第23話 ようやく転生先の情報入手!

 ふー

俺はなんとか落ちついて、暴走モードから抜け出した。


 そして落ち着いたからか、転生先の情報を何も聞いていない事に気づいた。

俺はシグリーシャに問いかけた。


「はい、 管理している星は「テラクラム」といいます。

 修一さんの居た地球とほぼ同じ構造です。

 北と南は氷の大地となっていて、地が3で海が7の割合です。

 ただ大きさが地球の30倍ほどあります」


 30倍!?そりゃ大きいな。


「何しろ10メートルを超える魔物とかも多くおりますので。

 あと、テラクラムの人類文明は地球でいう中世ぐらいですね。

 そしてテラクラムには先ほど少し話してしまいましたが、人族以外にも

 神族、魔族、龍種、精霊、獣人族、亜人族、巨人族、特殊類と

 多数存在しています。

 それ以外には魔物と通常の動物ですね。

 そして地球にはない『魔法』などが存在します」


 待ってましたお約束の魔法!

「魔法が使える」という言葉にどれだけ地球のオタク仲間が憧れている事か。

 ふ、悪いな地球の元オタク同士達よ。

 俺は一足お先に光の速さで異世界へダッシュして使わせてもらう!


「そして、テラクラムに存在する人族の割合は圧倒的に少ないです。

 総人口は獣人等を覗けば10億人程度です。

 10億も居るじゃないかと思われるかも知れませんが、広さが地球の30倍なのに

 たった10億人です。人族は魔物や他種族に対して弱すぎるんです。

 まあ、だからこそ私の管理している世界は平和だとも言えるのですが…」


 ・・・・まあ、人間が多いと平和が乱れるのは事実だよな。

欲深いし、対立とか激しいし。


「そこで、ある方に期待していたのです。

 魂力がずば抜けて大きい男の子に。ですが・・・・」


 ですが・・・・?


 シグリーシャはちょっと悲しそうな顔をした。


「その男の子が死んでしまったんです」


「死んじゃったの?

 あれ、期待とかこうして話しているって事は、

 俺はその男に転生させる予定だったって事だよね。

 死んでしまった人間に転生できるのか?」


「いえ、死んでしまったのは『魂』のほうなんです。」


「・・・・どうして?」


「修一さんと色々似てるかもしれません。

 まず名前は「シュワン・フォン・ジャスティス」くん。

 15歳の男の子で、貴族の3男のになります。

 

 あ、説明が前後してしまいましたが、

 シュワンくんがいるのは「ドルフィス王国」という国です。

 そして、この国にも爵位があります。

 上から公爵、伯爵、子爵、男爵の順ですね。

 「ドルフィス王国」に3つある公爵家の1つがジャスティス公爵家で、

 彼は公爵家の3男となります。

 ちなみに、シュワンくんの実母は彼が生まれて数年で亡くなっています。


 話を戻しますが、そのシュワンくんは魂力が大きい男の子でした。

 更に『力』を扱う才能があり、容姿・体格・体力にも恵まれています。

 その上、それらの特性を子孫に伝えられる優秀な遺伝子をもった男の子でした。


 そのシュワンくんは5歳の時にメイド見習いで公爵家にやってきた2歳年上ハーフエルフの「クミン」という少女と仲良くなり、そして彼女に恋しました」


 ・・・・なんていうか、これだけで判った気がする。

 しかし俺が「修一」で転生先の名前が「シュワン」って偶然?

 さらにジャスティス家って・・・・「♪俺が正義だ~!」てか?


「要は・・・・シュワンはNTRされたって事か?」


「・・・・はい。

 クミンさんは15になってすぐその公爵長男であるグリトラくんのモノとなってしまいました」


「13歳でNTRを経験する羽目になったと?」


「それに気づかされたのは1年以上あとで14歳の時ですけどね。

 幼い頃からずっと一緒にいて、将来を約束しあっていた仲でしたので、

 その現実にシュワンくんは耐えれませんでした」


「質問!」


「はい、何でしょう修一さん?」


「そのクミンって子は嵌められてグリトラって奴と関係を持ったのか?

 それとも自分の意思でなのか?」


 その答え次第で、俺の「クミン」って小娘への対応は大きく変わる!


「嵌められた感じではありますが、まあクミンさんの意思と言えますね」


 ・・・・?


「まずクミンさんハーフエルフという事でエルフの母からは嫌われていて、

 人間である父が亡くなられた4歳の時に施設に入れられました。

 3年間施設で育てられ貴族の基礎を教えられた後、公爵家に引き取られました。

 なので、親の愛を知りません」


 あ~、これまたその説明だけでもうわかった気がする。

あと、この世界も異世界ラノベと同じでハーフエルフは嫌われてんのか。


「くすっ、エルフの事も含め説明が色々省けて助かります。

 そうです、長男のグリトラくんはクミンさんの過去を知っていました。

 なので、親のように暖かく優しく接していました。

 もちろん下心を持っていて、彼女を狙っていたからですけどね。

 その暖かさに気を許していたクミンさんは15歳・・・・この世界での成人と認められる年齢になってすぐ押し倒されました。

 彼女はグリトラさんを拒否しきれず、結局受け入れてしまいました。

 以降はその温もりと快楽の虜になり、グリトラさんに「依存」するようになりました」


「やっぱりそんな理由か!三流ラノベ展開そのまんまだな。

 ・・・・で、シュワンはその熱愛の現場を見せられたって所か?」


「正解です。

 他にも上で裏切られたので、彼は壊れてしまいました」


 いろいろ?


「それは修一さんが転生したら判ります。

 申し訳ありません、これ以上の説明は出来ないのです」


「何故?」


「公爵家の後継者争いの一環だからです」


「???」


「公爵家の後継者争いの前哨戦は既に始まっています。

 シュワンくんはもう争いの渦中にいます。

 修一さんはそのシュワンくんに転生してもらう予定ですので、

 情報の与え過ぎは「不公平」となってしまうんです」


「つまり、その「いろいろ」ってのは俺が自分で確認しなければダメって事か?」


「はい、申し訳ありません。

 シュワンくんの血筋を残したくて、修一さんの魂をシュワンくんの肉体にを転生させる時点で既に不公平と言えるのですが、これは『人族の未来』に関わる事に なりますので、管理神たる私の権限で多目に見てもらいます。


 ただ、転生をお願いしている立場なのに何の情報も与えないのは修一さんに申し訳ないので、その分転生特典を私から授けてあげますね♪」


「判ったよ。ありがとうシグリーシャ」


 そして、俺の中でクミンは「ざまあ」をさせる「敵」と確定した。

シュワンよ、仇は討ってやるからな!


 ・・・・って、あれ? いま気づいたけど・・・・


「また別の質問いい?シグリーシャ先生!」


「ハイ、何でしょうか諌山君?」

やっぱりノリがいいな、この女神様♪


「シュワンの魂が消えてから俺を見ていたのなら、もう何年も経過しているんじゃないの?」


「え?まだ1日しかたっていませんよ?」


 へ?


「ああ、なる程!疑問に思われて当然ですよね。

 説明が足らず申し訳ありません。

 私は管理神ですからね、要はまあ

 みたいなことが出来る訳です」


 ・・・・マジかよ。つまりが出来るってか?スゲェな(汗


 「あ、じゃあシグリーシャの力でシュワンの魂を復活させられなかったのか?」

 

「魂が消失してしまっては私でもどうしようもありません。

 なまじ強い魂力の持ち主であった彼が、自身の消滅を望んだのですから・・・・」 


「過去に戻ってNTRを止めるとかは?」


「過去の改ざんは創造主から固く禁じられています。

 また私自身、些細な事でテラクラムの世界に干渉する事が出来ないのです。

 こういっては可愛そうかもしれませんが、恋人が誰かに奪われることなど

 当たり前にありますので♪」


 ・・・・当たり前にある、か。

そうだな。俺もそうだったワケだし。

あと過去の改ざんってのはやっぱり大問題なんだな。


「まあそういった理由で、シュワンくんの魂力に負けない魂力の持ち主を探していたのです。

 そこで見つけたのが、凄い魂力を持っていた修一さん、貴方なんです」



 ようやくここで俺が出てくるってワケか。





 またちょっとだけ、ワクワクしてきた俺であった。




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


ところどころに替え歌が入っているのは自分の趣味みたいなものですね。

にしてもプロローグが長すぎてホントすみません。


作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。


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