132.那由他の国反逆者対策会議 前編

済みません、また寝坊です。

スマホのアラームで一度は起きたのですが、スマホを握りしめたまま三度寝まで行きました。

作者の寝坊対策は考えておきますので、本編をどうぞ。


**********


「……以上がハンターギルドとの会談で判明した内容にございます」


「……我々は赤の明星と敵対したのか?」


「いえ、まだギリギリ保っている状態です。ですが、あと5時間以内に明確な回答を用意できなければ、王宮と貴族街はなくなりますな」


「……馬鹿馬鹿しい、と言えないのが事実ですな。例のアグニ戦の跡も見ました。あれが王城に向けて発射されれば、対魔獣結界など意味をなさずに破壊されるでしょう」


「今から逃げ出し、反撃するというのは!? 王宮や貴族街を破壊したとなれば、赤の明星が犯罪者ですぞ!!」


「……気が触れたか、財務大臣」


「なにを言うか、外務卿!! 正義は我々にあるのだぞ!?」


「正義が我々にあろうと、力は我々にはない。邦奈良の都を取り返す気になれば、邦奈良の都を破壊せねばならず、それならば我らが賊軍に等しい。運良く赤の明星を倒せたとして、その後の治世はどうなると思う?」


「……それは」


「そこまでじゃ。無駄な議論を繰り広げる時間はない。まずは逆賊ジャック = アンスランとその一味をどうするかじゃ」


「王よ!? アンスラン公爵を逆賊などと!?」


「そうするしか国を守るすべはない。軍務卿、国軍旗はいかように持ち出された?」


「はっ、1,000旗が持ち出され、その後、150旗ずつが3隊、残りが1隊に運び込まれた模様です」


「ではアンスランが持っているのが一番多い旗であろう。問題は、残りの450旗がどうなったかだ」


「……おそらくはアンスランの子飼いどもに持たせたものかと」


「ふむ……そのうち1隊が赤の明星と当たったか。となると、残りの3隊も赤の明星と当たる可能性があるな」


「お待ちください。おそらくはアンスランの部隊は赤の明星と戦う事はないかと」


「どういう意味だ、内務卿」


「アンスランはよく言えば慎重、悪く言えば臆病な性格にございます。国軍旗があろうとも、赤の明星と戦うとは思えません」


「……ふむ、そうなると、アンスランがどこに逃げたかを割り出すのが先か」


「そうなりますな。それから、アンスランとつながっていた男も拘束してあります」


「何者だ?」


「騎士団長にございます。本来必要な軍務卿への確認を行わずに使用許可を出しておりました。おそらく調べれば他にも不正の証拠が出てくるかと」


「……頭が痛いな。今回の一件が片付いたら徹底的に調べ上げろ。関係した官僚も見逃すな」


「はっ」


「さて、問題はアンスランを国家反逆罪に問うかどうかだが……」


「アンスランを国家反逆罪に問うてしまえば一族郎党だけでなく親族まで処刑となります」


「わかっておる。確か、アンスランの孫が隣国に嫁いでいたな……」


「はい。国家反逆罪ともなれば、彼女も呼び戻し処刑せねばなりませぬ」


「外務卿」


「はい。現実的には難しいかと。ただ、かの姫君の立場は非常に悪くなりましょう。おそらくは病の床に伏せりそのまま……」


「事は国際問題となるか」


「避けられませぬな」


「……ハンターギルドマスターを呼ぶことはできぬか? 助言が欲しい」


「陛下。ハンターギルドマスターと言え助言ができるとは……」


「かの赤の明星ともっとも友誼を結んでいるものは、かのものと青雷だろう。どうすればいいかの参考意見が欲しい」


「……わかりました。呼びにいかせましょう」


「その間にできることをしよう。軍務卿、黒騎隊を全隊投入して構わん。アンスランを捕縛せよ! また、騎士隊に命じ関係が疑われる貴族家を取り囲むように伝えよ」


「陛下、アンスラン家もですか?」


「場合によっては、貴族家に踏み込むことが致命傷かもしれぬ。取り囲み逃亡者を許さないだけにせよ」


「かしこまりました。それでは、黒騎隊に指示を出して参ります」


「……他のものは休憩じゃ。ハンターギルドのものたちが来た後は一切休めぬ。その覚悟で挑め。我らの言葉には我らだけではなく、我らの家族、総ての貴族家の命運がかかっていると知れ」


「「「ははっ」」」


「……内務卿よ。返事はいいが、事を理解しているものは何人いるのだろうなぁ」


「教会のは確実に他人事ですな。教会には無関係と思っているのでしょう。そんな甘い相手であるわけがないでしょうに」


「他には?」


「財務大臣も軽く見ている節がありますな。いざというときは本当に一度都落ちし、その後に取り戻せばいいと思っているのでしょうなぁ」


「……そんなことをして取り戻しても、貴族街がない、つまりは役所も記録文も総てがなくなっていれば国の治政などできぬというのにな」


「逆なのは軍務卿と外務卿でしょう。あの二家は赤の明星の血がかなり薄いですが流れていると聞きます。初代の赤の明星の恐ろしさは伝え聞いているのでしょう」


「嘆かわしいな。自分の国のことを理解できていないとは」


「誠に。万が一、ここで赤の明星を討てたとして、アグニをどのように抑えるつもりなのか」


「この国難、乗り越えねばな」


「ははっ」


「ハンターギルドマスターブルクハルト殿、青雷リオン殿到着です!」


「皆のものを集めよ! 会議の続きじゃ!」

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