第10話 修一の過去 1

 俺こと諌山修一は、生まれも育ちも東京だ。

ついでに死んだ場所もだ。


 生前の俺は、容姿も頭脳も良く言って中の下ってところだった。

学校では存在感の薄い、どうでもいい存在だった。

たしか俺みたいなのを「モブ」というんじゃなかったかな?


 昔を思い返してみても

小学校→すぐに家へ帰って漫画とテレビとゲームの日々。

中学校→帰宅部、すぐに家へ帰って漫画とテレビとゲームの日々。

高校→帰宅部、すぐに家へ帰って以下同文。

・・・・ホント今振り返ってみても、何もない学校生活だったな。


[何も「しなかった」学校生活の間違いでは?]


 ええい、ツッコミが正しいけどやかましいわ!


 あ、高校時代から続けてた空手道場で黒帯を取ったのだけは自慢かな。

3年間通い続けて、昇段できた時は感動したなぁ。

まあ、引きこもりな俺を見かねた親父に強引に習わさせられていたんだけどね。


 そんな俺だったんけど、大学入って結構変ったんだ。


 俺、大学合格したら一人暮らしをしたいって親に言ってたんだ。

けど一浪した上に、受かったのは滑り止めの二流大。

だから無理だと思ってた。


 だけど、本当に一人暮らしさせてくれたんだ。

親父曰く、

「何事も経験する事が一番重要だからな。

 引きこもりのお前が自らやってみたいと言い出したんだ。

 許可してやる。ただし食費や小遣いは自分で稼げよ。

 ダメならお前に一人暮らしは無理ってことだ。すぐ帰って来い」

ってさ。

空手に通わせてくれたことといい、本当にいい親父だった。


 だから大学入ってすぐアルバイトを始めたんだよ。

国道沿いにある、有名な洋食店でさ。


 裏方希望で入ったはずだった・・・・んだけど何故かウェイターやらされた。

『接客なんてできるか?』と最初は不安がっていたが、そこは案ずるよりなんとやらで、始めたらちゃんと接客できるようになっていたよ。


 またウェイターで他人と接触する事に慣れたおかげか、大学2年の時に友達が出来たんだ。

中学・高校・大学と通して初めて親しいと呼べる友達がね(涙)。

そして、その友達のおかげで俺にも彼女が出来たんだ。

「モブでオタク」の俺がだぜ?


 [「スケベ」が抜けていますよ?]


 うるせいやい!

・・・・否定はできないけど


 そしてその彼女こそがこの女、白川薫だった。




**********

=作者あとがき=


作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。


実はこの話辺り、最初はめちゃくちゃ詳細に書いたんです。

でもプロローグでそんな詳細要らないだろうって削りました。

何時間無駄にしたんだろう?(涙

さて、次回からがちと重いかもです。

ご注意下さい。

 

作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。

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