第8話 地縛霊として過ごしてきて・・・・
こんな感じで地縛霊として過ごしてきた俺。
そしてさっきから言ってる『力』って何?って思われてるかもな。
じゃあここで俺の『力』を明かそうか。
俺が地縛霊に成ってから得た『力』が3つほどある。
1つめ。
霊は物体を普通に動かせない。触れられないからな。
だからこそ霊は、それ以外の方法で物体を動かす。
そして俺もその力を手に入れたんだ。
俺の『力』の1つめは、念じて物を動かす力「念動力(ねんどうりき)」だ。
超能力だろうって言う人も居るかもしれない。
でも、俺は強く念じる事で動かせる事から「念動力」と言っている。
生きてる人からすれば「ポルターガイスト現象」になるんかな?
2つめ。
いくら公園に外灯があるといっても、夜だと暗すぎて本は読めない。
けどこの『力』のおかげで、今では暗い場所でもハッキリ本を読むことができる。
つまり俺の『力』の2つめは、「夜目」だ。
これが『力』と例えるのは微妙だけど、まあ人間にはない能力だからいいか。
3つめ。
これはもうバレてるだろうからまた今度。
最初の2つの力を手に入れたのは、霊になってから比較的に早かった。
きっかけは些細な事だ。
公園の隅に捨てられている本を見つけ、中を見たくなった。
[「魅惑の巨乳」ってタイトルのエロ本でしたね。本当にスケベですよね♪]
うっせいわ!
男なんだから、そんな本があったら見たいと思って当然じゃないか!
でも、どうしても本を掴めなかったし開けなかった。
意地になってとにもかくにも、しっきりなしに開こうとした。
そして思った。
なんで触れられないんだよ、ちゃんとページ捲らせろよ見せろよって。
すると、体に何か「気」とでも例えればいいのかな?
とにかくそういうのが吸収されていくような感じがしたんだ。
そしてしばらくすると、本のページが小刻みに動くようになりそのあと開けるようになったんだ。最初は暗くてよく見えなかったんだが、こちらも気づけばハッキリ見えるようになった。
早い話、エロ本を見たくて集中してたらいつのまにか使えるようになっただけなんだ。
エロって偉大だな。俺がそう思っているだけかもだが。
生きている時に、この『力』を使えてたらどうなってただろうか?
さぞおもしろ楽しい日々を送れただろうな、間違いなくね。
主にエッチな方面で(笑)
そんな『力』を得た時の事を思い出していたら、既に夕方になっていた。
俺は夕暮れの公園を、5mほど上空に浮いて見ていた。
夕日で赤く見える公園ってのは綺麗な反面、なんか寂しいものがあるね。
ホント、いつまでここで地縛霊なんてやらなきゃならないんだろうなぁ。
確かにこの公園で色々あったから、多少思い入れはあるんだ。
でも、だからといって居座りたいとは思ってない。
人が居なくなれば寂しい場所だしな。
それにさ・・・・
公園で子供連れて歩いている夫婦とか、高校生のカップルとか、生きて楽しんでいる人を見ると羨ましく思うようになってきた。
以前より一層ね。
思い当たる事はないか?
他人が持っているのを見た時に、欲しいとか羨ましいって思った事が。
地縛霊なんて、その最たるものだ。
基本そこに存在して見ているだけで、何も出来ない。
こんな辛い状況、他にあるか?
そして、辛いとか憎いとか負の感情がずっと続いていくと、地縛霊の俺は「悪い存在」に変ってしまう・・・・そんな予感がするんだ。
ここに俺を呪縛しているのは、たぶん神様なのだろう。
だから頼む、神様。
そろそろここから解放して、成仏させてほしい。
俺が真に「悪い存在」に変ってしまう前にね。
[・・・・もうすぐですよ]
このツッコミは、修一には聞こえていなかった。
**********
=作者あとがき=
作者の獰猛死神です。読んで頂いてありがとうございます。
3つめの力は、読んでればピンと来ますよね。
あと、この後の修一の彼女の話は少し重いかもです。
NTRのような話が苦手な人は注意してほしいです。
作者はチキン野郎ですので、誹謗の類はご遠慮下さい。
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