第39話 ネットルーム内は・・・・ 3

 ふっふっふ、と笑うさっちん。


「修一さん、お忘れになられていませんよね?

 『⑦ネットで見れるアニメや漫画及び遊べるゲームに関しては、 

  最初は地球で1990年までに作成・公開・販売された商品とする』

 この設定が関係しているからなんですよ!」


・・・・ 


 忘 れ て た !!


 あの時は『なんで願いをチート能力に変えてくれるのか?』って

その事ばかりに気をとられてたからな。


 ちくしょう、さっちんめ!

忘れてる事を知ってたからワザと笑って言ってるな。


「さてなんの事でしょう?

 そして1990年はVHSなどのビデオが主流でしたので、

 隣りの部屋にビデオデッキが置いてあるわけです。

 修一さんはパソコンからデータで見ればいいので関係ありませんが、

 もしお仲間さんが出来た時は、あの部屋でビデオで見てもらおうと

 考えて設置したワケです。

 ちゃんとお相手さんを3人見つけて2005年まで閲覧可能にすれば、

 それらは全部ビデオからDVDに替わりますのでご安心を」 


 設定が細かいなぁ・・・・

でもVHSか。なんかちょっと懐かしいな。


「コミックブースの空きが多いのも、ひと昔前と思ってしまうような

 作品が多いのも理由は同じです。

 1991年以降に発売された漫画が全部削除されているからですね」


 なるほどなぁ。

パッと見でだけど、今置いてある本はコミックブースが小さめの所では、

まず置いてないと思われる本ばかりだ。


「・・・・まだことの重大さに気づいてないみたいですね、修一さん。

 では、ずばっと言って差し上げましょう。

 今の修一さんには!」


 びしっ!と、さっきの俺の真似をしたように指差しをして


「『サイバー〇ォーミュラシリーズ』が見れません!」


 はうわ!


「『○○アートオンラインシリーズ』が見れません!」


 あべし!!


「『ハ〇〇のごとく!シリーズ』が見れません!」


 たわぱぁ!!!


「そして何より、修一さんがこっそり見たいと思っていた

 『ハイスクールで活躍するおっ〇いドラゴンシリーズ』とか

 『デートして口説いて精霊の好感度を上げるシリーズ』とか

 『止まらないスピードで想いがあふれる兵器シリーズ』とか

 『トラブル起こしてえっちぃのは嫌いですシリーズ』とか

 

 ぜ ん ぶ 見 れ ま せ ん !!!」


 ひでぶぅううう!!!


 ああ、魂が抜けていく・・・・

そうか、あの設定だとそうなるのか。

ネットルーム能力を貰えると判ったとき、密かに楽しみに考えていたことが結構減ってしまった・・・・

時間があれば購入してゆっくり見ようと思ってたのに。

そしてさっちん、これ以上俺が見ようとしてたアニメを暴露しないで・・・・


「さて、修一さん・・・・」


 さっちんが、真面目な顔に戻って俺を見て言ってくる。


「なんでシグリーシャ様がこんな設定したか、おわかりになりませんか?

 『ひとりお相手さんを作れば5年追加』なんて設定した意味が。


 シグリーシャ様は、修一さんにお相手さんを見つけて願いを適え幸せに

 なって欲しいからなんですよ。

 前世で実らなかった恋とエッチの両方の成就をね。

 ですがそれは、『テラクラムの現実世界に関わってほしい』という願いの

 裏返しに繋がります」


 ・・・・


 シグリーシャは、やっぱり俺にこのテラクラムで現実世界の方を可能な限り頑張って貰いたいって事か。

だから頑張れば嬉しいことが増えていくこのスキルを・・・・

ネットカフェのワンルームどころか、ネットカフェそのものが入っているビルを丸ごとくれるみたいなスキルを用意してくれたっていうのか。


 そんだけ楽しみにしてくれてるんだな。

俺がこのテラクラムの人族の中でどう生きていくのかを。

変えていくのか、それとも・・・・


「というわけで修一さん。

 テラクラムで生き抜いていくための必要な事を今夜いっぱい、

 不肖この私めがいろいろとレクチャーをして差し上げます。

 さあ、いきますよ!

 人の瞳が背中についてない理由を、修一さんは知っているはずです!」


 ツン真面目から熱血指導員のような性格に変ってしまったさっちん。

あとお前、なんだかんだであのサイバーシリーズが好きなんだな・・・・


 あ、そうだ!


「待ってくれ、もう何日も食べてないんだった。

 せめてさっき自販機にあったツナマヨおにぎりとかを・・・・」


 そういって振り返った俺の背中をがしっ!と掴んださっちん。


「必要ありません。だって修一さん水精霊の水を飲んでいるので

 さほど空腹感はないはずです。

 それに、その肥満体を少しでも痩せる為に今はガマンしましょう!

 大丈夫です、今が苦しいからこそ明日が輝くのです!」 


 ずるずると俺を受付まで引き連れていくさっちん。


「『必ず We’re Winners』 ですよ!」


 

 ・・・・さっちん、こっちが本性だったか。




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


こういった内容を書くと、判らない人にはつまらないのでしょうか?


次は修行編みたいな感じになります。



作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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