第55話 シュワンが壊れるまで 2
~ シュワン Side ~
「ようシュワン、最近オマエ専属メイドに冷たいようだな」
そう気安く声を掛けてきたのは、次男のアーレン兄様だ。
大らかな性格で気さくに話しかけてくる。
後ろにアーレン兄様専属のメイド2名を連れていた。
うん、専属メイドなのだからこの光景が普通なんだ。
「アーレン兄様。別に冷たくしていませんよ?」
「でもクミンが言っていたぜ?せっかく心を込めて作っているのに
食事を全部食べてくれないってな」
「それは量が多すぎるからです。もっと少なくて良いと
いつも言いつけているのですが・・・・」
「おいおいシュワン、彼女はオマエのためだけに一生懸命作って
くれてるんだろう?なら少し量が多くても食ってやれよ」
「ですが・・・・」
「しょうがねえなぁ。別に今日は全員で食事をする日じゃねえが、
オマエの部屋で夕食一緒に食べようぜ。
俺が直接どれくらいの量か見てやるよ。
ああ、デクスも一緒に連れて行くがいいか?」
デクスは僕の1才下の弟だ。
幼い頃に左足を悪くして杖を使っている。
「アーレン兄様・・・・わかりました。お待ちしております」
「おうよ、じゃあな」
そういって、去っていこうとする兄様。
その途中一度止まって、こちらも見ずに聞いてきた。
「そうだ、なあシュワン。
以前、俺とデクスにだけ教えてくれたオマエの次期当主の考え、
今も変わってないよな?」
「はい、もちろんです!」
僕は次期当主は長男であるグリトラ兄様でいいと思っている。
なにも兄弟で争うこともない。
「そうか、ならいいんだ。
そうそう、クミンには俺から伝えとくよ。じゃあな」
そういって去っていくアーレン兄様をしばらく見送ってから、
僕も自分の部屋に戻っていった。
去り際にアーレン兄様が何かつぶやいたように聞こえたけど、
気のせい・・・・だよな?
僕には、アーレン兄様がこうつぶやいたように聞こえた。
「哀れな奴」と・・・・
*****
~ 修一 Side ~
俺は、シュワンの記憶を読むのをまた一旦中止した。
そして、深いため息をひとつ吐いた。
「・・・・アーレンはこのときにはもう、クミンとグリトラの関係を
知っていたってことだよな・・・」
最愛の人をグリトラに奪われているのに、グリトラを当主にと言っているんだ。
この「哀れな奴」って言葉は、紛れもなく無知なシュワンに対してのアーレンの本心だと思った。
「はい、アーレンさんは全て知っていました。
私もクミンさんとグリトラさんの関係を知っていたなら、シュワンさんの事を
『哀れな奴』って思ったかも知れませんね・・・」
また俺の思考を読んでいたのか、俺の言葉に答えてくれるさっちん。
確かにな・・・・まったく。
俺はため息を再度つきながら、またシュワンの記憶を読み続けた。
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
今回は短くてすみません・・・・
このあたりをサクッと書いて次の修一とジャスティス家族の
対面にもって行きたいと思っているのですが・・・・
本当、文章って難しいです。
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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