次の狩りへと
106.ハント再出発!
ハンターギルドでの一件以来、特に大きなイベントも無く進んで行った。
途中オークションもあったのだが……売ってるものに特に欲しいものが無いんだよなぁ。
武器と防具はリオン以外は神器で済んでしまうし、アクセサリー関係で強化しようにもいいアイテムが売っていない、
リオンの装備も必要なら更新していいと伝えてあったんだが、いいものは出品されていなかったそうだ。
そんな中、売りに出された例の鹿肉がオークションにすごい熱狂をもたらした。
事前に関係する参加者に塩焼きの一口肉を与えられたのだが、その味がものすごかったらしい。
最初は30㎏の肉から出されたのだが……30㎏肉の合計だけでもミスリル貨にとどきかねない儲けが出た。
その後に出品された20㎏肉や10㎏肉にも、ものすごい熱量が注がれていた。
そして、極めつけは、あの三連魔宝石だ。
魔宝石がこのようなかたちになることは珍しく、バイヤーたちも慎重に取り扱っていた。
そしてその特別性故に、未確認モンスターの魔宝石にかかわらず価格は高騰、前回の黒熊にも迫るお値段での落札となった。
なお、モンスターの魔宝石は一般的にはどれだけ有名な大物の魔宝石なのか、魔宝石が美しいのかが基準になるらしい。
今回は完全無名の未確認モンスターにもかかわらず、とても美しい魔石だったため高額だったそうな。
これによって得られたお金は4等分してそれぞれ保管することに。
……まあ、また使わないお金が増えたので学校への出資を増やすように商業ギルドのギルドマスターにお願いしてきたよ。
これ以上設備を増やすとなると造船所でも作りますかね、と返されたが。
「……さて、全員準備はできたかにゃ」
「ああ、こっちは問題ないぞ」
「学校への大口出資は大問題だがにゃ」
「……そんなにマズかったかね」
「もうすでに魔法や武器の練習ができる練習場は完成してるのにゃ。そして、治癒士を見つけてけが人への対応も可能。いままで出資していなかったギルドからも出資を受けて、それらのギルドの体験学習教室も用意できるのにゃ」
「うーん、そうなると出資は余計だったかなあ」
「商業ギルドのギルドマスターも頭を悩ませていると思うにゃ。そんなに出資されても使い道がないのですからにゃ」
「余計な銅像とか作ってくれなければいいけど」
「そういうことは嫌いなのは知っているはずだから大丈夫にゃ」
「うーん、お金ってないと困るけど、多すぎるのも困るよなぁ」
「吾輩も装備を更新したいのにゃが、いい装備はやっぱり相応の鍛冶師に頼まないとどうにもならないにゃ」
「ままならないよな」
「にゃ」
「フートさん、準備できましたかー?」
「ミキか。そっちは準備できたか?」
「はい。食料もしっかり追加しておきました! 冬ごもりも大丈夫ですよ!」
「ハウススキルのなにがいいって、冬であっても影響を受けないことにゃぁ」
「まぁなぁ。それに頼りすぎるっていうのもどうかと思うが……」
「冬のキャンプはやらない方が賢いにゃ」
「……それもそうだろうな」
「それで、ミキ殿。今回はどれくらいの食事を用意してあるのですかな?」
「調理済みで……1カ月分くらい?」
「準備しすぎの気がしますにゃ」
「ははは……あとで俺とアヤネのアイテムボックスに5日分くらいの食事を移しておこう」
「はいはーい。吾輩のアイテムボックスにも食料がほしいにゃ」
「あ、リオンさんも覚えたんですね、アイテムボックス」
「がんばってもレベル3にしかならないけどにゃ。まあ、食料保管庫と割り切れば十分にゃ」
「だな。……あとはアヤネだけど」
「お待たせ、待った?」
「ん? そんなに待ってはいないが……何か変わった?」
「確かに、雰囲気というか、まとう気配が変わってますね」
「これは特殊な魔道具の効果ですにゃ。どうしたんですにゃ?」
「ニネットさんに頼んで、モンスターの意識を引きつけられるようなアクセサリーがないか頼んでおいたのよ。それで、そのペンダントトップが届いたって数日前に連絡が届いたから取ってきたって訳」
「なるほどですにゃ。ですが、吾輩たちがピリピリするような常時発動は失敗ですにゃ」
「ごめんね、まだうまく使えてないのよ。少し時間をかけさせて」
「……まあ、車での移動中に加減を覚えてくれればいいですにゃ」
「サンキュー、リオン」
「さて、これで全員揃ったな」
「揃いましたにゃぁ」
「これからの予定の確認だ」
「はいですにゃ。吾輩たちはもう一度灰色の森に戻りますにゃ」
「ダークトライホーンに邪魔されましたからね」
「そうですにゃ。おかげで1カ月近く時間を使わされてしまいましたにゃ。これは結構痛いですにゃ」
「ねぇ、その分後伸ばしにすればいいんじゃないの?」
「春になればおふたりの発情期が始まってしまいますにゃ。それなので、2月下旬には邦奈良の都に戻っておきたいのにゃ」
「……体質の関係でご迷惑をおかけします」
「まあ、獣人には仕方がないことですにゃ。それで、灰色の森に戻ったら、まずはミキ殿とアヤネ殿にもショットワイヤーの使い方をマスターしてもらいますにゃ。ソウル稼ぎはその後にゃ」
「わかりました。ソウルはまたバイコーンやナイトメアホーン狙いですか?」
「それでもいいんにゃが、さすがにお三方のレベルではもうおいしい相手ではありませんにゃ。もう少し奥地の敵を狙いますにゃ!」
「わかった。その辺のさじ加減は任せるぞリオン」
「はいですにゃ。それで、お三方のレベルが100位になったらいよいよ本丸、モンスターハントですにゃ!」
「……いよいよか」
「いよいよですにゃ。あそこのモンスターは弱い部類でもレベル120前後、吾輩にもおいしい狩り場ですにゃ」
「了解だ。目標時期は?」
「現在、10月末ですにゃ。灰色の森に着いたら11月頭。そこからショットワイヤーの練習をして魔物狩り。モンスター狩りは12月下旬には突入したいところですにゃ」
「了解よ。それで、いつまで狩りを続けるの?」
「長くて1月いっぱいが限度ですにゃぁ。それ以降は灰色の森脱出に時間を使いたいにゃ」
「わかりました。それでは出発ですね」
「出発にゃ~。さあ、吾輩の愛車に乗り込むにゃ!」
「了解、テラとゼファーもいくぞ」
「「ワォン!」」
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