315.烈火の如く攻め立てよ
『まずは一閃。唐竹』
「てぇい!」
『さすがにこれははじくか。胴薙』
「甘い!」
俺の魔法を受け止めた後、アグニは体を温めるとでも言わんばかりに単純な攻撃を仕掛けてくる。
そのすべてがアヤネによってはじかれているが、無消耗というわけではなさそうだ。
『ふむ、はじけはする。だが、堅牢の守りを削られてしまうか』
「アンタ、よく知っているわね?」
『吾のことは多少聞いているだろう? そろそろ、体も温まってきた。フートも動けるようになっただろう。ここから戦闘の始まりだ』
「だそうだ。気合いを入れるぞ!」
「はい!!」
「当然!」
「ですにゃ!」
『いいチームだ! ゆくぞ、紅蓮斬!』
「いきなり魔法剣!? 消炎の盾!」
アヤネが炎の魔法剣を消炎の盾によって消し去る。
その隙を突き、ミキとリオンが攻勢に出た!
「いきます! 虎王撃・襲・閃・雷・鉄!」
「にゃはは! 氷華の剣舞、雷纏剣レベル5! 出し惜しみは最初からなしですにゃ!」
ふたりが可能な範囲で攻撃スキルをたたき込む。
さすがのアグニもわずかにたじろぎ、更に隙を作った。
ここは俺の出番だよな!
〈我が意に集え雷精たちよ。真なる力の一部を開放せよ。それを統べるは我の意思、輝き放つは精霊の力。放たれたるは人知を超えた真なる閃光。ゆけ! 輝きを立ち塞ぐすべての愚かなるものに鉄槌を!! マキナ・アンガー!!〉
マキナ・トリガーはまだ撃てないので、マキナ・アンガーを放つ。
白光化した雷撃がアグニを打ち据え、吹き飛ばす!
だが、アグニはそのまま空中で一回転をすると、何ごともなかったかのように大地に降り立った。
『いや、愉快! 昨年と同じ聖法であっても、これだけ違うとは! 吾が鎧に
「にゃ、今ので罅が入る程度ですかにゃ」
「うーん、やっぱり出し惜しみできませんね」
「そのようね。龍王様の技、開放しましょう」
「そうするか。多少以上の無茶になるが……まあ、仕方がないだろう」
俺たちは、最初の一当てで封印していた龍王の業を使う決意を固める。
あれの、消費は半端ないから終盤まで取っておきたかったんだけど……。
やはり、アグニの力の前では使わざるを終えないか。
『さあ、次はどう来る、若人よ! 半端な攻撃では、このアグニには通用せんぞ!』
「わかったよ! じゃあ、次はこちらからだ! 炎魔法レベル3:着火!」
『ぬっ! うぉ!』
炎魔法にはレベルと同時に起こしたい現象を宣言する必要がある。
今回使った『着火』はその名前通り、火をつける現象だ。
だが、そこは炎魔法、レベル3の着火になると炎の柱が吹き上がるほどの『着火』になる。
「次、行くにゃよ! 炎纏剣レベル5! 喰らうにゃ!」
『そうはいかぬな!』
次はリオンが間合いを詰め、魔法剣で攻撃を仕掛ける。
当然、アグニもそれを黙って受け止めるようなことはない。
リオンの双剣とアグニの刀による激しい打ち合いとなった。
『ぬぅ!?』
「さすが、すぐに気がつきますかにゃ!」
数合打ち合った時点で刀の異変に気がつき、アグニが間合いを開けた。
アグニの刀にまとわりついた炎が、なかなか消えないのだ。
間合いを開けられたリオンだったが、すぐに間合いを詰めて攻撃を再開する。
アグニは不用意に打ち合うことはせず、回避に専念し始めた。
明らかにリオンの攻撃を嫌がりだしたアグニに、今度はミキも攻撃を仕掛け始める。
「ほらほら! 次々いきますよ!」
『むう! 拳撃に斬撃……これはいかん!』
ミキの攻撃の正体にアグニも気がついたようだ。
だが、リオンの攻撃を捌きながらミキの攻撃までかわす余裕はさすがにないらしい。
不用意に長距離まで離れてしまえば、また俺の魔法が飛んでくることも警戒しているのだろうが。
「そろそろです! 爆爪!」
「こっちもにゃ! 炎塵爆裂!」
それぞれが集中的にダメージを与えていた、胴と肩防具。
それらが爆発により消し飛ばされる。
また、この爆発はアグニにも浅くだがダメージを与えていたようだった。
『く……龍王の力を出してくるとは』
「使わなければ、宝の持ち腐れですからにゃあ!」
『ならば、次はこちらから!』
「悪いけど、まだこちらの攻勢は続くわけよ!」
普段は自分から間合いをつめる事がないアヤネが、一気に接近する。
そして、使うのはこれもまた龍王のスキルだ。
「炎龍王の爆炎!」
『ぬぅ!』
強力な爆発を受け、アグニは更に吹き飛ばされる。
とどめは俺の炎魔法といこうか!
「炎魔法レベル4:炎槍!」
最近、到達できた炎魔法レベル4。
まさしく灼熱の炎で構成された槍が、アグニに突き刺さる!
『ぬぐぅぁぁぁぁ!』
「アグニにも龍王スキルは効くみたいだな」
「こっちの消耗も激しいけどね」
「短期決戦が望ましいです」
「……そうはいかないみたいですがにゃ」
炎槍に貫かれ、灼熱の渦に包み込まれていたアグニ。
だが、奴はその中から姿を現した。
身に纏っていた鎧甲冑はボロボロだが、その目はまだ死んでいない。
……やはり、今のままでは届かないか?
『少々、甘く見ていたようだ。今度はこちらからいかせてもらおう!』
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