第12話 隣りに座った元彼女
白川薫は派手な毛皮のコートを着ていた。
あと、有名ブランド模様のショルダーバックを左肩に掛けていた。
そしてゆっくりと、俺の座っているベンチに来た。
俺の事なんて見えていない筈なのに、偶然にも俺の隣に座った。
俺はそのまま、このクソゴミ女を見ていた。
10年ぶりに見る横顔だが、今でもまだ可愛いと言えるだろう。
・・・・だが、俺はコイツに対して愛しいとかの感情が全く湧かなかった。
湧いてくるのは・・・・憎しみだけ。
あれから両親や友人はこの公園に華を添えにきてくれたが、コイツだけは今まで一度も来てなかった。
もっともこのクソゴミが来られる訳もないだろうが・・・・
更にいえば、それで俺が「助かってた」ってのもあるんだが。
やばい、落ち着かないと・・・・
・・・・どれくらい経っただろう。
コイツは前を見ているようで何も見ていない。そんな気がした。
そして、持っていたバックから銀のウイスキー瓶を取り出した。
そして一口だけ飲んで・・・・また前を向いたままになった。
俺はそれを見続けていた。
なんでか判らないが、それが正しいように思えた。
「・・・・何でこんな状態になっても待ち続けてたの?」
俺に言っているのか?
いや違う、コイツは虚ろな目で正面を見ている。絶対俺に気づいていない。
「何時間も来なかったのよ?雪も降ってきてたんでしょ?
帰ればよかったじゃない。
公園でなくても、ファミレスにでも行けば良かったじゃない・・・」
・・・もうすぐ来てくれるんじゃないかと思ってたんだよ。あの時は。
あと体が重くて、動きたくなかったってのもあったかな。
今だったら・・・すぐに帰ったさ。
てめえのような最低のクソゴミ女なんか待たないでな!
「本当にバカ・・・・
あと、私の体に興味ありありだったでしょう?
胸ばかりよく見てたでしょう?
なんで強引にモノにしなかったの?押し倒さなかったの?
幾らでも機会があったでしょう?
無理して紳士な態度しちゃってさ・・・・」
やっぱりバレばれだったか。
確かにそうしておけば良かった気もするよ。
けどな、今はそうしなくて良かったと思ってる。
もう押し倒したいなど微塵も思ってねえよ。
「・・・・」
・・・・なんだ急に沈黙しやがって
「・・・・バカなのは私か・・・・
・・・・本当に私って大バカ・・・・
判ってる・・・・」
・・・・
急に悲しい顔をしたコイツから、何故か目が放せなかった。
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
次の話は重いです。
他の作者のように読んでくださってる方々に上手く
伝えられるかめちゃくちゃ不安です。
まあ下手でもご容赦下さい。
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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