第34話 風呂で・・・・

 俺はたくさん美味しい水を飲んだ。涙を流しながら。


 その後、契約した俺の水精霊さんと色々話をして、聞いて、試した。

結論・・・・この水精霊さんウルトラスーパーグレートデリシャス有能だった!!


 だって、俺が今何しているかというと・・・・


 井戸の隣りにあった石の囲いに張った湯の中に浸かっていた。

早い話が「風呂」に入っていた。透き通ったきれいな湯の中に。

「風呂は〇の洗濯よ♪」とか言っていた某特殊機関のお姉さんの台詞は真実だった。心も体も命までも洗えてすっげー幸せだ。


 まず俺は「ネットルーム」の検証もしようかと考えたが思い留まった。

だって、汚物が服や体についてる状態でネカフェに行ったりしないだろ?

今はとにかく、体をきれいにする事が先決だと思った。


 せっかく水をいくらでも出してくれる妖精と契約出来たんだ。

まずはお湯とか出せないか?とか、水精霊さんにいろいろ確認した。

そしたらこの水精霊さんはお湯も出せるし、汚れているものを渡せば汚れも匂いもきれいに洗い流してくれるんだ。

部屋の掃除をお願いすれば、汚れ以外にも虫やカビなんかも綺麗に流してくれる。


 結果、さっきまで着ていた俺の服も靴も綺麗になっていた。

そして俺というかシュワンの部屋は既に汚物の跡なんかなく、とても清潔できれいになっている。道具要らずで洗剤とか使うより綺麗なんだぜ?


 これが有能じゃなかったら、なんて言うんだよ?


 その水精霊さんは今、井戸周辺の掃除をしたり木々に水を上げたりしてる。

すごく嬉しそうに。


 その姿は、はっきり言って天使そのものだ。


「なあ俺の水精霊さん、やっぱりあの井戸に残り続けるのか?

 ここを出る事になったら場合、俺について来ないのか?」


「マスター、ごめんなさいなの・・・・」

またシュンとしてしまった俺の水精霊さん。やっぱり無理か。


「いや、いいんだ。無理言って済まない」


「でも契約しているから、呼んでくれたらいつでもすぐ会えるの!」

そういってまた元気に飛ぶ水精霊。

もう充分です。その姿だけで幸せだ。


 お湯に浸かりながら、今は俺のものとなった元シュワンの体を確認する。

はっきり言ってデブっている。首は太ってるし腕もダルダルだし腹は垂れてるし太ももはブヨブヨだ。

なぜ太っているのか?それはクミンや兄弟にはめられたからだ。


 本当はこんなのんびりしてないで、今後の事とか考えないといけないんだろうが、今は考えたくない。まずは心の静養をしてからだ。


 星空を見ながら、心と体が満足するまで温まった。


 俺は十分温まった後、綺麗になった服を着て部屋に戻っていた。

ちなみにこの国の服はまだズボンとかではなく、

浴衣のような大きい布をまとってベルトのようなもので留める感じの服だ。

まだ部屋も服も濡れてるけど、あの汚れてた時に比べれば天と地の差だ。


 俺は、改めて契約してくれた目の前の水精霊に感謝を述べた。

「本当にありがとう俺の水精霊さん。これからもぜひ宜しく頼むね」

「こちらこそなの!いつでも呼んでなの~!」


 そういって井戸の方へくるくる飛んで戻っていく水精霊。

ホントありがとう、おかげで助かったよ。


 さて、ここからだ。

さっきまでは、転生できたのはいいが何も出来なかった。

出来る環境じゃなかった。

出来る状態じゃなかった。


 でも、水精霊さんのおかげでようやくだ。

体も服も洗えて部屋も掃除して貰えたおかげで落ち着ける。

ある意味で心も水精霊さんに洗ってもらえたから、スッキリしている。


 ようやくやっと・・・・できる。 

ネットルームの能力を検証する事も。

そして、クミンを始めシュワンの裏切ったやつらをどうするか考えることも。

俺の嫁探しをどうするかも・・・・ね。



 全ては、ここからだ!!




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。ここまで読んで頂いてありがとうございます。


さて、ここからですね。ようやく前座が終わったって感じです。

ここからいろいろ反撃とか仲間と嫁さんGetが始まる予定です。


ちなみに、自分も転生モノが好きで読んでますが

汚物まみれの部屋に転生した主人公は修一が初めてでしょう(笑


作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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