第61話 遭遇 メイド2人組 前編
外に出た俺は、食堂へ向かおうとしたのだが・・・・
・・・・
やば・・・・
さっちんにカッコよく親指立てて出てきたってのに、いざ向かうとなったら震えてきちまった
別に怖いわけじゃ・・・・いや、少し怖いのは事実か。
「戦うこと」がじゃない
下手をすると、「人を殺す可能性がある」からだ
落ち着け俺・・・・
ここは日本じゃない、異世界なんだ。
こんな時こそ、空手の息吹!
スーーーーー ハァアアーーーーーー ハァー!
スーーーーー ハァアアーーーーーー ハァー!
数回繰り返して、落ち着きを取り戻した。
そうだ落ち着け、俺!
間違って殺めてしまったとしても、3日以内なら生き返らすことのできる神法「リザレクション」を俺は使えるじゃないか
だから気にしすぎる事は無い
重要なのは、大事なのは、『心』だ
殺める事に快楽を覚えたりとかにならなければいいんだ。
そして気に入らないからって、簡単に相手を殺める奴とかにもな
そもそも俺は一度死んだんだ。本来なら終わっていた人生だ。
でも、あのツッコミ面白女神から再度チャンスを貰えたんだ
その女神は俺に言った
『どうか修一さんらしく生きてください』と
ならこの新しい人生では、俺は俺の思うとおりにやってみせればいい!
戦いについても、エロい事でもな
よし!さてそれじゃあ・・・・とか思っていたら
「マスター! 良き朝を迎えられた事に感謝なの~♪」
「へぶっ!」
回転飛行して来て俺の顔にベタッっと張りついた存在がいた。
俺のかわいい天使こと水精霊さんだった。
ああ、そういえばこの世界の朝の挨拶は
「良き朝を迎えられた事に感謝を」
「良き朝に出会えた事に感謝を」
とかだったな。無論これはシュワンの記憶からだ。
前世の英語挨拶の「グッド モーニング」に似ているのかな?
だが、やはり元日本人だった俺的には「おはよう」を朝の挨拶としたい!
うむ、今後の俺の新たなる使命に「朝の挨拶は『おはよう』にする」というのを追加しよう。
「おはよう!」
「オハヨウ?」
「そう。これが俺の新しい朝の挨拶なんだ。
『お早いですね』とか『今日も頑張りましょうね』とかの意味が込められた言葉だ。
覚えておいてね。
それじゃあ改めて『おはよう』!」
「判ったなの!『オハヨウ』なの!」
今朝も元気に飛び回る水精霊さん。かわいい。
おかげでさっきまでの悩みや不安がすっかり消えていた。
本当に天使だな・・・・ってあれ?
俺は空中に飛んでる水精霊さんを両手で捕まえる。
大人しく捕まってくれて、楽しそうに俺を見てる水精霊さん。
それはいい・・・・んだけど・・・・
うん、凄くでかくなってる!!
最初は手のひらサイズで、俺と契約したら20cmくらいになって、
今は・・・・50cmくらいの大きさになってる!?
「水精霊さん、何かすごく成長してない?」
「そうなの~ 夜明け前くらいから凄く強い力が流れて来てこんなに早く成長できてるの~♪」
うれしそうに手足をバタバタふる水精霊さん。
多分俺が特訓で強くなったから、その分精霊力も強くなったんだろう。
憶測でしかないけどな。
それにしても・・・・
やばい 可愛すぎる!
「あははは なの!」
俺は水精霊さんに赤ちゃんにするような
「たかいたかい」をしまくってた。
「あ、そうだ。
ゴメンね水精霊さん、俺はしばらくの間この館から離れるんだ。
寂しくなるかもだけど許してね」
「わかったなの・・・・
でも呼んでくれれば、いつでも会えるから大丈夫なの!
あと私の精霊としての力が強くなってここの井戸が復活したから、
昔一緒だった仲間がまた、ここに戻って来てくれると思うの!
楽しみなの~♪」
うれしそうにはしゃぐ水精霊さん。
そうか、昔の仲間が来てくれるのか。
なら寂しくないだろうし大丈夫か・・・・
「良かったね、水精霊さん」
「うん、なの~♪」
リズムに乗って踊っているかのように手足をふって喜ぶ姿が超かわいい!
はあ、和むなぁ・・・・
と、浸っていた時だった
【ピロリロリ~ン ピロリロリ~ン】
へ?
この音って確か前世で色んな人のスマホから聞いた事のある音・・・・
確か何か注意報が出た時になる音だ。
さっちんが何か注意しろって言っているのか?
「我が管理神よ!【ソナー】」
即座に神法の探知を使った。
すると2人組がこちらに向かって来ているのが判った。
たぶん、あいつらだな・・・・
シュワンの食事を持ってきていた、あの身分を弁えてない2人組・・・・
「それじゃあ、水精霊さん。
また水を出してもらう時に呼ぶからよろしくね」
「わかったの~!いつでも呼んでなの~!」
元気に飛んで帰る水精霊さん。
ありがとう、おかげで落ち着いたよ。
そして、あの子にはこれから先起こる事は見せたくないからな。
さて、それじゃあ・・・
まずはあいつらから、生まれ変わった俺を見せてやるか!
俺は気持ちを切り替えて、2人組のほうへ向かっていった。
***
「え? あのブタが外に出ている?」
「チッ。そのまま閉じこもって餓死してしまえば良かったのに・・・・」
ワザと聞こえるように話しながら向かってくる2人。
貴族の俺に対して『死ねばいいのに』みたいな台詞を平然と言うなんて・・・・
こいつら、自分が平民だって事をちゃんと理解しているのか?
頭ほんと大丈夫か?
ちょいとカチンと来たけど、まあいきなり怒鳴ったり殴ったりするのもなんだからな。
まず最初は紳士的に・・・・
ちょっと恥ずかしい思いをしてもらう程度で許してやる(笑
うん、これこそ俺らしいぜ!
俺は精神を集中して・・・・ 念動力発動!
「「きゃっ!」」
ドテーーン!!
2人のメイドは盛大に後ろへこけた
無論、俺が念動力で仕組んだ事だ。
しかも、2人のスカートが捲れて中が俺に見え・・・・よう・・・・に・・・・
・・・・
・・・・・・・・
ぜ ぜ ・・・・
全然、色っぽくねえぇーーーーーーーー!!!
俺はデルタ的な下着を想像していたが、全く違った!
確か「ズロース」って名だと思ったけど、
こいつらは下着としてそれを着ていた。(『履いていた』かな?)
考えてみてくれ!捲れたスカート中が・・・・
腰から膝上までゆったり大きめの布でスッポリ隠れていて、
その先を紐で軽く縛ってある、いわば子供パジャマのズボンのような
下着なんだぜ?
色気の「い」の字もありゃしねぇ!!
せめて、この前の特訓で会ったあのエルフのように、布を巻いたとかならまだ許せたのにな。
なんつうか見た目で言うなら相撲の「まわし」に近いようなやつ?
あれならお尻のでん部とか太ももが見えるからまだ色っぽいじゃんか。
しかもスカートは短めだったし。
でもこの下着だとお尻も太ももも全く見えない。
つまり、色気がまったく感じられない。
メイド服とは(俺的にだが)絶対に合わねえよ!
ちくしょう!
前世で霊の時から密かに実行していた、『念動力』を使用したスカート捲り。
せっかく異世界転生後初のスカート捲りがこんな結果になるなんて・・・・
ビュイーン
急に目の前にビジョンが表示された。
『アホー アホー』と鳴いて飛んでいるカラスの絵
・・・・
・・・・
じゃかあしい!ツッコミを絵でするな、さっちん!
そもそもカラスは「アホー」なんて鳴かねえよっ!
ド〇フのコントじゃあるまいし!
俺は誓った。
俺の嫁になった人には、絶対ズロースなんて履かせないぞ!
おっと、メイド達が起き上がった。
考え事(及びツッコミにつっこむの)は、ここまでだな。
さて、最初の仕置きはこれでいいとして・・・・
けど、これで済ませられるかな?
たぶん・・・・無理だろうな
ぶつけたであろう腰をさすりながら、
改めて2人のメイドが向かってきた。
「なんか転んで腰を打ったみたいだが、大丈夫そうで良かった。
(我ながら白々しいな)
まずは良き朝を迎えられた事に感謝だな、2人とも」
俺は笑顔で元気に朝の挨拶をした。
武道でもそうだけど、挨拶は大事だ。
ましてや、こいつらは一応俺が転生してから出合った最初の人族だからな。
一瞬びっくりしたような顔をした2人だったが、
「は?何を仰られているのですか?この豚は」
「朝から醜いものを見て、良き朝が悪き朝になってしまいました」
俺に悪態をつく2人
・・・・
はあ・・・・やっぱりこうなるか・・・・
本当に馬鹿な2人だ。
まだ何を言っても大丈夫と思っているんだろうな・・・・
確かにシュワンは彼女達に酷い扱いを受けていた。
でも、この俺ことシュウイチは彼女達から酷い扱いを受けるのは、当然今日が初めてだ。
だから、最初のあの暴言だけなら最初の仕置きだけで済ませてやったのに・・・・
うん、これ以上遠慮する必要は全くないな
女性だからってのは関係ない
ぶちのめす!!
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
実はこの後のメイドの事も書き終わっているのですが、
とりあえず前編と後編で分けました。
なんつうか、ざまぁさせるつもりがただの暴力シーンになってしまって
いるような気がして・・・
合わない人もいるかもしれませんので、もう少し修正します。
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます