第46話 我が相棒たる・・・・ 1
「では神法を使ってみましょう!」
そう、さっちんは俺に言ってきた。
いよいよか。
なんだろう、何ていうか注射を打たれる直前の患者気分とでも言えばいいだろうか?少し緊張してきた。
「と言っても、さほど難しくありません。
単に力を借りる神の名と姿を思い浮かべて、
①信仰している神とパスを繋ぐ言葉を紡ぐ
②対価として支払うものを宣言する
③どう場所にどう使いたいのか宣言する
④神法名を宣言する
これらをきちんと申告して通れば、神が力を発動してくれます。
一番の例で言えば
「神の名」、神力を払うと宣言、「使用場所」、「神法名」
を、順に言えばいいわけです。
順番が違っても、意図がちゃんと神に通じれば発動してもらえます。
ではさっそく、神法のレベル1に『ライト』があります。
まあ、要はただ神力で作る照明ですね。
それでは発動してみて下さい」
そう言って、さっちんは手で俺をうながしてきた。
よし、と気合をいれて、
早速シグリーシャの名を・・・・
言おうとして、俺は止めた。
特にたいした意味はない。
ただ、名前を呼んだだけだと親しみが沸かない気がしたからだ。
それに、どうせならもっと格好いい詠唱にしたいとも思った。
「なあ、さっちん」
「はい、どうしました?」
「最初の『神とのパスを繋ぐ言葉』は、神の名じゃないとダメなのか?」
「いえ、相手の神が自身の事だと理解出来る言葉であれば、
神の名でなくても大丈夫ですよ」
ふーむ、そうか・・・・
俺は改めて、シグリーシャと会った時を思い出す。
直接顔を会わせていたのは、数時間程度だろう。
でも地縛霊だった俺を見続けていて、ある意味で俺の側にずっと居てくれた女神。
10年間、俺の妄想にツッコミを入れていた相方であり相棒。
その女神の顔を思い浮かべて・・・・
俺はこう呟いた。これだと思った。
俺だけの詠唱
「我が相棒たる管理の女神よ!」
直後・・・・
圧倒的な存在が、俺の魂と繋がった事を感じた。
ははは、なんだシグリーシャ。こんな言葉でいいのか?
これじゃ、シグリーシャを「信仰している」ってんじゃなく、
「頼りになる相棒にお願いしている」事になるんだぜ?
「・・・・問題ありません。むしろ普通に名を言われるより喜んでおられます。
さあ、続きをどうぞ」
そう言ってくるさっちん。
ふ、まかせろ。
こういう時の為に、厨二病が入ってた学生時代にいろいろ研究してたんだ。
こんな時はこう詠唱すればいいとかは、ある程度は研究済みだ!
「我が神力を代価に、我が意図せし場所に、我が望む威力で「光」を顕現させよ!
『ライト』!」
すると俺の頭上1mほどの場所に、明るく優しい光が灯った。
・・・・魔法じゃなかったけど、俺がこの世界に来て初めて神法が使えた瞬間だった。
「おめでとうございます」
そう、やさしく言ってくれるさっちん。
なんか・・・・嬉しいよなこういうのって。
俺は頭上で灯り続ける優しい光を見た。
「これで、この神法を修得した事になります。
では、他の神法も覚えてどんどん神法レベルを上げましょう!」
了解だとも。
俺はさっちんから新たな神法を教わっては詠唱して使いまくった。
「我が相棒たる管理の女神よ!我が神力を対価に我が定めし場所に
現在時刻を表示せよ!『クロック』」
そうすると俺の正面に「02:03:15」との表示がされた。
これがクロック。単に現在の時間を知る神法だ。
「我が相棒たる管理の女神よ!我が神力を対価に我が定めし者の
傷を癒せ!『ヒール』」
すると、腕につけた切り傷があっというまに塞がった。
まあ名前から判ると思うが、回復の神法だ。
「我が相棒たる管理の女神よ!我が神力を対価に我が定めし場所に
小さき火を灯せ!『スパーク』」
すると、草むらの一箇所に火が上がった。
単に火をつける神法だが、キャンプとかでは重宝するのは言うまでもないだろう。
新たに神法を覚え、使える事がすっげー楽しかった。
なんつうか、ドラ〇エで「ギ〇」や「ラリ〇ー」を覚えて使った時みたいに楽しくて仕方がなかった。
そして、使っていくうちにいくつか判ってきた。
まず緊急の場合、「我が管理神よ!」とだけ言えばシグリーシャとのパスが繋がる事。そして、パスが繋がった状態では「ライト」とか神法名を言うだけで発動してくれる事、また言葉でなくとも強く念じるだけでも発動できる事も判明した。
さすがシグリーシャ、使える女神様だぜ。
「そろそろですね」と、急に不明な事を言うさっちん。
「『ライト』! 何のことだ、さっち・・・・ん?」
今、さっちんの名を言おうとした際、なんつうか体中の神力が爆発してその後すぐ引き締まったようなとでもいうのか、そんな感じがした。
何だ今の?
「おめでとうございます。今のが神法レベルが上がった時の感覚になります。
さあ、ある意味ここからが本番です。
次レベルの神法の訓練を始めましょう!」
おお、今のが俺の神法レベルが上がった感覚なのか。
ぜひとも「ちゃらら らっら らっら~」みたいなBGMが欲しいところだな。
さあ、次はどんな神法を会得するのか?
ワクワクが止まらないぜ!!
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
これは自分だけかも知れませんが、自分だけの詠唱って
憧れませんか?
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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