第15話 白川薫の告白 2

 そんな周囲の状況など理解出来ていないのか、彼女は正面を向いたまま虚ろな目で話続けた。


「・・・翌朝、スマホの電源を入・・て・・・・

 修一さんから多数クレーム・・・覚悟していて・・・

 けど・・・留守電・・・には両親と友人、それに・・・だった。

 連絡を入れて・・・出た瞬間・・・・泣かれて怒鳴ら・・・

 内容・・・・聞いて・・・・

 取り返しつかない事・・・してしまっ・・・理解した・・・」


 ・・・・かなり酔いが回ってきたようだ。

言葉にならない部分が多数出てきた。

言葉足らずの部分は、俺が『力』で記憶を見たので補足する。

「それに・・・だった」というのは、「警察からの留守電」だ。


 そりゃそうだ。

俺は死んだ後、すぐに公園を通った中年男性に発見された。

さっそく警察が来て、俺の身元やら死因やらの確認がされた。


 当然、俺の持ってたスマホも確認された。

発信履歴と最後のメールの相手はクソゴミ女こと白川薫だ。

けどコイツは見当たらない。電源を切っていた為連絡がつかない。

そりゃ、深夜であろうとコイツの両親や友達に連絡を取って確認しただろうよ。


 俺は殺されたわけじゃないが、寒い雪の中の公園で死んだんだ。

着信履歴から、白川薫への事情聴取をしない訳にいかなかっただろう。

逆にクソゴミ女の両親と友人達からすれば、俺と過ごす予定と聞いていたのに俺は死んでいてコイツは行方不明だ。


 そりゃあコイツに何度も連絡しただろうよ。心配もしただろうさ。


 ようやく連絡がついたコイツに対して、親や友達や警察らが当然問い詰めた。

「昨晩何処にいて何をしていたのか」と。

そして、このコイツは白状せざるを得なかった訳だ。

高級ホテルのスィートルームで元カレと熱い一夜を過ごしていた事を。


「秘密・・・する・・・つも・・・が全部明るみ・・・で・・・全てを失った。

 当り前だよね・・・大事にしてくれてた・・・人裏切・・・て

 友人には・・・怒られて罵倒・・・絶交されて・・・

 大学も・・・中退し・・・私のせいで・・・・親も・・・離婚して・・・」


 ・・・


「最後に・・・あの人を頼った・・・けど・・・

 ・・・体はよくても・・・つまらない・・・女・・・ゴメンだって

 ・・・やっぱり・・・捨てられた

 結婚してくれる・・・言ったのに・・・

 だから・・・初めてを・・・あげた・・・のに・・・」


「私・・・親にも友達にも見放され・・・・お金もなく・・・・

 自殺して・・・あの世で修一さんに・・・謝ろうと思った・・・

 謝まる資格・・・ないかも・・・けど・・・」


 ・・・・


「でも・・・修一さんの人生・・・・駄目にして・・・

 両親が・・・・離婚する・・・・原因作って・・・

 それで死んで逃げる・・・は・・・卑怯に思え・・・・

 だから・・・イヤだったけど・・・・罰だと思って」



 ・・・・



 「・・・・風俗譲になる事・・・・選んだ・・・・の」




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


書いていてなんですが、この薫さんそれほど悪って設定じゃありません。

まあ、裏切りしたので許せないかもですが。


作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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