第42話 特訓はイメージと共に 2

 俺はさっちんの放ったモンスター軍団と戦い続けた。

さっちん曰く、『悟らせたい事があるから』との事。


 「ぜぇ~、ぜぇ~、はぁ~、ぜぇ~・・・・・」

当然、肥満のこの体だからまた息が切れてしまい、仰向けになりながら

息を整えていた。


 かなりの時間戦ったと思う。

ただ、先ほど終えた戦闘だけは、最後の方でなんか胸に喪失感みたいなのが漂いうまく戦えなかった。


「・・・・ようやくその状態を感じてくれましたか。

 その感じを覚えて欲しくて戦闘を続けて貰っていたのです。

 それが魂元素が尽きて来ている状態になりますので覚えておいて下さい。

 その状態が近づいて来たのなら、一度逃げる事をお勧めします。

 まあ修一さんなら、ネットルームに逃げ込んで少し休めばまた戦えるようになります。

 ですが・・・・」

 

 頭を抱えながら説明してくれるさっちん。

俺はそんなさっちんの胸部を見ていた。スポーツブラの胸部を。


「ですが修一さん、途中で少し息を整える程度の休憩は何度か入れましたけど、

 それでも普通はよ?

 一体、どんだけすごいんですか修一さんは!」


 再びビシッっと指を俺に差して言ってくるさっちん。

一緒に少し揺れるさっちんの胸を、俺は見続けていた。

ふ、こんな時でも俺って変わらんな。


 それにしても、20時間も戦ってたのか。

シュワンの体のポテンシャルは、そこまで高いのか。

加護があるとはいえ、これだけデブってるのに

そんな長時間動けるなんて。

しかも一向に眠くならないし、息を整えるだけでまた体力が戻ってくる感じがしてるし・・・・


「それもありますけど、私が言っているのは修一さんの『魂力』ですよ。

 あれだけ多様に使い続けて20時間も保たせられて、

 かつ少しの休憩で復活できる事が異常なんですよ。

 常人なら魔法でも精霊術でも15分も使い続けていたら切れてしまいます。

 超ベテランの方でも1時間くらいでそうなります。

 しかも復活まで最低数時間~数日かかります。

 だというのに、修一さんは20時間でようやく兆候が出てきただけで、

 まだ完全には切れていません」


 ・・・・そうか、やっぱり俺って凄いんだな。

仰向けのまま、ちょっとだけ自惚れてしまう。


 でも、凄いといえばさっちんの察知も凄かった。


 例えば、蚊が『右耳』に飛んできてあの「プーン」って音が聞こえた場合、反射的に顔を『左側』に逸らして右耳付近を手ではたかないか?


 さっちんの「危険察知」は正にそれを応用したようなもので、緊急の場合はいちいち音では知らせず、反射的にそう動くよう「導いて」くれるんだ。

俺はそれを信じて回避するだけで、後ろに回った敵の攻撃とか多数の矢や魔法攻撃を回避する事が出来た。


「ふん、そうでしょうそうでしょう!私凄いですから!!」

サングラスを外して、えっへんと胸を逸らして自慢するさっちん。

さっきまで見ていた中で、いちばんその中にあるが揺れた。


 俺が見続けている事を知っているだろうに、全然隠そうとしない。

ジャージのチャックを開けたまま全開にしている。

ちょっとだけ、いたずら心ってやつが疼いてしまった。


「ああ凄いよ、ありがとうさっち~ん!」

そういって、俺は下から両手をさっちんの胸に伸ばした。


 ・・・・正直に言う。回避されると思っていた。

なのに、俺の両手はさっちんのブラの中に「スポッ」と入っていって・・・・


 もにゅん! もみもみもみ・・・・


 ・・・・


 ・・・・俺は人生で初めて、「生チ〇」の感触を味わえた・・・・


 ・・・・


 もみもみもみ


 ・・・・


「な、何してるんですかぁああああ!!!」


 どごぉおおおおんん!!!

「へぶぅ!」


 ビンタなどではなく、正にグーの正拳が顔面にモロ入った。


「わ、私の胸を、よ、よくも揉みしだいてくれましたね!!」


「ご、ごめん!前みたく回避するだろうって思ってたんだ!すまん!」


「いちいち修一さんの視線とか気にしてたら訓練できませんので、

 羞恥心とかいろいろ「カット」してたんですよ!

 そしたら・・・・そしたら・・・・」


 わなわなと、握った拳を震わすさっちん!


「本当にすまんって!

 でもさっちんは俺の能力なんだから、このくらいのスキンシップは

 許してくれると俺的にはうれしいというか・・・・」


「黙りなさい!私の能力的な部分は確かに修一さんのですが、

 与えられたこの心と身体は私のであり、修一さんにあげた覚えはありません!」


 うわ。まさかこの有名な台詞を、俺が聞く日がこようとは・・・・

なんつうか「身体は許しても、心までは許してないわ!」みたいな・・・・


「そろそろ食事と睡眠を取らせてあげようと思っていましたが、

 気が変わりました!」


 サングラスを掛けなおすさっちん。

そしてどういう理屈なのか、サングラスから「きらーん」と光が反射する!


 ゴゴゴ!と地面からかん高い音が聞こえて、次の瞬間・・・・

 

 周りには線路が出来ていて、俺のすぐ近くには3人の背の高いマッチョがいた。

マッチョは見た目では黒人、白人、東洋人の3人で、上半身は裸で下はブーメランパンツやらふんどしの姿。いかにもモーホーっぽい!


「ふっふっふ、修一さんがそっち系が苦手なのは知っています。

 さあ、今からこの『丸い緑の線路』を一周走ってもらいます。

 走る速度が一定より遅くなったり10秒以上止まって休むと、

 彼らが慰めてくれますよ♪」


 ぞわぁわわああ!!


 背中に寒気が走る。チラリと男たちを見ると、なぜか股間をアピールしたり

こちらに向けてウインクをしてくる!

 

「このマラソンの時間だけ、修一さんの「能力」をこの空間のみ私に与えられた

 『権限』で封印させてもらいます。

 さあ、一生懸命走ってください!!」


「待ってくれ!いくらなんでも乳揉んだだけで山手線一周って酷くね?」


「問・答・無・用!」


「ぎゃあぁああ!嘘だろ助けてくれ~!!」


 俺は両手を広げてキスをねだる様な格好で追ってくる3人から必死に逃げた。




 ・・・・何とか唇とお尻だけは死守したとだけ言っておく。




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


この後のシュワンの家族との対面について四苦八苦中。

ある程度の構想は出来ていたのですが、実際に文にすると

難しいものですね。


次回は金か土辺りに載せる予定です。


作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。


 

 


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