第13話 白川薫の告白 1
再びウイスキーを一口飲んだクソゴミ女は、隣にいる俺にさえ聞こえない小声で話を続けた。
でも・・・・俺はどうしてかその内容を聞きたかった。
否、彼女が言おうとしている事を聞かなければならない気がした。
しかたなく俺は、地縛霊となってから得た『力』をコイツに使った。
これが俺の3つめの『力』である「憑依」だ。
この「憑依」を使うと、相手の体を乗っ取る事もちょっとだけ操る事なんてのも出来るし、状態なんかも理解できるんだ。
俺が公園で弁当を味わったりノーパソを勝手に使わせて貰えたのは、この力を使ったからだ。
この憑依を使って、コイツの声のボリュームを少し上げた。
「私・・・・イブ前日に偶然あの人と再開したの。
それで、あの人から言われたわ。
久しぶりだねとか綺麗になったねとか・・・・
ぜひまた付き合いたい、以前の事を謝りたいって・・・・
だから明日24日に食事に行こうって・・・・待ってるって・・・・
嘘だと判った・・・・たぶんクリスマスの予定が空いて・・・・
私でその埋め合わせをする考えなんだろうって・・・・
以前の付き合いから判った・・・・なのに・・・・」
・・・・
「でも私は・・・・頷いてしまった・・・・」
・・・・ベンチ周辺の風が不規則に荒くなる
「当日・・・・少し遅れても・・・・修一さんなら待ってくれるだろうって・・・
許してくれるだろう・・・・そう勝手に決めつけて・・・・
そして・・・・あの人との待ち合わせ場所のほうに行ったの・・・・」
・・・・
「食事だけ・・・・ちょっと昔話するだけ・・・・
そう思って・・・高級レストランでディナーを一緒に・・・」
・・・・
「・・・・本当に最低。
食事が終わったら修一さんの所へ行く・・・・自分に言い訳して
でも・・・・そんなのは嘘。
判っていた・・・・ディナーだけで終わらない事は・・・・
予想通りその後・・・・夜の情事に誘われて・・・・断れずに・・・・
ははっ、また嘘言っている・・・・
違う・・・・元から断る気なんてなかった・・・
自ら望んで・・・・ホテルに行った」
・・・・半分酔っている彼女は気づかない
ベンチ周辺の雪と風が不規則に強く吹いている事を
「修一さんが楽しみに待っていると・・・・
その為にいろいろバイトをしている事も知っていて・・・・
それでもあの人を選択して・・・・ホテルに行った・・・・」
・・・
「ハンサムで運動も出来て行動的でお金持ち・・・・
一般人には生涯縁がない豪華客船とか連れてって貰えたりして・・・
・・・・強引に色々連れて行かれたけど・・・・でも奥手の私にはそれが嬉しくて・・・・
本当に理想のタイプで・・・・愛した人だった。
やさしい修一さんの事も好きではあったけど・・・・
でも・・・・どうしても・・・・
あの人の事が・・・・忘れられなかった」
・・・・
「あなたが亡くなった時・・・・私はあの人と抱き合ってた・・・・
あの人をまだ愛していて・・・・またやり直したくて・・・・
久しぶりで・・・・激しく求め合っていたの・・・・」
・・・・
ああ、知っていたよ!!!
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
重い話が苦手な方、本当にすんません。
要は主人公が待ち続けてたのにこの女はって感じで
書きたかったんです。
でも彼女はヒロインとかじゃないんで大丈夫かな?
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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