95.食事会

本当にすみません!!

思いっきり寝坊してました!

メガネにべっとり皮脂が付いているのでメガネを外す前に眠ってしまった模様


今回のお話、前みたいに地の文なしで会話文のみ構成いこうと思ったけど無理そうでした

普通の小説としてお楽しみください。

**********


「へぇ……三角鹿のブラウンシチューねぇ。確か、今回の未確認モンスターが三本の角を持つモンスターだって聞いてたけど」


冒険者のの言葉に早速反応したのは商業ギルドのだ。


「ということはモンスター肉のシチューですか!? ブルクハルトさん、なんと豪勢なものを……」


「聞きたいんだが、モンスター肉は薬剤や錬金術の材料にもよく使われる。この肉は可食用なのかい?」


薬剤ギルドのが念のためと確認を押してくる。

……そりゃ、自分たちのギルドで食えないモンスター肉を扱うことがあるんだ、怖いやなぁ。


「ああ、なんなら毒味で最初に食ってもいいぜ。……まあ、同じものを俺は昨日も食べてるんだが」


「おい、ちなみにコイツは酒と合うのか!?」


鍛冶のはドワーフだけあって酒へのこだわりが強いな。

ただ、この料理に酒はなぁ……。


「とりあえず食べてから決めてくれ。お代わりがないことを念頭に置いてな」


「フン、わかったわい」


「あの、お食事会もよろしいのだけどブルクハルト殿。フート殿たちが奇跡の大発見をしたと伺っているんですが……」


今度はテイマーのか。

三度の飯より魔物のことを考えることが好きなヤツだからなぁ……。


「とりあえずフートのスケジュールは数日空けさせてある。その間に直接話を聞いてくれ。今日はまず食事だ」


「そうですね。これは失礼しました」


「……あの、赤の明星がした大発見ってのも気になるが……ハンターの、さすがに我慢の限界だよ」


「そうだな。冷めては作ってくれたミキ殿にも悪い。いただくとするか!」


 俺の挨拶とともに給仕たちがフードカバーを取り外していく。

 すると部屋中に濃厚なブラウンシチューの香りが広がっていきやがる。

 く~~俺も早く食いたいぞ!


「……ハンターのこの中心にあるごろっとした肉が?」


「三角鹿、モンスター名ダークトライホーンの肉だ」


「どんな戦いがあったか気になりますが、まず香りだけでも食欲をとてつもなくそそりますねぇ」


「よくわからんが、モンスターの肉だけじゃなく骨も大量にドロップしたそうだ。普通の鹿サイズで。それを使って出汁を取ったとか聞いてるぞ」


「出汁のメインはその骨で間違いないだろうが他にも香味野菜をたっぷり入れているね。スープや付け合わせの野菜も楽しみだよ」


 どうやら調理ギルドのギルドマスターにも合格点がもらえたようだ。

 さて、まずは実食といこうか。

 こういうときは毒味も兼ねて俺が最初に食べるもんだよな!


「……なんだい、ハンターの。これだけごろっとした肉なのに、そんなちょびっとしか切り取らないなんてさ」


「黙ってろ冒険者の。……くぅぅぅ!! この味なんだよ! 厚く切ったときのかみ応えもだが、薄く切ったときのじわっと出てくる旨みもたまらん!!」


 俺が肉を食ったのを皮切りに全員が肉にフォークを刺し、ナイフで切り分けだした。

 厚さは個人でばらつきがあるが……鍛冶のよ、そんな厚く切って大丈夫かよ。

 対照的なのはテイマーギルドのだが……あいつもよくあんな薄く切れるもんだ。


「……!? なんだよこの肉は!? 本当に鹿肉なのかよ!?」


「鹿肉なのは間違いありませんね。鹿肉独特の臭みが残っています。ですがそれすら旨みに変えてしまうとは、恐ろしい……!!」


「なんていう豪華な肉なのかね。あたしゃ生まれて初めてこんな豪勢な料理を食べるよ。ただ、ハンターの。付け合わせの野菜類にはこだわれなかったのかい? バランスを崩すようなことはないが一級品じゃないのは丸わかりだよ?」


「あー、済まねぇな、調理ギルドの。なんでも灰色の森から帰ってくる途中で作ってて、あり合わせの食材を使ったらしいから、一級品の野菜までは用意できなかったらしいんだわ」


「なるほどねぇ。そういうことなら……いろいろやりようがあるねえ。この年になってこんなわくわくするとは思わなかったよ!」


「くぅっ!! なんで俺はあんな厚切りで食べちまったんだ! もうこれしか肉が残ってねぇじゃねぇかよ!」


やっぱり鍛冶のが後悔してら。

お代わりは頼まれても出してやんねーぞっと。


「はぁ……薄切りハムのように切り出してみたけど、まさしく舌の上でとろけて消えてしまったわ。なんと美味な料理でしょう」


「テイマーのも楽しんでいるようだな」


「ええ。惜しむらくは、テイマーギルドの仲間たちにこの味を共有できないことでしょうか」


 ふうん、テイマーギルドのもそこを気にしてんのか。

 とはいえ、テイマーギルドは支部も多いしな、難しいか。

 テイマーギルドのはフートたちとも面識があるし、なんとかなるか?


「おい、肉を食い終わっちまったぞ、ハンターの。もう終わりかよ」


 冒険者のが予想どおり暴れ出したな。


「おいおい、さっきパンがあるって言っておいただろう?」


「今更パンじゃ味気なさ過ぎだよ」


「そのパンもそのシチューを作った料理人の自家製パンだ。とりあえず、一口ちぎって食ってみろ。その後はブラウンシチューをつけて食え」


「わかったよ。……って、このパンもうめぇな」


「普段俺たちが使わないような自家製酵母を使っているらしいぜ。俺たちは昔の赤の明星がもたらしたイースト粉を使っているからな」


「でだ、ブラウンシチューをひとさらいっと……なんだこりゃ!? ブラウンシチューの旨さがしみこんでさらにうまくなったぞ!?」


「ふーむ、このパン。製パンギルドに持ち込めばきっと買い取ってくれるでしょうが……あの人たちならどう思うか」


「うん、パン作りの腕前も上々だ。コイツはハンターなんかにしておくのはもったいないねぇ」


「うめぇ、うめぇんだが……これにあう酒がおもいつかねぇ……ドワーフの領域を越えてきてやがる」


「うん、ブラウンシチューもとてもおいしいですわ。野菜もいいアクセントになりますし。本当においしいお食事です」


 この面々で一番素直に食事を楽しんでるのはテイマーのだな。

 自分の領域に噛まねぇから、なんらお構いなしに味わって食ってやがる。

 彫金や木工のもこのレベルの食事が出てくるなんて思わず、完全に腰が引けてるのによ。


「……さて、そろそろ全員が食い終わったようだが、どうだった?」


「どうだったってのは?」


「これを作った本人が意見をほしがってるんだよ」


「……コイツに意見を言えるなんて調理ギルドのくらいだろう」


「ほっほっほ。ご指名とあれば。そうねぇ、肉と出汁の骨は完璧、やっぱり香味野菜や付け合わせのお野菜にもこだわって欲しかったわね。それが無理な環境で作ったのだから仕方がないのでしょうけど」


「他に異論があるヤツはいねぇか?」


「……酒に合うモンスター肉の料理……」


「鍛冶の。モンスター肉自体が貴重品なんだ。諦めるんだな。……普通は」


「普通は?」


「今回のモンスター肉だが。ブロックで950㎏ほどあったんだよな」


「……おい、マジか!!」


「マジマジ。昨日の夜にうちの計量器で測ったから間違いない」


「ちなみに部位とかはどうなっているんです!? 部位によっては食べ方が変わるはずですが!?」


「そいつがなぁ……見た限り全部同じブロック肉なんだよ。不思議だよな、モンスター肉」


「……まあ、それでもいいでしょう。料理人の腕前が伴えばあれだけの料理が作れるのですから!」


「ちなみに、骨の方は300㎏しかドロップしてなくて手放す気はないとさ」


「そいつは残念だ。だが、今回の食事会で味は覚えたよ。必ず再現してみせるさ」


「さあ、商業の、本題だ。フートはこのモンスター肉のうち300㎏を手放してもいいと言っている。ただし、保存が利くように、マジックバッグと同じ時間停止の魔法箱があることが条件だ!」


「そんなおいしい話、受けないはずがないでしょう! 時間停止の魔法箱もきっちりそろえてみせますよ!」


「おっし商談成立だな。やっぱりオークションか?」


「ですねぇ……前回トラブったので使いたくはないのですが、あれで大人しくなったようですし、なにより総会長から雷が落ちた見たいですし」


「じゃあ、オークションの準備任せたぞ。最後に、フート、リオン入ってきてくれ」


「失礼するのである」


「失礼します」


「さて、ふたりを呼んだのは他でもない。今回のモンスターからとれた魔宝石のお披露目のためだ。ふたりとも頼んだぞ」


「任せるのである。フート殿、よろしくであるぞ」


「おう、任せろ」


 そして、リオンとフートの間に取り出された魔宝石は、大きさこそそこまで巨大とは言えないが3つの宝石がくっついている宝石だった。

 どうよ! このインパクトは!!

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