第38話 ネットルーム内は・・・・ 2

 さっちんとのコミュニケーション(?)は残念ながら失敗に終わった。

「まったくもう! 

 先に言っておきますが、私にはは与えられていません。

 なので、早く現実世界でお相手を見つけてください!」

 そう言って素早く衣服の乱れを直すさっちんだった。


「コホン、それでは続きを・・・・」


 なんていうか、プリプリしていた割りにやけに切り替えが早いな?


「シグリーシャ様から聞いておりますのでこれくらいは覚悟してましたから。

 『修一さんはスケベですから、もしかしたらちょっとエッチなことを

  されてしまうかもしれませんが、どうか許してあげてください。

  基本的にはいい人ですから』

 と・・・・」


 さすが俺の10年の相棒。良く判ってくれているな。


「あと、

 『巨乳好きなのに巨乳の彼女がいても手を出せなかったヘタレチキンだから、

  襲ってきても最後までは出来ないだろうから安心して♪』

 とも仰っていました」


 ・・・・前言撤回。『良く判りすぎ』だ、ちくしょう!

 あの女神アマ、いつかしばいたる!


「『胸を』の部分は要らないのでは?本当にスケベですね」


 おお、さすがさっちん。既にシグリーシャ風ツッコミを理解している!


「それはどうも。

 ではこの出口の事で重要な話があるので、ちゃんと聞いてください。

 この出口の空間だけは『現実世界と同じ時間の早さ』なんです。

 ここで2時間過ごせば現実世界も2時間経過します。

 つまり、「現実世界と同じ時間を過ごしたいならここにいろ」

 という事になりますね」


 ほうほう・・・・

俺はこの部屋を見渡す。といっても何にもない。

ここて時間を潰さなければならない場合、リバーシとか将棋とか麻雀とか

トランプとか、旅行の定番遊具を置いとけば暇つぶしになるな。

あとはそれを置くテーブルとかかな?

発電機を買えればここにテレビとゲーム機設置してゲームとかも出来るんかな?


 俺はそう考えていたが、シュワンの簡素な部屋を見て・・・・


 その考えを改めた。


 ダメだ!

この出口がいわば「」だ。

ならば、この出口には基本遊具は置いては駄目・・・・のような気がする。


 あくまで遊ぶのは中だけで、ここに来たら気持ちを切り替える。

うん、必ず徹底するようにしよう!


「ふーん・・・・

 ちょっとだけ見直しました。ちょっとだけですが」


「・・・・そいつはどうも。

 じゃあ早速、今度は本命を見せてもらおうか」


「判りました。では一度戻りましょう」


 そして風除室の本館入口ドアの前に改めて来て・・・・

「さあどうぞ」

と、さっちんに促されて、俺は入っていった。

ちなみにこの大きいガラス扉は、自動ドアだった。




 ドアを入って第一声は・・・・

「あああああ、何もかもが・・・・なっつかしいぃいい!!」


 あほな奴と思うなかれ。 

俺はよくバイトまでの暇つぶしに駅前ネットカフェを利用してた。

当然俺が死んでからは通えなかったんだから、実に10年ぶりだ!

この雰囲気が懐かしいと思っても仕方ないことだろう。


「説明する前に・・・・どうぞお好きなように見てきてください」

と、気を使ってくれるさっちん。


 まず入って右側すこしだけ奥に歩くと受付が二つ・・・・総合受付と買取カウンターか。両方ともタッチパネルだ。受付は最新式を使用しているな。

そしてその受付の隣の壁に、ずいぶん大きいなエレベータがある。

更にエレベータ左隣には男女別のトイレがある。ここにもトイレあったのか。


 中央右には貸出用の毛布やタオルケットやクッション等とその返却箱。

中央正面にはドアが二つ。

右側のドアを開けると俺の希望した3畳ほどのロングソファのネットルームだ。

よかった、ソファはリクライニングだから結構平らなベットに変えれる。

腰掛にも枕にも使えるクッション装備だ。

その隣りのドアは・・・・あれ、6畳くらいのマットルームだけどなんで?

パソコンはないけどテレビとDVDプレイヤーがある。

いやちがう、これDVDプレイヤーじゃなくビデオデッキだ。


 更に中央奥左には各飲料及び食料の自販機。ドリンクバー。

で、残り左側全部を占めるコミックブース!!

本来コミックブースの通路はもっとせまいけど、このネットルーム内には

部屋のスペースが2部屋分にしか使われてないせいか、コミックブース通路が

通常のそれよりけっこう広い。


 そしてそのコミックブースなんだけど、おいてある本はちょっと古いというか

一昔のやつと言える本ばっかり。またブース各所にかなりの空白スペースがある。


 ビデオデッキにしてもこのスペースにある本にしてもちょっと違う気がする。

なんでだ?



「ふっふっふ、それはですね~」




 その声に振り向くと、にやりと笑ったさっちんがいた!




 **********

 =作者あとがき=


 作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


 ふっふっふ、

 なんで古い本しかないのでしょうか?わかります?


 次回更新は16日火曜頃を予定しています。

 最後に、最近フォロワーが増えてきてほんとびっくりです。

 ありがとうございます。

 作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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