっこのように受け止めた。


「落ち着け!そして黙れ!今のは俺の能力だ」

「は、はい。申し訳ありません」


 俺の言葉に怯えて謝罪してくるツミノキ。

そして彼女を、男2人からは少し離れた場所に置いてやる。


 ちなみに、お姫様だっこした時と置いた時にまたこっそりと・・・・


 お胸とお尻を軽く撫でてしまった!(スケベですんません!)

下半身「Y」部位をチラ見してしまった!(ドスケベですんません!!)


 おし、いいもの(?)を見れたしさわれたし。

じゃあ最後に、ミナグラーダとツミノキに警告しておくかな!


 まずはミナグラーダだ。俺は彼の所まで行きモノクルを外した。

そして・・・・


 ドカッ!

ミナグラーダの顔を、身体強化なしで一発思いっきり殴ってやった。


「ミナグラーダ。お前に対しては『最低限で許してやる』の宣言通りに

 いまので許してやる。

 但し、次に俺に対して何かしたらその時こそ容赦はしない。

 あと、その拘束は1時間は外れない。そのままそこに居るんだな」


「くぅ、痛いですな・・・・

 ですが、この程度で済ませて頂いてありがとう御座いますと言うべき

 なのでしょうな。あちらの方に比べたら・・・・」

と、視線を向けるのはボロクソ殴られて倒れている猿人。


 さすがはミナグラーダ。伊達に公爵家で長く執事をやっていない。

こういう時の頭と感情の切り替えが早いのは立派だぜ。


 次にツミノキだ。

俺はツミノキの前まで行く。

けど俺が何か言うまえに、ツミノキが口を開いた。


「あ、あの、わ、判っております。

 だから・・・・その、わ、私の胸を触ったりしていたのですよね?」


 ・・・・やっぱり触ったことバレていたのか(汗 

当り前か。でも何が『判っております』なんだ?



 そう思った俺は、このあと混乱することになった。


 ツミノキが、考えてもいなかった予想外の行動に出たからだ。



「さっきの、罰だけでは・・・・ダメで、そ、その・・・・

 体でも返せ・・・・という事ですよね?

 そ、その、か、覚悟は出来ております。ど、どうぞ・・・」 



 そう言うと・・・・




 自らの両手を使って、








 !!



 

 ・・・・


 ・・・・


 

 な・な・な・・・・・



 な  ん  で  す  と  おーー !!!



 俺は固まった。固まってしまった。

ちなみに体の事であり、断じての事ではないぞ!

(いやまあ、も固くなったのは確かだが)



 やばい!やばすぎるぞこの状況!


 はっきりいえば、めちゃくちゃしたい!やりたい!


 ツミノキは顔も体もまあまあの女性だ。

でなければミナグラーダも『体に躾ける』なんて言わなかっただろう。


 だけど、コイツはシュワンを馬鹿にして見下していた女だ。

少し前まで、俺に対しても生意気な態度を見せていた。


 いくらエッチに興味があるからって、そんな奴と結ばれてどうするってんだ?

しかも俺にとっては記念すべきのエッチなんだぜ?



 ・・・・




 判っている。判っちゃいるんだ!




 ・・・・でも・・・・





 目の前に、年頃の全裸の女がいるんだぜ?

さっきからおっぱいと『あそこ』が丸見えなんだ!

おっぱいはさわると気持ち良かったし・・・・


 くう、気持ちが揺らいでしまう!


 男だもんな!若さだもんな!心の(エロイ)炎が眩しいもんな!


 据え膳食わぬはなんとやら。

やってて良かったく○んしき。っときゃよかったあ○ときに!

(↑意味不明&パニクっている)



 俺は・・・・俺はぁ!!



[ ゴ ー ー ー ー ン !!!]


「うぎゃあぁ!!!」



 急に頭の中に『鐘の音』が鳴り響いて、俺はその鐘の音量と振動で頭が痛くなって転げ回った。


 さっちんがパニックになっている俺に

『煩悩退散させて落ち着いてください。食堂に行くのでしょう?』

と、『渇』を入れてくれたようだった。



 おかげで元に戻れた。ありがとうよさっちん。




 でも、出来ればもう少し優しくしてくれぃ!(涙




 

**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


最近書いてる途中で『寝落ち』する事が多いです。

で、朝起きて見直すと『アレ?』って思う書き込みが

多かったりします。 



作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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